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サービス開発とは? プロセスや成功のポイントなどを現役エンジニアが解説!
2023-01-29 制作・開発
近年はインターネットが生活インフラの一部となり、皆さんもさまざまなオンラインサービスを利用しているのではないでしょうか。
一般ユーザーの場合、そういったサービスをユーザーとして利用するだけで良いですが、企業の場合はそうもいきません。いまや、何かしらのWeb媒体やSNS、Webサービスを駆使したビジネス戦略を主体的に構築する、つまり「サービス開発」を行わなければ、商売が成り立たない環境になっているからです。
ですが、ひとことでサービス開発と言っても、やるべきことや考えるべきポイントは山ほどあります。そこで今回は、サービス開発を行うプロセスや成功させるためのポイントなどを、エンジニア目線で解説します。
サービス開発とは?
サービス開発とは、Webサービスのようにブラウザを使ってインターネットにアクセスし、利用できるサービスを開発することを指します。
サービス開発の規模は小規模なものから大規模なものまでさまざまで、企業だけでなく、個人で何かしらのWebサービスを開発している方もいます。
下記に身近なサービス開発の一例を紹介します。こう見ると、皆さんもいずれかのサービスを活用されているのではないでしょうか。
種類 | 具体例 | おもなサービス内容 |
コミュニケーションサービス | ・Chatwork ・Slack | 掲示板やチャット機能を通じてコミュニケーションが取れる |
マッチングサービス | ・メルカリ ・食べログ | 検索によりマッチする相手やサービスを結びつける |
サブスクサービス | ・Netflix ・Amazonプライム | 月額課金・定額制でサービスを提供する |
決済サービス | ・LINE Pay ・PayPay ・楽天ペイ | データの送受信により決済を代行する |
Webサービスの仕組み
Webサービスは、クライアント側(PCやスマホなど)から送られた要望(リクエスト)を、サーバー側が受信し、サーバーが処理した結果を返す(レスポンス)ことで、Webブラウザに閲覧したい内容が表示される仕組みから成り立ちます。
たとえば、PCで弊社(株式会社GIG)のコーポレートサイトを閲覧したい方が、Webブラウザで「GIG」と検索した場合、以下の3ステップで処理が行われていることになります。
1. クライアント側が「GIGを検索」とサーバー側にリクエストを送る
2. サーバー側がリクエストを受信し、「検索結果を返す」というレスポンスを行う
3. レスポンスがWebブラウザで処理され、「GIGのコーポレートサイト」がPCに表示される
サービス開発が求められる背景
経済産業省が「DXを推進できない企業は、2025年以降に大きな損失を出す可能性がある」という、通称「2025年の崖」を公表してから、DXの推進に舵を切る企業が増えてきている印象です。
デジタル技術を活用したこれまでにないビジネスモデルを採用する企業も出てきており、社会のデジタル化に相まってビジネス環境も大きく変化しています。
企業がこれからビジネスを展開し、競争力を維持するためには、DXに適応していかなければなりません。昨今ではクラウド環境やSaaSの利用も広がりつつあり、そのようなWeb環境を活用した商品開発や企業内部の業務改善が急速に普及してきています。
このような背景から、今やサービス開発はIT業界にとどまらず、多くの業界で必要とされています。
サービス開発とシステム開発の違い
「サービス開発」とよく混同されがちなものに「システム開発」があります。
システム開発には、インターネットを経由して利用するWebサービスだけでなく、オフラインで使えるサービスも含まれます。
たとえば、家庭用ゲーム機やiPhone・Google Pixelなどのスマホ本体、会社で使う基幹システムやERPシステムなどを作ることも「システム開発」に該当します。
開発時に社内や外注先とやり取りするうえで認識のズレが発生しないように、「サービス開発は、システム開発のなかでもインターネットを経由して使うシステムやアプリを開発すること」と覚えておいてください。
関連記事:システム開発の流れとは?発注者も知っておくべき各工程のポイントまとめ
サービス開発のプロセス
ここからはサービス開発のプロセスについて解説します。今回は上流工程から下流工程へと順を追って開発を進める「ウォーターフォール開発」を採用し、サービス開発を外注したケースを想定して話を進めます。
ただし、サービス開発では、スピード感をもって開発とリリースを繰り返す「アジャイル開発」もよく行われる開発手法のひとつです。アジャイル開発については、以下の記事をご覧ください。
関連記事:
アジャイル開発の費用/料金相場はいくら? 現役エンジニアが解説!
