情報バリアフリーとウェブアクセシビリティの違い|義務化の対応方法|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG

情報バリアフリーとウェブアクセシビリティの違い|義務化の対応方法

2024-05-01 制作・開発

情報バリアフリーへ取り組むことで、ウェブアクセシビリティの確保につながります。それぞれ対象範囲が違うものの、情報へのアクセスのしやすさを重視しているためです。

対応についても共通点があり、「JIS X 8341-3:2016」や「WCAG」といったガイドラインが設けられています。効果的に取り組むには、それぞれの違いについて理解しておくことが大切です。

そこでこの記事では、情報バリアフリーとウェブアクセシビリティの違いについて解説します。今後、ウェブアクセシビリティの義務化に備えた対応策についてもまとめました。公的機関や民間企業の担当者は、ぜひ参考になさってください。

情報バリアフリーとは

そもそも情報バリアフリーとは、「バリア(壁)」が「フリー(ない)」ことを指します。障害者基本法では、情報バリアフリーについて以下のように定められています。

国および地方公共団体は、災害その他非常の事態の場合に障害者に対しその安全を確保するため必要な情報が迅速かつ的確に伝えられるよう必要な施策を講ずるものとするほか、行政の情報化および公共分野における情報通信技術の活用の推進に当たっては、障害者の利用の便宜が図られるようとくに配慮しなければならない。

▲出典:e-GOV法令検索「障害者基本法(情報の利用におけるバリアフリー化等)第22条2項

障害者や高齢者を含むすべての人がアクセスできるように、障壁を取り除いて利用できる状態を目指さなければなりません。

情報バリアフリーで解消が必要な「バリア」とは大きく分けて4つあります。

バリアの種類

物理的なバリア

・狭い通路や段差のある施設
・操作方法が限定されたコンテンツ

制度的バリア

・障がいを理由に利用が制限される
・障がいを理由に資格を取得できない

文化情報面のバリア

・認知できないことで情報が得られない

意識上のバリア

・バリアフリーへの認識が不足している
・障がいへの偏見など

▲出典:政府広報オンライン「知っていますか?街の中のバリアフリーと「心のバリアフリー」

このように情報バリアフリーで指す情報とは、書籍や街の案内表示、Webサイトなどあらゆる情報を指しています。こうした情報がだれでも利用できることを総称しているのです。

情報アクセシビリティとユニバーサルデザイン

情報へアクセスのしやすさを表す言葉に「情報アクセシビリティ」や「ユニバーサルデザイン」があります。それぞれとてもよく似ていますが、アプローチの仕方が異なります。

情報アクセシビリティとは

情報アクセシビリティは、情報へのアクセスのしやすさに着目した概念です。情報バリアフリーのなかでも、とくに障害者や高齢者が情報を理解しやすくすることに焦点をあてた取り組みを指します。

適用される情報とはWeb上の情報だけではなく、書籍や新聞、標識、音声ガイドなどです。情報アクセシビリティを確保するには、情報バリアフリーに取り組まなければなりません。

こうした情報のバリアを取り除く考え方をノーマライゼーションと呼びます。生活に必要な情報をすべての人に届けるためには、このノーマライゼーションの考え方にもとづいて情報格差(デジタル・ディバイド)を解消しなければなりません。

これは高齢化社会が進む中で多くの人が自立した生活を送るためにも大切な要素です。すべての人々のQOL(生活の質)を向上させるため、情報アクセシビリティの確保が求められます。

ユニバーサルデザインとは

ユニバーサルデザインは、年齢や障害、性別、国籍などを問わず、利用できるようにするためにデザインされたプロダクトを指します。

バリアを取り除くのではなく「初めからバリアがないように設計する」のです。

具体例として、イラストのみで情報を伝えるピクトグラムが挙げられます。ピクトグラムは、言葉がなくても何を示しているのか伝えられるデザインです。言葉と文化の壁を超えて、視覚的な情報で理解を助けてくれる役割を持っています。

こうして合理的に配慮されたプロダクトを共用品(アクセシブルデザイン)といいます。ここにインクルーシブ(包括的)デザインの視点を取り入れることで、だれもが利用できるようになるわけです。

これからの社会において高齢者は「リードユーザー」の役割を担います。高齢者からのフィードバックをもとにプロダクトを改善することで、すべての人々にやさしい社会の構築を目指すことができるでしょう。

