ユーザビリティを評価する6つの手法。Webコンサル/制作会社が解説|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG
BLOG
ブログ
ユーザビリティを評価する6つの手法。Webコンサル/制作会社が解説
2021-10-10 制作・開発
昨今では、ユーザーがストレスなく、簡単に操作できるように作られた「ユーザビリティが高い」Webサイトやスマホアプリが求められています。
しかし、ひとことで「ユーザビリティが高い」ものと言っても、そのWebサイトやアプリを制作する側の判断だけでは、決してユーザビリティが高いかどうかは測れません。
そういった際に活用するのが、ユーザーに回答してもらう「アンケート調査」や、専門家にレビューしてもらう「ヒューリスティック評価」といった、ユーザビリティ評価です。
今回は、このユーザビリティ評価について、代表的な6つの手法の紹介やユーザビリティが決まる要素などについて解説します。
ユーザビリティとは
ユーザビリティとは、日本語で「使いやすさ」や「使い勝手」を意味します。おもにWebサイトやアプリの操作性に対して使う言葉です。ユーザーがストレスなく、簡単にアプリなどを操作できる=「ユーザビリティが高い」といった表現を使います。
サービス内容がとても充実していたとしても、ユーザビリティが低ければユーザーは離脱し、ビジネスの売上などに直結しないWebサイトやアプリになってしまいます。
逆にユーザビリティが高いものであれば、その分ユーザーが定着し、結果としてコンバージョン率やユーザーの満足度も高まることが期待できます。
ユーザビリティ(使いやすさ)が決まる要素
ユーザビリティは、いったいどのような要素で決まるのでしょうか。ここでは代表的なユーザビリティの定義として、国際規格のISO9241-11を紹介します。国際標準化機構(ISO)とは、国際規格を策定している組織で、「ISO9241-11」はこの基準の「9241」項目の11番目を意味するものです。
【ISO9241-11において定義されるユーザビリティ】
特定の製品が、「特定の利用者」によって「特定の状況下」で「特定の目的」を達成するために用いられる際の、「有効性」「効率性」「満足度」の度合い。
上記のISO9241-11でも定義されている、「有効性」「効率性」「満足度」について、それぞれ確認しておきましょう。
1. 有効性
有効性とは「そもそもこのWebサイトはきちんと使えるの?」といった、いわば最も重要なところの評価となります。
たとえば「旅行予約サイト」で、予約が完了できなかったり、予約までの導線が分かりづらかったりすると、当然有効性は「×」となります。
有効性は、基本的には「○」と「×」の2パターンで評価する場合がほとんどですが、「最後まで完了できたら○、途中までなら△」といったように、段階をつけて評価するケースもあります。
2. 効率性
効率性とは、有効性のあるWebサイトやアプリにおいて、時間的かつ手順的に効率よく使えるのかどうかの評価を行う項目です。
たとえば「旅行予約サイト」で、予約自体は完了できるものの、情報が複数ページに分散しており、何度もウインドウを開閉する必要があるケースでは、効率性は「×」となります。
効率性の評価では、時間やページ遷移の回数などを基準に判定する場合などがあります。
3. 満足度
満足度とは、Webサイトやアプリでの体験に満足できたかどうかの観点での評価となります。
「有効性」や「効率性」とは違い、「満足度」の判断はユーザーの「主観」に依存するため、ある操作やタスクを終えたあとに、アンケート調査などを通じてユーザーに評価してもらう必要があります。
ユーザビリティの重要性
Webサイトやアプリ上でのユーザー行動に対して、「使いやすさ」が与える影響は極めて大きなものだといえます。いくら有益な情報を掲載できていたとしても、その情報にたどり着くまでに時間を要してしまうと、ユーザーは途中で離脱してしまうでしょう。
ユーザーが求めている有益な情報がそこにあるのに、Webサイトの構成などに問題があれば、双方にとって大きな機会損失となりかねます。
