カスタマージャーニーマップの作り方【現役インハウスマーケターが解説】|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG
BLOG
ブログ
カスタマージャーニーマップの作り方【現役インハウスマーケターが解説】
2023-09-27 制作・開発
こんにちは、株式会社GIGでインハウスマーケティングやクライアントのマーケティング支援を行っている早河です。
近年、カスタマージャーニーマップなどを活用し顧客との関係性の可視化を行い、適切なタッチポイントでアプローチしていくことが重要視されています。
そこで今回はカスタマージャーニーマップの基礎知識から作成方法、注意点までをご紹介します。
弊社GIGでは、Webサイト・システム制作を行っています。ペルソナやカスタマージャーニーマップ設計、アクセス解析など包括的な支援が可能です。Webマーケティングでなかなか成果を出せずにお悩みなら、お気軽にご相談ください。
カスタマージャーニーマップとは
カスタマージャーニーマップは、顧客が製品やサービスを利用する過程を可視化し、理解するためのツールです。
顧客があるプロダクトに接したときの経験や抱いた感情、行動を追跡し、グラフィカルなマップや図表で表現します。
ビジネスやマーケティング戦略を改善し、顧客体験を最適化するのに役立ちます。
カスタマージャーニーマップの基本要素
カスタマージャーニーマップの基本的なフレームは以下の通りです。
構成する基本要素は6つあり、それぞれの要素を組み合わせて作成し、分析することで顧客の視点からビジネスやサービスを改善するための戦略を立てることが可能です。
まずは6つの基本要素について解説します。
1. ペルソナ
ペルソナとは、プロダクトを利用するターゲット層を具体化した人物像をさします。
年齢や性別、居住地などデモグラフィック情報だけではなく、行動パターンや好み、関心などの情報も設定します。
これらを細かく設定し、顧客の行動や考えていることを明確にするのです。
ペルソナの設定は顧客理解に欠かせないものであり、カスタマージャーニーマップのベースとなります。
2. フェーズ
フェーズは、顧客がプロダクトを知ってから購入・利用・リピートするまでの流れを時系列で表現したものです。
プロダクトによって顧客の購入プロセスや購買方法は変わるため、必ずしも上の基本例と同じでなくても大丈夫です。
もし具体的なフェーズに落とし込めないときは、競合他社のプロダクトやカスタマージャーニーマップを参考にしてみると良いでしょう。
3. 顧客の行動
各フェーズにおいて、顧客がどのような行動をとるのかを検討します。
・課題認識:プロダクトと出会うきっかけ
・情報収集:SNSやWebサイトなど
・比較検討:価格やデザインなど
・決定・導入:購入や来店など
顧客の行動を理解することは、提供すべき情報や施策を考えるのに役立ちます。
4. 顧客の感情
フェーズごとの顧客の感情とニーズを捉えます。カスタマージャーニーマップでももっとも重要な要素の一つです。
各フェーズで顧客がどのような感情を抱いているのかを具体的に記載しましょう。「喜び」や「不満」「不安」「期待」といった感情に寄り添うことで、具体的な対応策を講じることが可能です。
5. 顧客とのタッチポイント
タッチポイントとは、顧客がプロダクトと接触するシーンを指します。タッチポイントには、以下のようなものがあります。
・Webサイト
・SNS
・広告
・メールマガジン
・店舗スタッフとの会話
顧客の行動にあわせた最適なタッチポイントを記載していきましょう。
6. 自社の施策
顧客の行動をもとに、自社が行うべき施策やアクションプランを設計していきます。施策の具体例は以下の通りです。
・広告キャンペーン
・コンテンツ制作
・顧客サポート
・フォローアップ
適切な施策を展開することで、顧客の満足度が向上し、リピーターへと育てることができます。
カスタマージャーニーマップの作成手順
実際にカスタマージャーニーマップの作り方をステップ形式で解説します。
ステップ1. リサーチとデータ収集
まずは、顧客に関する情報を収集して、既存のデータや調査結果を確認します。
顧客へのインタビューやフィードバックを通して、実際に顧客が体験した情報を収集しましょう。
競合他社や業界トレンドに関する情報も収集して、市場規模や動向などを把握しておくことが大切です。
関連記事:UI/UXリサーチとは?かかる費用や事前準備、実施タイミング、事例まで解説
ステップ2. ペルソナの定義
収集したデータをもとに、ペルソナを定義します。年齢層や性別、購買力などを考慮します。各ペルソナの特性や行動パターン、好みを詳細に記述しましょう。
項目 | 設定 |
年齢・性別 | 35歳・男性 |
年収 | 600万円 |
居住地 | 東京都杉並区 |
勤務先・役割 | 中小企業のWeb制作担当者 |
職場での責任 | 自社のプロダクトの販促目的でWebサイトを制作したいと考えている。 |
