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UXリサーチ実施のプロセスを解説|適切な手法と準備【目的別】
2023-09-01 制作・開発
UXリサーチはユーザー視点のプロダクト開発において欠かせない手法です。ユーザーのニーズを的確に把握し、プロダクトを最適化するにはUXリサーチのプロセスを正しく理解したうえで活用することが大切です。
この記事では、UXリサーチのプロセスについて簡単に解説します。ユーザーのインサイトを得るための基本的な手法やリサーチ前の準備など、新規事業の開拓やプロダクトの改善などに役立つ方法について解説します。
弊社GIGでは、Webサイト制作・運用を行っています。データ分析をはじめ、UI/UX改善やSEO対策など集客強化も可能です。Webマーケティングでなかなか成果を出せずにお悩みなら、お気軽にご相談ください。
UXリサーチとは
UXリサーチとは、商品開発などの戦略設計のため実施するユーザー体験の調査を指します。ユーザーがプロダクトを通して得られる体験を調査し、ユーザーの感情や行動を理解することが目的です。
UXリサーチの結果をもとに、ユーザーがより使いやすく、満足できるようなプロダクトを開発・改善します。
関連記事:UXの意味や重要性とは?UIやCXとの違いや具体的な改善方法も徹底解説
関連記事:UXデザインをわかりやすく紹介!UIとの違いは?成功事例から見る法則・思考法
UXリサーチが重視される理由
UXリサーチは、ユーザーの現状の課題やニーズを明らかにできる手法として注目を浴びています。ここでは、UXリサーチが重視される2つの理由から、重要性について解説します。
ユーザーの購買行動が変化したため
近年、インターネットの普及にともないユーザーの購買行動も大きく変化しています。
企業は、ユーザーの興味関心に沿った情報を提供するため、SNSやWebサイトでの行動データを収集してユーザーニーズを把握しようとする動きが活発になっています。
しかし、データだけでユーザーの考えや感情を理解することは難しく、意図を見抜きにくいケースもあるのです。単純に広告を打つだけでは、ユーザーに届きません。
UXリサーチは、ユーザーへのインタビューやアンケートなどを通して、数字やデータでは見えない本質を把握することができます。
データマーケティングと組み合わせることで、ユーザーの購買行動の変化に対応し、より良い体験を提供できると重視されているのです。
ユーザー理解を深めるため
UXリサーチが重視される理由として、Cookie規制の強化があげられます。これまでのデジタルマーケティングでは、Cookieを使用してオンライン上のユーザーの行動や興味関心を追跡し、UXの改善を行っていました。
しかし、この追跡に用いられているサードパーティCookieの使用が制限されつつあります。
UXリサーチなら、Cookieを利用しなくても、ユーザーが抱えているニーズや課題を把握することが可能です。ユーザーへの理解を深められる手法として、注目を浴びています。
関連記事:Cookie規制がもたらすWeb広告への影響と今後の対応策
UXリサーチを実施するメリット
UXリサーチを実施するメリットは以下の3つです。
1. ユーザーニーズとのズレを解消できる
2. プロジェクトの方向性を定められる
3. 企業価値の向上につなげられる
それぞれ簡単に解説します。
1. ユーザーニーズとのズレを解消できる
UXリサーチを実施するメリットは、プロダクトとユーザーニーズのズレを解消できることです。
企業が開発したプロダクトが、ユーザーが期待していないものであった場合、購買や購入にはつながりません。
UXリサーチを通じて、ユーザーが何に困っているのか、どのようなプロダクトを求めているのかを理解することが可能です。
UXリサーチの結果をもとにプロダクトを改善することで、ズレを解消し、ユーザーニーズに沿ったプロダクトを提供できます。
2. プロジェクトの方向性を定められる
プロダクト開発を円滑に進めるには、方向性となる指標を設ける必要があります。
あいまいなままだと、チーム内の認識がずれてしまい、無駄なコミュニケーションが増えてしまう可能性もあるのです。
UXリサーチでユーザーのニーズや課題が明確になることで、プロジェクトの方向性や優先すべき施策が明確になります。
データマーケティングだと読み取るアナリストの影響を受けることもありますが、UXリサーチならユーザーのフィードバックを直接反映させられるのでぶれません。
効率よくプロジェクトを進めることが可能です。
3. 企業価値の向上につなげられる
