ユーザーインタビューとは? 手順や実施目的、成功のコツを解説|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG

ユーザーインタビューとは? 手順や実施目的、成功のコツを解説

2023-03-11 制作・開発

商品やサービスの開発・改善を行う際、ユーザーの生の声を反映させることは大切なプロセスのひとつです。

ユーザーの反応など定性的な調査を行う際に活用されるものに、「ユーザーインタビュー」というものがあります。しかし、ユーザーインタビューの実施を検討しているものの、実際どのように進めていけば良いのかイマイチわからないと感じている方も多いのではないでしょうか。

ひとことでユーザーインタビューと言っても、目的や実施の手順などが明確になっていない状態で実施してしまうと、おそらく満足する結果は得られないでしょう。

そこで今回は、ユーザーインタビューの手順や目的、成功させるためのコツなどを解説していきます。

ユーザーインタビューとは?

ユーザーインタビューとは、商品やサービスに対する意見をユーザーからヒアリングするUXリサーチ手法のひとつです。UX戦略を立てるケースでは、ユーザーインタビューは「UI/UXリサーチ」のフェーズで活用することが多くなります。

ビッグデータやAIなどを駆使して、数値をもって傾向を調査・分析する「定量調査」に対して、ユーザーインタビューは、ユーザーのニーズや問題点などを深掘りする「定性調査」にあたります。

定性調査では、一般的にインタビューや観察結果などを用いて、数値化できないものを調査・分析します。そのため、統計精度はそこまで求めず、ひとつの事例から深い洞察を得ることが目的となります。

ユーザーインタビューでは、ユーザー個々の体験から分析を行うので、数値だけでは決して見えてこないユーザーのニーズをくみ取ることも可能でしょう。

また、ユーザーインタビューは大きく分けて、「構造化インタビュー」「半構造化インタビュー」「非構造化インタビュー」の3種に分類できます。それぞれの特徴について確認しておきましょう。

構造化インタビュー

構造化インタビューとは、あらかじめ事前に決めた質問項目を用いて、一問一答形式でインタビューを進める手法のことを指します。

構造化インタビューでは、多くのユーザーから同じ基準の情報を得られますが、一方で、その回答に対してさらに深掘りした質問を重ねることなく次の質問に進んでいくため、回答にある背景やユーザー心理に深く踏み込めないといった側面もあります。

半構造化インタビュー

半構造化インタビューとは、あらかじめ決めた質問項目だけを聞くのではなく、ユーザーの回答に対して、さらに別の質問を重ねていくことで、回答の背景にある事象やユーザー心理を深掘りしていく手法のことを指します。

半構造化インタビューでは、回答者の背景や心理まで情報を収集できるのはメリットです。一方で、インタビューする側のスキルによって得られる情報の質が大きく変わってくるので、経験豊富なインタビュアーの存在が不可欠となります。

非構造化インタビュー

非構造化インタビューとは、質問項目を定めずに、テーマだけを決めて自由に対話するインタビュー形式のことを指します。

インタビュー中はユーザー主導で話が進むので、自由度が高く、話が脱線しやすくはなります。しかし、インタビューする側にとっては重要性が低い内容でも、ユーザーにとってはテーマに深く関係していると思っている場合もあるため、ひとまず話は聞き続けましょう。

このように、やや難易度が高い手法ではありますが、思わぬ発見を得られる可能性があるインタビュー形式でもあります。

ユーザーインタビューが必要な理由

ここでは、ユーザーインタビューがなぜ必要なのかを解説していきます。

理由1. ユーザーの生の声が聞ける(定性的な調査ができる)

事業を成功させるためには、ユーザーのニーズや需要を正しく把握し、それに見合うサービスや商品を提供することが不可欠です。

こうしたニーズや需要を把握する手段として、昨今ではビッグデータやAIの活用が盛んに取り上げられていますが、これらはあくまでデータからしか判断できません。もちろんデータを有効活用してニーズをくみ取る定量調査も必要です。ですが、ユーザーの生の声からニーズや需要をくみ取れる定性調査も忘れてはいけません。

コロナ禍の影響で、ユーザーインタビューもオンライン形式で行うことが増えてきていますが、以前はオフラインでの対面形式でユーザーインタビューを行うのが一般的でした。対面のケースだと、ユーザーの反応を直接確認できます。そのため、表情や仕草といった非言語情報も同時にチェックできるので、データだけでは決して見えてこないニーズや需要が読み取れるはずです。