性格・考え方 | 人に聞くより自分で調べて解決する。決断する前にじっくり比較検討する。 |
プロダクトによっては複数のペルソナが必要になることもあります。それぞれに対応するカスタマージャーニーマップを作成することで、幅広い層へ施策を展開することが可能です。
関連記事:ペルソナ設計とは? 設計の方法から分析、ワークショップ、事例までを徹底紹介
ステップ3. ステップとタッチポイントのマッピング
顧客の購買プロセスをフェーズごとに分けて、プロダクトとのタッチポイントを明確にしていきます。
フェーズ | タッチポイントの例 |
課題認識 | ・Web広告 |
情報収集 | ・SEOコンテンツ |
比較検討 | ・セミナー |
決定・導入 | ・商談 |
スタマージャーニーマップのフェーズを明確にして整理したら、フェーズごとのWebサイトやアプリ、カスタマーサポートなどのタッチポイントを洗い出し、それぞれ適切なタッチポイントをマッピングします。
適切なマッピングができれば、効果的な施策を立案することが可能です。
ステップ4. 感情とニーズのドキュメンテーション
顧客が各フェーズで抱いている感情やニーズを可視化するステップです。
「満足」や「不満」「興奮」「不安」などあらゆる感情やニーズを想定しながら、顧客が各ステップで何を求めているか、どの課題に直面しているかを明確にします。
フェーズ | 顧客の感情例 |
課題認識 | 何がいけないんだろう? |
情報収集 | 最近のデザインのトレンドは? |
比較検討 | この制作会社は値段が高いな |
決定・導入 | 返信が早かったこの会社に依頼しよう |
こうした顧客の感情は、事前に定性調査を実施しておくと、より理解を深めることが可能です。
関連記事:ユーザーインタビューとは? 手順や実施目的、成功のコツを解説
ステップ5. カスタマージャーニーマップの作成
ステップ1〜4で収集・設定した情報をもとに、カスタマージャーニーマップを作成します。一目で見て流れを理解できるように、端的にまとめましょう。
どれだけ目標を達成しているのか把握するために、各フェーズで適切なKPIを設定することも大切です。
フェーズ | KPIの例 |
課題認識 | WebサイトのPV数 |
情報収集 | コンテンツの閲覧時間 |
比較検討 | 商品のお気に入り登録数 |
決定・導入 | 購入完了率 |
顧客ニーズは時代とともに変化するため、作成したカスタマージャーニーマップは定期的に更新しましょう。
関連記事:コンテンツマーケティングのKPI設定方法は? KPIに使える指標も解説
カスタマージャーニーマップの作成事例とポイント
次に、カスタマージャーニーマップを作成して活用した企業事例を紹介します。どのように活用しているのか着目してみてください。
事例1. 株式会社ジェーシービー(JCB)
JCBはクレジットカードの利用者がどのようにカードを利用しているのかを分析して、顧客の行動パターンにあわせたメッセージを配信しています。
カスタマージャーニーマップには、入会から利用の定着までの顧客の行動やタッチポイント、施策などが設定されています。顧客理解を深めたことで、「入会お礼メール」の開封率は70%を達成。MyJCBへのログインページへのクリック率も約43%となったそうです。
ほかにも、カード未利用者へのフォローアップにもカスタマージャーニーマップが活用されています。顧客の課題や行動を可視化することで、適切なタイミングでフォローを行得るようになったそうです。
事例2. 日本政府観光局(JNTO)
日本政府観光局(JNTO)は、訪日観光客の旅程をフェーズごとに分析して、カスタマージャーニーマップを作成しました。これにより観光客に適切な情報提供が可能となりました。
フェーズは訪日前からスタートし、帰国や再来日まで設定しています。各フェーズで旅行者がどのような情報を必要としているのかを把握し、それに合わせた施策を講じています。
情報提供の目的や訴求内容を明確に定めて、FacebookやInstagramなどのSNSで配信しています。
国によって好まれる画像が異なるため、訴求する国の傾向を分析したうえで画像やコピーを選定。ターゲットごとに最適なコンテンツを配信し、旅行者の体験向上と観光地への誘致につなげています。
関連記事:BtoB向けのカスタマージャーニーマップの作り方と手順、注意点を解説
関連記事:カスタマージャーニーマップをWebサイト設計に活かす方法とメリットを解説
カスタマージャーニーマップを作成する目的
カスタマージャーニーマップを作成する目的は、次の5つが挙げられます。
1. 顧客体験の向上
2. 顧客との接点を強化
3. マーケティング戦略の改善
4. 社内で認識を共有
5. 課題の優先順位の明確化
それぞれ解説します。
1. 顧客体験の向上
カスタマージャーニーマップを通じて、顧客がプロダクトとどのように関わりをもっているのかを理解できます。どの段階で不満を感じているのか、満足しているのかを把握できるわけです。