UXリサーチによりユーザーへの理解を深められることで、改善点などを迅速に把握することができます。ニーズに沿ったプロダクト開発が可能となるため、顧客満足度の向上につながるのです。
さらに、そのプロダクトが使いやすいものであれば、多くの顧客からの信頼を集めることができます。結果、企業価値の向上へつなげることが可能です。
信頼度が高いと市場でも優位に立つことができるため、売上向上も見込めます。
UXリサーチの手法
UXリサーチの手法は、ユーザーのインサイトを獲得できる「定性調査」と、顕在ニーズを把握しやすい「定量調査」に分けられます。それぞれ目的にあわせた手法を選ぶことが大切です。
UXリサーチにおける「定性調査」と「定量調査」について解説します。
定性調査|インサイトを獲得する
定性調査とは、ユーザーがどのようなことに興味関心をもっているのか、数値では表しにくい定性的な情報の調査を指します。
ユーザーインタビュー
ユーザーインタビューは、ユーザーに直接質問を投げかけて意見を収集する方法です。直接反応を見ることができるため、感情を理解しやすいメリットがあります。
インタビューを成功させるには、目的の明確化や対象者の選定などがポイントです。
さらに、インサイトを獲得するにはインタビュアーのスキルも重要となってきます。うまく引き出せるように、事前に質問内容を決めておきましょう。
関連記事:ユーザーインタビューとは?手順や実施目的、成功のコツを解説
ユーザビリティテスト
最低限の機能を実装したプロトタイプを実際に使ってもらって、販売前に使いやすさや改善すべき課題を評価する調査方法です。
使い方を指示したうえで、ユーザーが使う過程や反応を記録して分析します。
ユーザーが操作に迷った箇所やクリックしなかった箇所など、ユーザーの期待がずれている箇所に着目することでインサイトが見えてきます。
関連記事:ユーザビリティを評価する6つの手法。Webコンサル/制作会社が解説
定量調査|顕在ニーズを把握する
定量調査とは、数字で具体的に示すことができる情報を得るための調査方法です。収集したデータを分析して、数値からニーズを明確にしていきます。
アンケート調査
アンケート調査は、事前に設定した質問に対する回答から、ユーザーの興味や関心、意見を収集してリアルな要望を調査する方法です。
年齢や性別などターゲットを絞った統計的なデータを得ることができます。オンラインアンケートなら、対象エリアを広げやすく回答するユーザーにも負担になりません。
質問の設定方法によっては、インサイトの獲得も可能です。
アクセス解析
アクセス解析とは、Webサイトへのアクセス数やサイト内の行動ログを調査する方法です。
主に『Googleアナリティクス』や『Googleサーチコンソール』を用いて調査します。
ユーザーがWebサイトを訪れるきっかけとなった検索キーワードから顕在ニーズをくみ取ることが可能です。
関連記事:アクセス解析でわかること|データを改善に生かす方法を詳しく解説
ABテスト
ABテストとは、Web広告のデザインやコピーを2パターン用意して一定期間運用し、アクセス数やCV数を検証する方法です。ユーザーの好みを数値で把握することができます。
くり返し実施することで、ユーザーが実際に行動を起こすときに何を優先しているのか顕在ニーズを明確にすることが可能です。
関連記事:ABテストの実施方法を4ステップで解説。成果を出すコツから便利ツールまで
UXリサーチの目的別手法と事前準備
UXリサーチは目的にあわせた手法を選ぶことが大切です。ここでは、目的別のリサーチ手法と準備について解説します。
新商品開発|探索型リサーチ
新商品開発でUXリサーチを用いるときは、目標となる課題は以下のような定量調査を中心に実施します。
・ユーザーインタビュー
・アンケート
・競合分析
何より新商品開発においては、ユーザーの興味関心を理解することが大切です。グループインタビューなど、目的に合わせてユーザーの意見を集約します。
ユーザーインタビューをオンラインで実施するときは、デバイスのOSバージョンやネットワーク環境などを確認しましょう。
リサーチ中に画面が途切れてしまわないように、事前に接続状態をテストしておくことも大切です。
競合調査では市場の傾向や他社の強みを把握することで、自社のプロダクトの価値観を構築できます。
<事前準備>
・通信環境やスケジュールを確認する
・ユーザーが競合製品と比較しやすいようにプロトタイプを構築する
・競合調査・市場調査を実施して差別化のポイントを見極める
仮説検証|検証型リサーチ
UXリサーチを通して、ある特定の仮説や予想が正しいものかを確認できます。手法と事前準備は以下の通りです。
・コンセプトテスト
・ユーザビリティテスト