ユーザーが「直感的に欲しい情報にアクセスできる」ことは、的確に自社の製品などを訴求するうえで、不可欠なものだといえます。
しかし、制作サイドが作りたいものを作っているだけというWebサイトが多いのが実情です。またユーザー目線で作っているつもりでも、じつは問題が隠れたままになっていることも考えられます。
ユーザーの関心やニーズ、疑問点などを適切に汲み取れているかどうかを確認する意味でも、ユーザビリティ評価を通じて、「制作サイド以外の外部からの意見」に耳を傾ける価値は十分にあるのではないでしょうか。
ユーザビリティを評価する6つの手法
それではここからは、ユーザビリティを評価するうえで、よく活用される代表的な手法について解説を進めていきます。
今回紹介するのは、以下の6つです。
1. ユーザビリティテスト
2.ヒューリスティック評価
3. 認知的ウォークスルー
4. アイトラッキング調査
5. アンケート調査
6.ABテスト
6つすべてのユーザビリティ評価を実施する必要があるかといえば、決してそうではありません。Webサイトの課題を見つける際の参考にご確認ください。
手法1. ユーザビリティテスト
ユーザビリティテストとは、Webサイトやアプリの使いやすさを改善させるために、実際の想定ユーザーにプロトタイプ版などを使ってもらい、現状の課題などを浮き彫りにさせるテストのことを指します。
プロダクト開発を行う際には、どうしても「制作サイドからは見えにくい部分」というものが存在しますが、それらをユーザー目線から探ることで、よりクオリティの高いものを開発・リリースすることにつなげられます。
ユーザビリティテストでは、想定ユーザーにテスト中に考えを独り言としてつぶやいてもらう「思考発話法」を使ってテストを行うのも特徴のひとつ。ただ単に操作を分析するだけでなく、操作中に何を考えているかも分かるので、多くのフィードバックが得られるはずです。
テスト終了後には、レビューシートへの記入やヒアリングなどから、プロダクトに対するユーザーの「生の声」を集めていきます。
こうした評価を通じて、どれだけ現状の課題を明確化できるかがポイントです。そのため、ユーザビリティテストを行ううえで、単に「使った感想」を共有してもらうのではなく、あらかじめチェックしたい事柄などを明確化したうえで、それに即した形でタスクや質問内容を準備することが肝となります。
手法2. ヒューリスティック評価
ヒューリスティック評価とは、UI/UXの専門家がその経験則(ヒューリスティック)にもとづき、Webサイトやアプリなどを評価する手法のことを指します。
1990年代に、ユーザビリティ研究の第一人者でもある「ヤコブ・ニールセン博士」によって提唱された評価手法で、今でも多くの開発現場で活用されています。
ヒューリスティック評価のおもな特徴として、決められた観点でチェックを行うことが挙げられます。そのため、まずはチェックリストを作成し、そのチェックリストに沿った形でスコアづけをしていくことになります。
評価する方と評価基準となるチェックリスト以外に用意しなければいけないものがないため、その他の評価方法と比べても、よりスピーディに調査・評価を行なえます。また、実施コストの低さゆえに、ヒューリスティック評価はスピーディかつ小まめに調査することがおすすめです。
ユーザビリティテストを行うケースでは、プロトタイプ版とはいえ、ある程度完成されたWebサイトやアプリを用意しないと、あまり効果は得られません。しかし、ヒューリスティック評価は制作途中のWebサイトやアプリに対しても効果はあるといえます。
それはWebに関する事情に精通した専門家に見てもらうためです。制作途中であっても十分に有用な意見をもらえます。極端に言えば、コーディング前の設計段階でも評価できるでしょう。
コーディングフェーズに入る前に問題点や改善点が見つかれば、修正するのに必要な手間やコストなどを削減することにもつながるので、一石二鳥になりえます。
手法3. 認知的ウォークスルー