アジャイル開発に強い開発会社の選び方とは? 現役エンジニアが解説!
プロセス1. 依頼準備
まずは、どのようなサービスを開発したいのかを固め、制作会社に依頼する準備を行います。
その際に活用するのが「RFP」と呼ばれるものです。RFPとは、「Request for Proposal」の略称で、直訳すると「提案依頼書」となります。サービス開発を依頼する側の企業が、制作会社に対して提案してほしい内容をまとめた文書のことを指します。
RFPを作成することで、サービス開発の目的を明確にでき、要件の抜け漏れをなくして開発したいサービスについての情報を制作会社と共有できます。
関連記事:RFPの書き方とは? サンプル・テンプレ付きで準備やポイントも解説!
プロセス2. 戦略構築
サービス開発を成功させるためには、「リリース後に、Webサービスをどう運用していくのか」を明確にすることが大切です。Webサービスは作って終わりではなく、どういったユーザーに、どのようにアプローチをするのか、といったマーケティング戦略の構築が不可欠です。
そこでまずやるべきことは、ターゲットユーザーを設定し、ターゲットユーザーのコンバージョンに至るまでのシナリオを描くことです。
そしてコンバージョンシナリオの精度を高めるために、過去データを用いた仮説検証や競合サイトの分析などを行います。
また、KPIを設定するだけでは、運営時における正しい経営判断ができません。戦略構築のフェーズでは「どういったプロモーションを行っていくのか」「オペレーションはどうするのか」まで設計することが求められます。
▼戦略構築フェーズで考えたいポイント
・ターゲットはどういったユーザー?
・ターゲットユーザーのサイト訪問動機は?
・Webサイトで何を解決したい? 現状の課題は?
・課題の優先順位は?
・リニューアルの場合、何を改善したい?
・どのようなスケジュールで進めたい?
・コンバージョン設計は?
・プロモーション/オペレーション設計は?
▼戦略構築フェーズでの具体的な作業/アウトプット
・ペルソナ設計
・コンセプト設計
・カスタマージャーニーマップ
・ビジネスロードマップ
・KPIロードマップ
・ROIシート
・ヒューリスティック評価
・ログ解析レポート
・WBS(作業分解構造図)
・リリース後の運用体制構築
・プロジェクト計画書
プロセス3. 企画・要件定義・設計
戦略構築で策定した方向性を踏まえ、具体的にWebサービスでどのようなコンテンツを配信していくのか、またコンバージョンまでのユーザー動線をどのようにするかなどを企画・要件定義・設計するフェーズに入ります。
Webサービスでは、サイトデザインのほかにも、Webサービスに掲載する画像素材・動画素材などが必要です。素材がないケースでは撮影も必要になるでしょう。どのようなWebサービスにしていくかが決まると、必要なコンテンツも決まっていきます。
またWebサービスもシステムである以上、要件を詰める要件定義が必要です。現状のフローなどを洗い出し、搭載すべき機能や保守・運用方法、必要な人員、開発期間などの開発要件を決めましょう。
その際には、依頼者側と開発者側での細かい打ち合わせや協議を行うことが求められます。打ち合わせの過程で要件が変更されることもありますが、要件定義をしっかりと行わないと、以下のような問題にぶつかることになります。
・当初のスケジュール通りに開発が進まず、頻繁にリスケが行われる
・開発したサービスが想定したものと違うものになる
・工数がかさみ過ぎて、予算オーバーになる
サービス開発の失敗の多くは、要件定義が甘かったことが原因になるケースが多いのも事実です。必ず納得いくまで打ち合わせや協議を重ね、要件を明確にするようにしましょう。
▼企画・要件定義・設計フェーズで考えたいポイント
・戦略を実現するために必要なコンテンツは?
・コンバージョンに至るまでのユーザーフローは?
・コンテンツをどのように見せたい?
・写真や動画、文字要素の構成はどうする?
・メニュー、ディレクトリ構成は?