・ABテスト
・アクセス解析
仮説検証を実施するときは、いくつか仮説のバリエーションを提示して、ユーザーの反応を確認します。
複数の仮説を検証するときは、幅広いプロダクトの調査に使えるコンセプトテストが便利です。Web媒体のみならABテストも有効です。検証結果をアクセス解析ツールで分析します。
<事前準備>
・A/Bテストに使用する要素や検証する内容を明確にする
・ユーザビリティテストのシナリオを準備して検証内容を明確にする
関連記事:UI/UX改善の方法とは?成功事例からプロセスやポイント、思考法を紹介
スピード重視|スモールリサーチ
迅速に調査を実施して改善策に取り組みたいときは、スモールリサーチが便利です。
スモールリサーチは家族や友人など身近な人に聞いて、フィードバックをもらう方法です。時間や費用をかけずにリサーチできるため、実施しやすいメリットがあります。
ただし、身近な人の意見のみなので結果が偏る可能性があることには注意が必要です。
予算があるときは、リモートでアンケートを取ってもよいでしょう。事前にアンケートを送っておくことで迅速に意見を収集できます。
<事前準備>
・通信環境やWeb会議システムなど接続の確認
・アンケートの説明と事前質問の送付
UXリサーチのプロセス
ユーザーのニーズを把握するためのUXリサーチのプロセスは以下の通りです。
1. 目的を明確にする
2. リサーチ手法を決める
3. 調査を実施する
4. ユーザビリティテストを実施する
5. データを分析する
6. プロセスをくり返す
それぞれ簡単に解説します。
1. 目的を明確にする
まずは、プロジェクトの状況を把握して、目的を明確にします。現状を把握しておかなければ、改善に向けたUXリサーチの設計を立てることができません。
現状を把握したら、改善に向けて目標となるKGIとKPI(主要業績評価指標)を設定します。UXリサーチにおけるKGIとKPIの例は以下の通りです。
KGI | KPI |
・顧客満足度の向上 | ・WebサイトのPV数増加 |
目的を明確にすることで、UXリサーチの方向性を定めることができます。
関連記事:KPIツリーとは?作成手順やKPI・KGIとの違いを解説
2. リサーチ手法を決める
次にリサーチ手法を決めます。プロジェクトの段階や目的によって知りたいニーズは異なるため、選ぶ手法も変わってきます。
プロジェクトの段階 | 目的 | 具体的な手法 |
新規サービスの立ち上げなど初期段階 | 課題発見 | ・ユーザーインタビューなど |
既存プロダクトの改善やデザインのリニューアル | 仮説検証 | ・ユーザビリティテスト |
細かい部分の修正など | リニューアル | ・オンラインインタビュー |
プロジェクトの段階を把握して、適切なUXリサーチを実施しましょう。
3. 調査を実施する
リサーチ手法が決まったら、調査を実施します。選択したリサーチ手法に従って、アンケートやインタビューを実施します。
適切な回答が得られるように、事前に質問の内容を検討しておくことが大切です。
このフェーズでは基本的にデータ収集を中心に行います。必要であればレポートにまとめるなど、関係者と共有しやすいように整えておきましょう。
4. データを分析する
各調査で収集したデータを分析します。調査方法によっては膨大なデータを得られるでしょう。分析しやすいようにデータを整理してください。
分析したデータは、グラフやチャートなどで見やすいように整えると、共有時に他者への理解を助けてくれます。
定性調査で得た画像やテキストなどの情報から、ユーザーの感情や行動などを分析しましょう。
プロダクトの改善のためのUXリサーチで、ユーザビリティテストから得たフィードバックがデータとしてある場合、フィードバックから改善に向けた潜在ニーズをくみ取り解決策を検討します。
5. プロトタイプを作成する
データの分析結果をもとに、プロトタイプを作成します。ユーザーと接するプロダクトは、ユーザビリティテストを実施してもよいでしょう。
ユーザーに実際に使用してもらって使い心地などのフィードバックをもらいます。
特定の専門家が使用するツールなどターゲットが限られているプロダクトには、この方法は向いていません。テストの結果から改善点を洗い出して、プロダクトに反映させます。
6. プロセスをくり返す
最後にプロダクトがユーザーニーズを満たしているのか、解決策を検証します。これらのプロセスは一度限りのものではありません。
ユーザーのニーズは時代とともに変化しており、求められるプロダクトも変化します。
UXリサーチのプロセスをくり返して、課題やニーズを洞察し、解決に向けて取り組むことが大切です。