ウェブアクセシビリティとは

ウェブアクセシビリティとは、障害者や高齢者などすべての人がWeb上で提供されている情報サービスにアクセスして利用できることを指します。

情報アクセシビリティを確保できれば、ウェブアクセシビリティも確保することが可能です。

ウェブアクセシビリティの取り組みとして挙げられるのが、カラーバリアフリーや人間中心設計です。

カラーバリアフリーは色覚障害をもつ人々が情報を正しく識別できるように、色覚障害に応じた配色に対応する取り組みです。

人間中心設計は、ユーザーを中心に開発を進めることを指します。ウェブアクセシビリティを確保するうえで、欠かせない考え方です。

こうしてウェブアクセシビリティに取り組むことで、情報バリアフリーの実現につなげることができます。

関連記事:ウェブアクセシビリティの義務化とは?対象範囲と2024年の対応策

ガイドラインと基準

国はすべての人々が公共分野のホームページを快適に利用できるように、「JIS X 8341-3:2016」にもとづいて「みんなの公共サイトガイドライン(2024年)」を作成しています。

「JIS X 8341-3:2016」とは、ウェブアクセシビリティの国際標準規格「ISO/IEC 40500」をもとに策定されたJIS規格です。適合レベルがA~AAAまであり、それぞれに達成基準が設けられています。

このガイドライン以外にも、ウェブアクセシビリティ対応初心者に向けて、デジタル庁では「ウェブアクセシビリティ導入ガイドライン」を無料で配布しています。

2024年4月には差別解消法改正により「合理的配慮の提供」の義務化が民間企業まで拡充されました。これにより、ウェブアクセシビリティへの対応が注目を浴びています。

関連記事:ウェブアクセシビリティのJIS X 8341-3の達成基準について解説

情報バリアフリーとウェブアクセシビリティの違い

情報バリアフリーとウェブアクセシビリティは、適用範囲と障壁となるバリアの種類、ガイドラインや基準がそれぞれ異なります。

適用範囲

情報バリアフリーとウェブアクセシビリティの適用範囲は以下の通りです。

情報バリアフリー

ウェブアクセシビリティ

・印刷物
・音声資料
・デジタルメディアなど

・Webサイト
・アプリケーション
・オンラインサービスなど

ウェブアクセシビリティの対象となるWebサイトやアプリケーションなどは、情報バリアフリーでも対象です。つまり情報バリアフリーを確保できればウェブアクセシビリティも確保できます。

対象ユーザー

情報バリアフリーとウェブアクセシビリティが対象とするユーザーは以下の通りです。

情報バリアフリー

ウェブアクセシビリティ

・視覚障害者
・聴覚障害者
・四肢障害者
・認知障害者
・高齢者
・外国人

・視覚障害
・聴覚障害
・四肢障害
・認知障害
・一般ユーザー


これらの人々は、いわゆる「情報弱者」に該当します。利用者の障害の有無や年齢、性別などを問わずすべての人々に必要な情報を届けることが大切です。

そのため、多くの人々が利用する公的機関のホームページは、ウェブアクセシビリティの適合レベルAAへの準拠が求められています。

関連記事:
自治体と企業のウェブアクセシビリティ事例|メリットと国の支援
アクセシビリティの「AA」とは?Webサイト制作における達成基準を解説

ユーザビリティとアクセシビリティの関係

情報へのアクセスを考えたときに、情報バリアフリーとウェブアクセシビリティとともに、よく聞かれる言葉に「ユーザビリティ」があります。

ユーザビリティはユーザーの使いやすさを目指すことを意味していますが、情報バリアフリーとウェブアクセシビリティと対象範囲やアプローチ方法が異なります。

例えば、視覚障害者が利用しやすいWebサイトを制作した場合、視覚障害をもつ人のユーザビリティのみ確保された状態でウェブアクセシビリティは確保されていません。

情報バリアフリーに取り組むと、ウェブアクセシビリティが幅広いニーズに対応できるように。Webサイトの使いやすさが向上することで、すべてのユーザーが情報にアクセスできるようになり、結果としてユーザビリティも改善されるのです。