顧客のニーズに合わせてプロダクトを改善することで、顧客満足度を高めることができます。
2. 顧客との接点を強化
カスタマージャーニーマップでは、顧客のすべてのタッチポイントが明確になります。各タッチポイントで顧客のニーズにあわせたコンテンツを提供するなど、パーソナライズされたコミュニケーションを取ることが可能です。
顧客は求めている情報を提供してもらえることから、企業への好感度が高まり、信頼関係を構築することができます。
3. マーケティング戦略の改善
カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客の行動パターンや好みを把握し、より効果的なマーケティング戦略を立てることが可能です。
顧客に合わせたキャンペーンやプロモーションを展開することで、見込み顧客の獲得やCV率の向上が期待できます。
4. 社内で認識を共有
カスタマージャーニーマップは、営業部やマーケティング部、カスタマーサポートなど社内で顧客への理解を共有するためのツールとして役立ちます。
社内の関係者全員で共通認識をもてることから、チーム間の連携が強化され、最終的な目標達成に向けてプロジェクトを進めることが可能です。
5.課題の優先順位を明確化
カスタマージャーニーマップを作成する目的は、顧客が直面している問題や不満に対して早期に対応するためです。
プロダクトの品質を向上させる前に、不満点を改善できます。
カスタマージャーニーマップなら、顧客の購買プロセスが視覚的に表現されるため、どのフェーズで不満を抱いているのかがわかります。そのため、優先的に対応ができるのです。
どのフェーズで不満を抱いているのかがわかるため、すぐに改善できます。
ビジネスプロセスに顧客視点は欠かせません。カスタマージャーニーマップの活用により、顧客体験の向上と売上向上などに大きく貢献することが可能です。
カスタマージャーニーマップを作成するうえでの3つの注意点
カスタマージャーニーマップを作成するときに気を付けてほしい3つの注意点について解説します。
注意点1. 信頼性のあるデータを収集する
カスタマージャーニーマップを作成するときは、信頼性のあるデータをもとに作成しましょう。
顧客の行動、感情、ニーズに関する正確な情報を収集し、信頼性のあるデータを使用してマップを作成します。不正確な情報は、取るべき施策にも影響を与えてしまうため、効果が得られなくなる可能性があります。
また、収集データをマップに落とすときに、情報を単純化しすぎないように注意が必要です。購買行動や体験は顧客ごとに異なります。さまざまな感情やタッチポイントがある中で、単純化しすぎてしまうと正確な顧客理解ができなくなるのです。
よく似たデータをまとめてパターン化することで、バリエーションをもたせたまま視認性の高いカスタマージャーニーマップを作成できます。
情報の優先順位をつけても良いでしょう。
関連記事:ユーザー起点で考える顧客体験とは~見直すべきUI/UXとインテントデータの利活用
注意点2. 複数のペルソナを考慮する
企業にはさまざまなタイプの顧客がいます。カスタマージャーニーマップを作成するときは、各顧客の体験を理解し、それに合わせてマップを調整しなければいけません。
すべての顧客が同じ経験をするわけではないことを、しっかりと理解しておきましょう。
また、顧客データを扱うときは、プライバシーの保護にも配慮してください。関連法規を守りつつ、個人情報を安全に管理することを明示することが大切です。
注意点3. マップは定期的に更新する
カスタマージャーニーマップを作成して、成果を上げるには実践することが大切です。マップを活用して、顧客体験を改善するための戦略やアクションプランを策定し、実行に移します。
実行後、カスタマージャーニーマップを変化する顧客ニーズにあわせて定期的に更新し、最新の情報を反映させましょう。
常に顧客の変化に対応するため、ふだんから適切な情報やデータを収集して準備をしておくことが大切です。
カスタマージャーニーマップの活用方法
カスタマージャーニーマップを実際のマーケティングで活用するときは、顧客の視点で考え、実際の顧客とのインタビューや調査を通して、データに基づいたマップを作成することが重要です。
ここでは、マーケティング施策にカスタマージャーニーマップを活用する方法を紹介します。
1. コンテンツマーケティング
カスタマージャーニーマップをコンテンツマーケティングに活用するポイントは、次の7つが挙げられます。
1. 顧客の購買プロセスを理解すること
2. ターゲット顧客のペルソナを設定すること
3. 各フェーズに適したコンテンツを提供すること
4. コンテンツの種類を多様化すること
5. 顧客の反応を測定して改善を続けること
6. ストーリーテリングを活用すること
7. SEOを意識したコンテンツ作成すること
カスタマージャーニーマップでは、顧客がどのような経路でプロダクトを知り、選択をして、購入するかを把握できます。