理由2. ペルソナ/カスタマージャーニマップの精度が高まる

▲出典:JMAマネジメントスクールカスタマージャーニーには、文字通り「顧客の旅」という意味が込められており、顧客が商品やサービスを認知してから購入・利用に至るまでの一連の流れのことを指します。また、カスタマージャーニーを視覚化したものに、カスタマージャーニーマップというものがあります。

ペルソナとは、商品やサービスを利用するユーザー像のことで、カスタマージャーニーを考えていく際には、まずペルソナを設定することが求められます。有益なカスタマージャーニーマップを作成するためには、ペルソナはできるだけ詳細に設定する必要があり、年齢・性別・職業・家族構成・居住地・ライフスタイルなどの情報を細かく決めていきます。

ビッグデータのような定量的なデータがあれば、カスタマージャーニーマップを作成する根拠として利用したくなりますが、定量データはカスタマージャーニー全体を効果的に描くために必要なユーザーの感情や考え方、動機を把握するには不向きだといえます。

こうした知見を得るためには、定性調査を用いてユーザーと直接会話するのが有効な手段です。ユーザーインタビューを実施することで、ユーザーの体験や考え方、行動に関するストーリーを直接聞くことができ、質問次第ではカスタマージャーニーの各フェーズで突っ込んだ質問をすることも可能でしょう。そうすることでカスタマージャーニーマップの精度も高まっていきます。

理由3. 内部ではわからない課題/改善点を発見できる

ユーザーインタビューを行う目的のひとつに、情報収集が挙げれます。商品やサービスの開発・改良を行うために必要なユーザーの生の声からは、ターゲットユーザーの要望や価値観なども把握できるはずです。

ほんのささいな情報から、新たな課題や改善点の発見につながることもあります。インタビューを通じてユーザーと積極的にコミュニケーションを行い、情報収集するように心がけましょう。

ユーザーインタビューの手順

ここからはユーザーインタビューの手順について解説を進めます。

手順1. 実施目的を明確にする

まずはユーザーインタビューを行う目的を明確にすることが重要です。目的があいまいだと、質問もあいまいとなり、回答者からもありふれた無難な回答が返ってくることが想定されます。

時間とコストを割いて行うインタビューなので、質問者・回答者それぞれのためにも、目的は必ず明確にしましょう。

目的を設定するケースでは、とくに以下の3点について明確にしておくことをおすすめします。

・課題とゴール:現状どのような課題があり、何を実現するためにインタビューするのか
・検証すること:ユーザーインタビューによって何を検証したいのか
・調査結果の活用法:ユーザーインタビューで得た情報をどのように活用するのか

手順2. 対象者の要件を決めてリクルーティングする

目的が明確にできたら、次に対象者の要件を決めてリクルーティングする必要があります。要件を決める際には、以下のものを順に決めていきます。

■ユーザー条件を決める

まずはインタビューを実施するユーザー像(ペルソナ)を決めていくところからです。対象者が異なれば、サービスや商品を実際に使用した際の課題や潜在的な意識も違ってくるため、適合する条件の人物を対象者とすることが求められます。

ユーザー条件を決める際には、「性別」「年齢」「職業」「年収」「家族構成」「趣味嗜好」などの情報を条件として、より詳細に設定すると良いでしょう。

■インタビュー人数を決める

ユーザー条件を決めたら、何人にインタビューするのかも決める必要があります。一般的には、5~6人に対してユーザーインタビューを実施すれば、ある程度の傾向がわかると言われています。

3~4人でも新たな発見やニーズが得られるケースもあるので、スピード感をより重視するのであれば、この人数でも良いでしょう。

ユーザビリティ研究の第一人者であるヤコブ・ニールセンによると、ユーザビリティテストは5人に行えば約85%の問題を発見できると公表しています。ですので、あまり大人数にこだわり過ぎず、5~6人を目安に進めていきましょう。

■合致するユーザーを探す

ユーザー条件・必要な人数まで決まれば、あとは合致するユーザーを探すのみです。探し方には、「パネル会社に依頼する」と「人脈を使う」の2種類に大きく分けることができます。