認知的ウォークスルーとは、ユーザビリティの専門家が、想定ユーザーになったつもりで評価対象のWebサイトやアプリを操作してみることで、さまざまな課題を指摘する評価手法のことを指します。
想定ユーザーに参加していただくのではなく、ユーザビリティの専門家が評価を行うという点では、ヒューリスティック評価の一種であるといえますが、想定ユーザーがどのような人であり、どのような情報を期待して行動するのかといったことを基準に評価するという点では、ユーザビリティテストに近い評価手法だともいえます。
そのため、ヒューリスティック評価とユーザビリティテストの中間的な位置づけの評価手法となります。
手法4. アイトラッキング調査
アイトラッキング調査とは、ユーザーの視線の動きを追跡・分析する評価手法のことを指します。視線を追跡することで、見ている・見ていない箇所を明確に、かつ客観的に知ることができるため、UIの設計やレイアウトの検証に大いに役立てることができます。
Webサイトのトップページや商品の画像を参加者に見てもらい、よく見られている箇所や、見られている順序といったことから、情報の配置の妥当性や商品デザインの注目度合いなどが把握できます。
ただし、アイトラッキング調査では、視線の動きやどこを見ていたかといったデータは取れますが、それだけでは単に対象が目に入っただけなのかもしれませんし、どこか特定の場所を注視していたとしても、参加者の意識は別のことを考えていたケースもあります。
そのため、アイトラッキング調査で得られる「視線の動き」といったデータ以外にも、その人の行動にある背景までも把握することが重要となります。
手法5. アンケート調査
アンケート調査とは、一般ユーザーが定められた質問事項に対して、主観的に回答することで評価する手法のことを指します。ユーザーには、特定の状況を想定したカタチでWebサイトやアプリを利用してもらい、その後質問事項に回答してもらうのが一般的です。
アンケート調査では、数百人単位での調査も可能なので、定量的観点からのスコアづけはしやすくなります。また専門家による評価と違って、「アンケートの回答結果」という事実が得られるため、「特定の人物の主観や仮説ではない」という点は強調できるのではないでしょうか。
その一方で、回答の理由が分かりにくいケースも。また、すべての回答者が「本当に指示通り、Webサイトやアプリを利用して回答しているのか」といった懸念事項が存在することも否めません。
そういった懸念事項を払拭させるためには、アンケート中における、サイト内でのユーザーの行動を記録するサービスなどを活用することで、回答への信憑性はある程度担保されるでしょう。
手法6. ABテスト
ABテストとは、WebサイトをAとBの2パターン用意することで、「より高い成果を得られるパターンはどちらか」を検証するテストのことを指します。「ABテスト」という名称ですが、C以降も用意して複数パターン以上で検証することもあります。
たとえば、自社のWebサイトで現在表示されているものをAパターンとして、問い合わせフォームへのボタンのみを変更したBパターンを用意し、双方のクリック率を比較することで、どちらのボタンデザインを採用するのかといったことを検討する際に活用します。
ABテストを行うタイミングは、上述のユーザビリティテストやヒューリスティック評価などを通して、「改善すべき課題は何か」といったことが明確化してからとなります。
課題があいまいなままで、ただ単にABテストを実施しても、ユーザビリティの最適化にはつながらないので注意が必要でしょう。
ユーザビリティを考える際の注意点
ユーザビリティ評価を通じて、新たな課題を発見できても、ユーザビリティを考えるうえでの基本的な事柄が抜けていては、意味がありません。最後にユーザビリティを考える際の注意についても解説を行います。
注意点1. 目的やターゲット層は明確化する
ユーザビリティの向上化を図るためには、基本的なことですが「Webサイトが何を目的としているのか」「どのようなユーザー層をターゲットにしているのか」といったところは、明確化させておく必要があるでしょう。