この情報をもとに、顧客のニーズや感情を理解することで、最適なコンテンツを制作し、配信することが可能です。
弊社GIGでは、株式会社タイミー様のオウンドメディアのコンテンツ作成にあたって、カスタマージャーニーマップを作成しました。ユーザーの抱える不安や悩みを理解したうえで、コンテンツマップを作成しています。
これにより検索エンジンから多くの流入数を得ることができました。
関連記事:コンテンツマーケティングの実施手順を解説|成功させる3つのコツ
2. SNSマーケティング
SNSマーケティングにカスタマージャーニーマップを活用するポイントは、次の5つが挙げられます。
1. SNSマーケティング専門のチームや担当者を決めること
2. 目的やターゲットを明確にすること
3. 炎上リスクに注意して、ITリテラシーを習得すること
4. 計画とKPIを立てて実行すること
5. 自社ターゲットが多く利用するSNSを選び、指標を把握しデータを分析すること
カスタマージャーニーマップを用いて、顧客がどのように自社のプロダクトに興味をもち、どのように情報を収集するかを把握したうえで、最適な施策を考えることが大切です。
とくにSNSマーケティングでは、自社のSNSアカウントのフォロワーを増やさなければそもそも効果は期待できません。フォロワー獲得のため、カスタマージャーニーマップを作成して、コンセプトやキャンペーンの内容を精査しましょう。
さらに投稿内容を拡散してもらうための施策を講じることも大切です。これにより効果的なマーケティング活動を実現できます。
顧客が思わず「シェアしたくなるコンテンツ」を作成するために、カスタマージャーニーマップを活用しても良いでしょう。
3. メールマーケティング
カスタマージャーニーマップをメールマーケティングに活用するためのポイントには、次の5つが挙げられます。
1. 配信の目的・ターゲットの設定を明確にすること
2. メール配信リストやコンテンツ内容は自社データを活用すること
3. KPIを設定すること
4. 配信のタイミングを顧客ごとに最適化すること
5. 伝わりやすい件名やコンテンツにすること
カスタマージャーニーマップで顧客が「購買活動のどのフェーズにいるか」を見極めて、適切な情報をメールで配信します。
顧客の購買活動のフェーズを決めるときは、AISCEAS(アイシーズ)モデルを活用すると良いでしょう。AISCEASとは、次の各フェーズの頭文字をとった造語です。
・Attention(注意)
・Interest(関心)
・Search(検索)
・Comparison(比較)
・Examination(検討)
・Action(購買行動)
・Share(情報共有)
購買活動だけではなく、顧客の属性を理解したうえで配信内容を設計する方法もあります。
新規顧客やリピーターではニーズや感情が異なるものです。それぞれの顧客に寄り添った情報を提供しましょう。
関連記事:メールマーケティングとは?基本ステップから具体的な手法までをわかりやすく解説
カスタマージャーニーマップを活用して効果的なマーケティングを
カスタマージャーニーマップの概要から作成方法、注意点までをご紹介しました。顧客との接点を正確なデータをもとに可視化することで、ステークホルダーとの共通認識をもつことができ、ビジネスを適切な方向へ導くことができます。
株式会社GIGでは、カスタマージャーニーマップの作成はもちろん、マーケティングを中心とした中長期的な事業の成長を支援しています。ご興味がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
また、一緒に働くメンバーも募集中です。少しでもご興味をもっていただいた方は、ぜひカジュアル面談でお話しましょう。
株式会社GIGは、ナショナルクライアントからスタートアップまで、Webコンサルティング、UI/UXデザイン、システム開発など、DX支援をおこなうデジタルコンサルティング企業です。
また、45,000人以上が登録するフリーランス・副業向けマッチングサービス『Workship』や、7,000人以上が登録するデザイナー特化エージェントサービス『クロスデザイナー』、リード獲得に必要な機能を備えたCMS『LeadGrid』、UXコンサルティングサービス『UX Design Lab』などを展開しています。
WebやDX支援のご相談はいつでもご連絡ください。
■株式会社GIG
お仕事のお問い合わせはこちら
会社紹介資料のダウンロードはこちら
採用応募はこちら(GIG採用サイト)
採用応募はこちら(Wantedly)
採用応募はこちら(Green)
WebやDXで困っている方、お気軽にご相談ください
早河 太貴
1997年3月生まれ。アドテクノロジー企業、SNSマーケティングの支援会社など数社を経て2021年9月に株式会社GIGに入社。現在は、GIGにおけるプロダクトマーケティング及び、クライアントのマーケティング支援まで担当。