▼企画・要件定義・設計フェーズでの具体的な作業/アウトプット
・画面設計(ワイヤーフレーム/行動シナリオ/コンバージョン設計/ヒートマップ想定)
・情報設計(ディレクトリマップ/サイトマップ)
・要件定義書
・コンテンツ、原稿サンプル
・画像素材サンプル
・ブランドガイドライン
・スケジュール/見積り
プロセス4. 開発(デザイン/システム)
Webサービスのデザイン構築では、主観的な意見が飛び交い、ユーザー視点の欠けたWebサービスに仕上がってしまうケースも少なくありません。
せっかく設計した戦略構築が机上の空論とならないよう、しっかりWebデザインに落とし込んでいくことが重要です。
また開発フェーズでは、スケジュールの遅延が起きてしまう要素が多く存在します。ガントチャートを用いたプロジェクト管理、余裕を持った修正期間の設定など、求めているWebサービスが期間内に正しく制作されるように注意することが必要です。
▼開発フェーズで考えたいポイント
・ターゲットユーザーに対して最適なUI/UXは?
・ターゲットユーザーを考慮した、最適な配色は?
・基本的なユーザビリティ要件をどこまで順守すべき?
・運用フェーズでのKPI測定のために、開発時に必要な設計/設定は?
▼開発フェーズでの具体的な作業/アウトプット
・トーン&マナー設計
・デザインガイドライン
・インフラ設計/システム設計
・プロトタイプ開発
・機能設計
・テストシート
・各種納品データ(コンテンツ原稿・画像素材含む)
・ソースコード(LAMP環境で開発/Linux、Apache、MySQL、PHP、Laravel、cakePHP、Pythonなど
・サーバー環境(開発環境+本番環境/ともにAWSで負荷分散の設計したうえで対応)
・スケジューリング、ガントチャートによるプロジェクト管理
・Figma、Sketch、Spreadsheet、プロジェクトマネジメントツールなどによるリアルタイム性のあるツール開発
プロセス5. 保守・運用
WebマーケティングはWebサービスがリリースされてからがスタートです。戦略構築で設計したことがしっかりと実現されるよう、適切な保守・運用が求められます。
またWebマーケティングにしっかりと取り組めば、さまざまな計測手法により根拠のある改善施策を行うことが可能です。PDCAサイクルを正しくまわすことで、CVRを改善していくことも求められます。
BtoBビジネスであれば、CV数が1.5倍になるだけでも売り上げに相当なインパクトをもたらすはず。
ユーザーのコンバージョン動線の見直しや広告プロモーションの見直しなどを常に行い、必要に応じて機能単位での追加開発を行うことで、成果に直結するWebサービスを目指しましょう。
▼保守・運用フェーズで考えたいポイント
・更新/運用ルールは最適か?
・サイト改善のために運用体制が構築されている?
・ログ解析/数値測定はどの程度の頻度で行うべき?
・広告やSNSなど、集客に最適な方法は?
・運営に必要な教育体制はどうすべき?
・保守はどうすべき?
・サーバーの負荷状況は?
▼保守・運用フェーズでの具体的な作業/アウトプット
・運用マニュアル
・A/Bテスト
・タグ設計
・ログ解析
・改善提案
・広告運用
・SNS運用
・LP制作
サービス開発の費用相場
Webサービスは、簡単なものなら1~2人の人員で1か月もあれば開発から公開までが可能です。
しかし近年では、無数のWebサービスが登場し、1~2人の人員で1か月で作成されたシンプルなWebサービスはすぐに淘汰されてしまうでしょう。また、Webデザインに対するユーザーの目も肥えてきており、操作面やWebページが表示されるまでのスピードなど、求められるレベルが高くなってきている印象です。
そのため、以下に示したサービス開発費用の一例のように、サービス開発費の相場も年々高くなってきています。
サービスの種類 | 特徴 | 費用相場 |
コミュニティサービス | 掲示板やチャット機能を使って、コミュニケーションが取れるサービス | 1,500〜3,000万 |
ライブ配信サービス | スマホでリアルタイムに動画を配信できるサービス | 1,500〜5,000万 |
SNS位置情報サービス | 友達や家族のいる位置を地図で表示するサービス | 1,500〜5,000万 |
フリマサービス | オンライン上でユーザー同士が売買を行えるサービス | 2,000〜8,000万 |
サービス開発を成功させるためのポイント