Webサイトにはたくさんの情報が掲載されますが、たとえば、「製品やサービスの販売を促進したいのか」「ブランディングをメインにしたいのか」だけでも、Webサイトの方向性はずいぶんと変わってきます。
また目的が明確になると、自然とターゲット層も決まってきます。ターゲット層を決める際に役立つのが「ペルソナ設計」です。ペルソナ設計とは、Webサイトを訪れるであろうユーザーを具体的にイメージし、「ユーザーの象徴として定義された人物像」を設定することです。
定義されたユーザー像は、Webサイト制作の戦略・設計の軸にもなりますし、明確なユーザー視点が得られるようになるので、メンバー間での共通認識も育まれ、UI/UXの最適化にもつながります。
加えて、Webサイトの閲覧デバイスなどもきちんと想定しておくことをおすすめします。たとえば、若い女性向けのWebサイトであれば、PCよりもスマホで閲覧される機会の方が多いはずなので、より一層表示速度などにも気を配る必要があるでしょう。
注意点2. ギミック(仕掛け)が多すぎるのは逆効果
「ギミック(仕掛け)を凝らしたデザインの方が、ユーザーの心を射止めるもの」だと思っている方、案外多いのではないでしょうか。
ですが、これは勘違いだといえます。むしろ、ユーザビリティと相反する考え方といっても過言ではありません。
ギミックが多すぎるサイトは、逆に負荷が掛かることから思うように動作しないことも考えられますし、何しろユーザーが欲しい情報をすぐに見つけられない事態に陥りかねません。
自己(自社)満足なWebサイトを作るのではなく、ユーザーの使いやすさを忘れずに制作するように心がけましょう。
注意点3. リニューアルすれば必ず結果が伴うとは限らない
ユーザビリティ評価を通じて、現状のWebサイトに多くの課題を発見できたケースでは、思い切ってサイトの大幅なリニューアルに踏み切ることも少なくありません。
ですが、既存のユーザーは、現状のWebサイトの構成等に慣れているため、大幅なリニューアルを実施してしまうと、かえって使いづらくなってしまうケースも想定され、そのまま顧客離れにつながることも否めません。
ある程度の訪問ユーザーをすでに抱えているWebサイトでは、大幅なリニューアルが本当に必要かどうか、しっかりと検討することも不可欠でしょう。
ユーザビリティ評価はGIGにお任せください
ユーザビリティ評価を行うことで、Webサイトやアプリの課題を見つけることができます。またその評価を通じて適切に改善できれば、ユーザビリティの向上が期待でき、かつPVやCVアップといった成果にもつながるはずです。
ユーザビリティ評価のなかでも、ユーザーに評価してもらうのか、専門家に評価してもらうのかは、分かれるところですが、どちらの評価にしても、評価実施前にはある程度の下準備が必要となります。
そういった下準備の段階から、ユーザビリティ評価全般に「知見」や「実績」のある制作会社、UI/UXデザインの領域で多くの実績を持つ制作会社にユーザビリティ評価を依頼することをおすすめします。
そうすれば、きっと得られる評価の「質」や「量」も違ってくるでしょう。
GIGではユーザビリティ評価はもちろんのこと、クライアント企業が抱える課題を明確にし、目的を達成するためのプランニングから運用・改善まで総合的にサポートいたします。
豊富なシステム開発の実績が示すように、GIGはお客様と丁寧で密なコミュニケーションを重ねてきたと自負しております。ユーザビリティ評価について分からないことや不明点がある場合には、無料相談から承っておりますので、ぜひ一度お問い合わせください。
■株式会社GIG
お仕事のお問い合わせはこちら
会社紹介資料のダウンロードはこちら
採用応募はこちら(GIG採用サイト)
採用応募はこちら(Wantedly)
WebやDXの課題、お気軽にご相談ください。
GIG BLOG編集部
株式会社GIGのメンバーによって構成される編集部。GIG社員のインタビューや、GIGで行われたイベントのレポート、その他GIGにかかわるさまざまな情報をお届けします。