関連記事:【2024年版】UXデザイン成功事例6選!改善点がわかるチェックリスト付き
UXリサーチを活用した企業事例
UXリサーチに取り組む前に企業事例を参考にすることは大切です。ここでは、GIGがUXリサーチをもとに制作したサイトの事例を3社ご紹介します。
株式会社テモナ様
株式会社テモナのサブスクリプションサービスに特化したECサイト『サブスクストア』のリニューアルを弊社GIGが行いました。
UXリサーチを通じて、ユーザーの行動やニーズを細かく分析し、サイト設計に落とし込んで制作しました。ユーザーがサブスクリプション型サービスを理解し、契約がしやすいようにデザインしています。
リニューアル後の更新は内製化をご希望されており、情報更新がしやすいシステムを構築しました。
株式会社クオキャリア 様
株式会社クオキャリアが運営する歯科衛生士・歯科医師の大手就職情報専門サイト『Quacareer(クオキャリア)』の求人サービスのサイト制作とシステム開発をGIGが担当しました。
UXリサーチを通して、ユーザーがどのような流れで仕事を探すのかを調査し、コンセプト設計やUI/UX設計を実施。デザインを再構築しました。
求人検索機能を強化し、応募フローを簡潔にしたことでユーザーが迷わず応募できるようになりました。公開後の保守運用もGIGが協力させていただいています。
株式会社グラスト 様
株式会社グラストが運営する介護・医療分野の人材派遣・紹介サービスのサイトリニューアルをGIGが担当しました。
UXリサーチでターゲットのペルソナを明確化し、ユーザーがどのように情報を収集するのか、応募までのプロセスを理解したうえでサイトを設計しています。
さらに採用業務の効率を上げるため、使いやすい管理画面や機能を提供しました。
UXリサーチのプロセスを進めるうえでの注意点
UXリサーチを円滑に進めるためには、プロセスにおいて注意してほしい点が5つあります。
1. データや情報の共有ミス
2. 調査対象者の属性の偏り
3. フィードバック収集の不足
4. 予算・時間の制約によるリサーチ不足
5. 分析結果の解釈の誤り
それぞれ簡単に解説します。
1. データや情報の共有ミス
UXリサーチで得たデータや情報が関係者で共有されていないと、誤解が生じてプロジェクトにも影響してしまいます。
適切な意思決定が難しくなるため、事前にデータ共有に使えるツールやシステムの導入や、共有ルールを策定しておくことが大切です。
2. 調査対象者の属性の偏り
インタビューやアンケートを実行するときは、対象者の属性に偏りがでないようにしましょう。
対処法としては、オンラインコミュニティやSNSなど属性が異なるユーザーが集まるプラットフォームやリサーチサービスの活用があげられます。
関連記事:アンケート管理システムとは?導入のメリットや構築ポイントについて紹介
3. フィードバック収集の不足
ユーザーからのフィードバックが不足すると、インサイトの獲得が難しくなります。多くの意見を集められるように、複数のリサーチ手法を組み合わせるとよいでしょう。
ほかにはデザインなどの制作段階にあわせて、フィードバックが得られるように体制を整えておく方法もあります。
4. 予算・時間の制約によるリサーチ不足
予算や時間などに制約があると、十分なリサーチが行えないことがあります。
費用も時間もかけられないときは、プロジェクトにおける重要な部分のみに着目してリサーチを行うのがおすすめです。
もしくはプロジェクトの工程別にこまかく実行するなど、必要に応じて取り入れる方法もあります。
5. 分析結果の解釈の誤り
せっかく収集したデータも分析を誤ると期待しているような効果は得られません。収集したデータを扱うときは、専門家の協力を仰ぎ、適切な解釈が得られるようにしましょう。
または、複数人でデータを共有して、異なる視点からの意見やアイデアを求める方法も効果的です。
UXリサーチはGIGにおまかせください
UXリサーチはプロダクトにおけるUXを向上させるために欠かせない手法です。プロセスを実施することで、ユーザーのインサイトを理解した改善策を導きだすことができます。
GIGでは『UXDesignLab』を展開しており、UXデザインやサービスデザインのノウハウをもとに課題の発見・分析・改善とWebサイト制作の戦略設計のサポートを行っています。
Webサイトの改善にあたって「どこを改善したらよいのかわからない」「サイト設計ができない」などお困りなら、ぜひGIGにご相談ください。差別化ポイントを意識したUXリサーチやペルソナ設計など、貴社にあわせた支援を行います。
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