パネル会社に依頼する場合、あらかじめ決めた条件に合致するユーザーを効率的に探せるというメリットがあります。一方で、特殊な条件や複雑な条件の場合には、条件に合うユーザーがパネル会社のリストに存在せず、ユーザー見つからない可能性も。また、一度リクルーティングを始めると、途中でユーザー条件を変えることができないこともあるので、注意が必要です。

一方、人脈を活用すれば、特殊な条件や複雑な条件の場合でも、条件に合うユーザーにインタビューできる可能性があります。また、リクルーティングの途中でも、条件を変えて別のユーザーに依頼することもできるでしょう。

ただし、人脈に依存するぶん、効率的にユーザーを集めることが難しい場合も。工数や時間がかかってしまうことも想定しておかなければなりません。

手順3. 事前準備を行う

良いユーザーインタビューを実施するためには、事前準備が不可欠です。

■ユーザーに聞きたいことをまとめる

まずはユーザーに聞きたいことをあげていきましょう。

たとえば、旅行の計画ができるアプリに関するユーザーインタビューを行うのであれば、以下のような質問が候補にあがるはずです。

・いつ、どのように旅行の計画を立てていますか?
・旅行の計画でいつもどんなことに困っていますか?
・旅行の計画を立てるときに、何を一番重視しますか?
・旅行の計画を立てるときに、何を参考にしていますか?
・旅行の計画で一番時間がかかるものは何ですか?
・同行者とどれくらいコミュニケーションを取りながら計画を進めていきますか?

■質問の聞き方や順番を考える

ユーザーインタビューでは、回答者のプロフィールや仕事内容など、バックグラウンドの状況をまずは聞いてからメインテーマの質問に移るようにします。いきなり核心となるテーマについての質問を投げかけても、おそらく回答者から「ありふれた無難な回答」しか得られないでしょう。

回答者の体験から本音を上手く引き出すためには、質問の順番や聞き方は慎重に検討する必要があります。

■質問票を作成する

質問項目を順番に沿って記載した「質問票」を作成し、当日手元に用意しておきましょう。

質問項目以外にも、回答者に関する情報をあらかじめ記載しておくとアイスブレイクに役立ち、よりスムーズなインタビュー進行が実現できるはずです。

■場所・機材・インタビュアーを確保する

ユーザーインタビューの実施形態には、Zoomなどを使ってオンラインで行う方法と、会場を用意して対面で行うオフラインの方法があります。

オンラインのメリットは、場所の制約を受けないため国内・海外と幅広く対象ユーザーを集められることです。また、交通費や移動の手間を削減できるというのもメリットでしょう。

オフラインのメリットは、ユーザーの反応を直接確認できるため、表情や仕草などの非言語情報も把握しやすい点が挙げられます。

インタビュー時は、以下の機材などを最低限準備しておきたいところです。

1. PCまたは筆記用具
2. 質問票
3. 録音機器(スマホアプリでも可)
4. 時計
5. カメラ(撮影がある場合)

インタビュアーは外注しても構いませんが、外注する際には、事前にインタビューの目的や対象者の情報、質問項目について細かく共有しておきましょう。

手順4. ユーザーインタビューを実施する

事前準備まで済めば、いよいよユーザーインタビューの実施です。

ですが、事前準備を万端にしていても、短い時間でインタビューを受ける側のユーザーと信頼関係を構築する必要があります。

ユーザーと信頼関係を築いてインタビューを有効なものにするためにも、以下のことは心がけましょう。

1. 経験が浅い場合、インタビュー前に想定インタビューなどを実施しておく
2. インタビュー前や実際のインタビュー開始時に、インタビューをする理由とこのインタビューがどのように活用されるのかをきちんと説明する
3. リアクションを意識し、話をきちんと聞いてもらっていると感じられるようにする
4. ユーザーの話をゆっくりと聞くようにする

ただし、どれだけ準備をしていても、インタビューには当日のアクシデントなどがつきものです。不測の事態が発生した際も、焦らず冷静に対処しましょう。

手順5. 結果を分析し、改善につなげる

ユーザーインタビューが無事に終わっても、「実施すればそれで完了」とならないのがユーザーインタビューでもあります。そこから分析を行い、レポートにまとめるまでが一連の流れです。

ユーザーインタビューの結果を分析する際には、目的を常に意識しながら、正しいプロセスに沿って進めることが大切です。

分析フェーズでのプロセスは、以下の順番を参考にしてください。

1. 対象者の発言を書き出し、整理する
2. 整理した内容のニーズをひもとく
3. ニーズに優先順位をつける
4. 優先度の高いニーズでは、ニーズを満たすために何をすべきかを検証する