サービス開発では、どうしても失敗のリスクはつきものです。しかし、それ相応の時間と予算をつぎ込んで開発する場合、失敗は絶対にしたくないもの。そのため、成功のポイントはしっかり把握しておきましょう。
ポイント1. 要件定義を明確にする
先ほども触れましたが、サービス開発を成功させるためには、要件定義がとても大切です。エンジニア目線でいえば、ここが適当だと必ず失敗すると断言できます。
サービス開発にたずさわったことがない方からすれば、どうしてもプログラミングやデザインに重点を置きがちです。もちろんこれらのフェーズも大切ですが、プログラミングなどはあくまで手段に過ぎません。要件・仕様通りのサービスが作れれば、プログラミング言語は何でも良いとまでいえます。
とにかく、実際に制作するフェーズに入るまでに、どれだけ要件や仕様をきちんと固められているかが重要です。
また依頼元が要件をあいまいにしか把握できていないと、制作会社もあいまいなサービスしか作れません。「この仕様にはどういう意味があるの?」といった制作側の疑問を少しでも減らすことは、やり直しを防ぐことにもつながります。
要件定義を進めるために、最低限以下の点には注意しましょう。
・定量的に見込んでいる効果を表現する
・機能に優先順位をつける(絶対に必要な機能、余裕があればほしい機能など)
・どのくらいの予算感で開発してほしいかを伝える
ポイント2. 多少はIT技術を理解しておく
依頼者側は制作をつい外部に丸投げしたくなりますが、ほんの少しでも良いのでITについて調べ、制作者に歩み寄る努力が必要です。
依頼者側にある程度のIT知識があると、双方の話がスムーズに進むので、制作会社としても提案がしやすくなるのは事実です。そのような雰囲気で打ち合わせが行われれば、必然的に制作会社からの提案も良くなり、要件定義のあいまいさも改善されることにつながります。
制作会社の言いなりにならないためにも、依頼者側もITについて勉強しましょう。だからといって、ITエンジニアほどの知識をつける必要はありません。IT関連のニュースや解説記事を理解できる程度の知識があれば十分です。
またITの知識に加えて、自社の要望を明確にして、制作会社に分かりやすく伝える努力も必要です。制作会社に要望を正しく理解してもらえなければ、要件を詰めるのが難しくなるので、結果的に必要なサービスが手に入れづらくなります。
そうならないためにも、まずは自社が何を解決したいのかをよく考えて、自社の要望を制作会社に伝えられるように整理することが求められます。
ポイント3. 制作会社の選定が大切
サービス開発を受託できる制作会社は星の数ほどありますが、その会社が依頼通りのサービスを開発できるかどうかは別問題です。サービス開発の種類もたくさんあるので、そのぶん制作会社の得意・不得意もわかれます。
作りたいサービスに強い企業と出会うためには、最初から1社だけに絞って依頼先を決めるのではなく、数社程度でもいいので候補を複数見つけ、相見積もりを取ることをおすすめします。
打ち合わせなどを通じて、エンジニアのスキルレベルや制作実績などを比較しながら選定していくと良いでしょう。
A社に依頼したサービスが希望通りに納品されたとしても、B社に依頼すれば同レベルでもっと安く開発してもらえた可能性があったと分かれば、きっと後悔するはずです。そうならないためにも、依頼元は適切なRFPを作成し、相見積もりを取ったうえで比較検討することが何よりも大切です。
なおGIGでは、ジョブマッチングサービスや金融ロボアドバイザーサービスなど、ジャンルを問わず新規サービスの開発支援を行ってきました。システム開発やWebデザインはもちろん、Webマーケティングまで一気通貫で行える体制をそなえ、さまざまなクライアントからご依頼をいただいています。
サービス開発はGIGにお任せください
「サービス開発」とひとことで言っても、RFPの作成・戦略構築からはじまり、要件定義や設計、開発・デザイン、テストを経てようやく公開にいたります。公開後にはWebマーケティングも兼ねた保守・運用が必要になり、本当に多くの工程・作業が発生します。
しかし、これだけの作業を安心して一任できる制作会社は決して多くありません。
GIGでは、培ってきたサービス開発のノウハウと知見を活かした支援のもと、戦略構築~Webマーケティングに至るまで一気通貫で対応し、高品質なサービス開発を実現してきております。
新たにサービス開発を検討されている方、すでに稼働している自社サービスの保守・運用の見直しを検討されている方は、まずお気軽にお問い合せください。
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