関連記事:アプリ・ウェブのアクセシビリティ向上に重要な3要素

情報バリアフリー実現のためのウェブアクセシビリティ対応

ウェブアクセシビリティに取り組むことで、すべての人々がアクセスできるようになり利便性が向上します。

デジタル庁が無料で公表している『ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック』より、ウェブアクセシビリティ対応に欠かせない重大項目と必須項目をまとめてみました。

対応項目

説明

自動再生はさせない

自動再生は3秒以内でユーザーが操作可能

キーボード操作のサポート

キーボードのみで操作ができるようにする

光を点滅させない

1秒に3回以上の点滅するコンテンツの作成は禁止

自動コンテンツを停止できるようにする

スライドショーなどに一時停止・停止・非表示ができるようにする

代替テキストの提供

画像を説明する「alt属性」を入れる

閲覧や操作に制限時間を設けない

ユーザー主導でコンテンツを閲覧・入力できるようにする

色だけで必須項目を表現しない

色の違いだけではなく色以外でも伝える

音声ガイドで意味が伝わるように配置する


スクリーンリーダーの読み上げに対応したレイアウトにする

見出しで内容が伝わるように表現する

HTMLにメタデータを追加して情報を整理する

音声・映像コンテンツの字幕と音声解説

動画コンテンツに字幕や音声ガイドを提供する

色覚バリアフリーの対応

適正なコントラスト比を提供する

文字サイズを200%まで拡大できるようにする

拡大しても重なったり見切れたりしないようにする

特殊なテキスト・表現を避ける

正しく読み上げられないため半角カナなどは使用しない

内容にあわせたタイトルをつける

ページの内容がわかるように「内容|サイト名」とする

適切なリンクを入れる

どこへリンクしているのかクリック前にわかるようにする

ナビゲーション・アイコン・ボタンなどは一貫性をもたせる

ページが変わっても変わらない

ウェブアクセシビリティに対応することで、WEBサイトで提供するコンテンツがすべてのユーザーにとってアクセスしやすくなるように設計・改善できます。

とくにページ構造を提供するメタデータの扱いには注意しましょう。正しく配置することで障害をもつ人でも情報にアクセスできるようになります。さらに情報バリアフリーの実現を目指すため、UIデザインやレスポンシブデザインも提供します。

こうしたこまかい対応項目をWebサイトの制作者が深く理解していなければなりません。

関連記事:ウェブアクセシビリティチェックリスト|診断項目と便利なツール3選

(参考:デジタル庁「ウェブアクセシビリティ導入ガイドライン」)

今後のウェブアクセシビリティ対応の動向や対応策

2021年に障害者差別解消法が改正され、2024年4月1日より民間企業も含めて「合理的配慮の提供」が義務化されました。すべてのユーザーへ平等に情報を届けるための環境が求められています。

企業はウェブアクセシビリティへの対応を公開することで、アカウンタビリティ(説明責任)を果たし、信頼度を高めることが可能です。

こうした対応が進むことで社会的排除(ソーシャル・エクスクルージョン)を防ぎ、社会的包摂(ソーシャル・インクルージョン)を実現できるのです。

しかし、ウェブアクセシビリティのガイドラインは複雑で取り組むことは簡単ではありません。

今後は「JIS X 8341-3:2016」の更新の可能性が高まりつつあることから、企業はウェブアクセシビリティ対応の義務化に備えて対策を検討しておくことが大切です。

関連記事:アクセシビリティ対応がSEOへ与える影響を解説|対策やチェックツール

ウェブアクセシビリティ準拠のWebサイト制作はGIGにおまかせください

情報弱者や情報格差を生まないためにも、企業は情報アクセシビリティに取り組まなければなりません。とくにインターネット上の情報へのアクセスは格差があり、ウェブアクセシビリティへの取り組みは必須です。

ウェブアクセシビリティ対応に取り組むことで、情報バリアフリーの実現にもつながります。

ウェブアクセシビリティはこれから義務化も想定されており、できるだけ最新の対応を求めるなら専門の制作会社へ依頼するのがおすすめです。

株式会社GIGはウェブアクセシビリティ適合レベルA/AAに準拠したWebサイト制作が可能です。独立行政法人など公的機関のWebサイト制作実績もあります。

すべての人がアクセスできて、正しく情報を理解してもらえるホームページをお望みなら、企画・設計段階から力になることが可能です。以下よりお気軽にお問い合わせください。

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