ユーザーインタビューを成功させるためのコツ

時間とコストをかけて行うユーザーインタビューは、次のフェーズにつながるものしたいところです。最後に、ユーザーインタビューを成功させるためのコツを解説します。

コツ1. 質問はオープン・エンド型で行う

質問方法は、大きく分けて「オープン・エンド型」と「クローズド・エンド型」に分類できます。

オープン・エンド型とは、「昨日の交流会はどうでしたか?」「このアプリについてどう思いますか?」のように、回答する人が自由に意見を発言できる質問の型です。一方、クローズド・エンド型とは、「昨日の交流会は楽しかったですか?」「このアプリは面白いですか?」など、YesとNoの二択で回答できる質問の型を指します。

クローズド・エンド型では、ユーザーが「なぜそう思ったか」「どのように感じたか」のような背景や心理までは読み取れないので、ユーザーインタビューを行う際には、オープン・エンド型を意識して進めるように心がけましょう。

オープン・エンド型を意識して聞き方の工夫ができてくると、こちらから質問攻めをしなくても、ユーザーからストーリーを引き出すことができるはずです。

ただ、クローズド・エンド型の質問形式は、オープン・エンド型よりもユーザーが答えやすいという側面もあります。ケースバイケースではありますが、オープン・エンド型の質問に入る前に、クローズド・エンド型の質問を行い、ユーザーインタビューに慣れてもらうきっかけ作りとする方法もあります。

コツ2. 回答を誘導するような聞き方はしない

回答を誘導するような質問を行うと、回答を示してしまうことにもつながり、ユーザー心理にバイアスがかかる恐れがあります。

たとえば、「○○製品をよく使っているのはなぜですか?」のような質問を投げかけると、ユーザーがそこの製品をよく利用していることが決まっているかのような質問となり、回答を誘導することにつながります。

また、インタビュー中に「なぜ?」という聞き方を繰り返すと、ユーザーは圧迫感を覚えることもあるため注意が必要です。

「なぜ?」と聞かれると正解を探そうという心理が働きやすくなり、本質的な回答が引き出せなくなることもあるので、質問の仕方にも工夫が必要です。

ユーザーのニーズを深掘りしていくためには、インタビュー中は誘導するような質問はせずに、話を聞くことに徹することも必要でしょう。

コツ3. 回答者の本音を引き出す

「なぜこのアプリをよく使っているのですか?」「どんな機能があれば便利だと思いますか?」と質問された場合、皆さんはすぐに明確な答えが出せますか?

ユーザーインタビューにおいても、上記のような質問を投げかけても明確な回答が返ってくる可能性はそこまで高くありません。または、ユーザー自身の経験からではなく、インターネットの情報から得たような一般的な回答しか返ってこないことも多々あります。

これではユーザーインタビューをやる意味があまりありません。

ユーザーインタビューでは、回答者の話す内容から、ユーザー自身も気づいていないようなニーズをくみ取ることが求められます。回答者が直接的に欲しているものを聞くのではなく、ユーザーの本音から回答を引き出すことを意識することが何よりも大切です。

ユーザー個々のニーズを探り当てたいならば、過去の出来事や経験・行動、そのときの考えや感情といった回答者の本音に耳を傾けていきましょう。

ユーザーインタビュー/UXリサーチはGIGにお任せください

今回はユーザーインタビューについて解説を進めてきましたが、UI/UXの視点でビジネス上の課題を解決する、いわゆる「UX戦略」の中でもユーザーインタビューはよく活用されます。

商品やサービスの開発・改善を行う際に、ユーザーへのリサーチをとくに行わず、「ユーザーが何を求めているのか」を憶測だけで考えてしまうのはとても危険なことです。

企業側とユーザーの感覚にはギャップがあることが多く、ユーザーインタビューを通じてニーズや課題を発見し、その分析結果から得た解決策を商品やサービスに反映させることは不可欠だともいえます。

GIGでは、ユーザーインタビューの経験が豊富なインタビュアーが在籍しているのはもちろんこと、UI/UXデザインの改善から、調査・分析・企画・実行・検証まで一気通貫での支援を提供しております。成果につながるユーザーインタビュー/UXリサーチを行いたい方は、GIGまでお問い合わせください。

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