基幹システム導入の進め方。導入するメリット・注意点をエンジニアが解説|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG

基幹システム導入の進め方。導入するメリット・注意点をエンジニアが解説

2023-04-15 制作・開発

経済産業省によって発表された「DXに対応できない企業は2025年以降に膨大な損失を出す可能性が高い」という、いわゆる「2025年の崖」が話題にあがる昨今。こうした警告を受け、DX推進に舵を切る企業が増えてきている印象です。

そしてDX推進のためには、業務データを一元管理し、可視化できる「基幹システム」の存在が重要だといえます。

今回はこの基幹システムを導入する際の、基本的な進め方や導入のメリット・注意点などを中心に解説します。


基幹システムとは

基幹システムとは、企業経営の根幹となる以下のような業務を管理するシステムのことを指します。

基幹システムの種類システムの概要
販売管理システム受注・在庫・出荷・売上などを管理するシステム
生産管理システム原価・工程・加工などを管理するシステム
人事管理システム勤怠・給与・従業員情報などを管理するシステム
会計管理システム財務会計・管理会計・帳簿などを管理するシステム
ERP(企業資源計画)システム販売・生産・在庫・会計・人事など企業活動に関わるデータを一元管理し、企業経営に活かすためのシステム


これらの業務を管理するシステムがあわさって基幹システムとなり、企業の事業展開を支えます。

「基幹システム」という名前の通り、今日ではこれらのシステムがなければ企業は経営活動を維持することができないとさえいえるでしょう。


基幹システムを導入するメリット

基幹システムを導入にはさまざまなメリットがあります。ここでは、代表的な導入メリットを確認しておきましょう。

メリット1. データの一元管理と可視化ができる

基幹システムの導入により、業務で蓄積されたデータを一元管理することが可能となります。また、リアルタイムで業務データを可視化して経営戦略へ反映することもできるため、経営陣の正確でスピーディーな意思決定につなげることも可能でしょう。

たとえば、在庫状況をリアルタイムで正確に管理できるようになれば、想定していたよりも不要な在庫が積み上がり、損失が拡大するような状況を防げます。また、正確な販売数を把握できれば、適切な仕入れ数の判断精度も上がり、たくさんの売れ残りが発生する事態が起こりにくくなるでしょう。

自社の持つデータを可視化することは、より効果的な経営戦略を練るうえで非常に重要なのです。

メリット2. 業務効率化を実現できる

基幹システムを導入することで、通常業務の効率化を実現することが可能になります。かつヒューマンエラーを最小限に抑えられるので、正確性も向上するでしょう。

また、ある業務を特定の担当者に依存するカタチで進めてしまうと、その担当者独自のフローができてしまい、他の担当者がその業務を行うことが難しくなるケースも。担当者が複数人いる場合、それぞれ異なるやり方で業務を進めているかもしれません。

基幹システムは、基本的な業務を標準化し、誰が作業しても同じ手順で同じ結果を得られるようにする役割も担っているといえます。


基幹システム導入の進め方

ここからは、基本的な基幹システム導入のプロセスについて解説します。基幹システムを導入する開発手法としてよく活用されるのが、「ウォーターフォール開発」です。

ウォーターフォール開発は、上流工程(要件定義・設計)から下流工程(開発・テスト)へと順を追って進み、基本的には工程の後戻りは発生しないことを前提に作業を進める開発手法です。一方で、イテレーションという単位でフェーズを区切り、かつ機能単位でリリースし、スピード感を持って開発を繰り返す「アジャイル開発」という手法もあります。

どちらも一長一短な手法ですが、今回はウォーターフォール開発で導入が進められることを前提に解説します。


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STEP1. 企画

基幹システムの導入は、「どのような基幹システムを導入するのか」「業務のどの部分に基幹システムを導入するのか」などを決めるところからがスタートです。

システムを導入する箇所を決める際には、「現在の業務プロセスでとくに効率化が必要な箇所」などを的確に判断することが求められます。

既存システムの利用状況や問題点、システム環境などを詳細に分析し、基幹システムに必要な機能を洗い出すことが不可欠です。

STEP2. 製品・ベンダーの選定

基幹システム導入の目的などが明確にできたら、次は製品やベンダーの選定作業です。ここで発注する企業や製品を間違えると、基幹システム導入プロジェクトは間違いなく頓挫することでしょう。

そうならないために、選定作業で活用すべき資料に「RFP」というものがあります。RFPとは、「Request for Proposal」の略で、直訳すると「提案依頼書」。システムを発注する側の企業が、開発会社に対して提案してほしい内容をまとめた文書のことを指します。

要望や依頼事項をまとめて記載することで、提案依頼を受けた複数の開発会社は、共通の条件のもとで提案書の作成や見積額を算定してくれます。

仮にRFPを作成しないで各社から提案依頼を受けた場合、提案範囲や見積額にバラつきが発生する可能性が高まります。これでは、各社からの提案書を横ならびで比較検討することが難しくなり、おそらく一番見積額が低い開発会社に依頼することになるのではないでしょうか。

また依頼内容が正確に伝わらず、納品されたシステムが想定外のものになっていたり、要望漏れが多発したりするなど、さまざまな問題を引き起こす可能性も否めません。

RFPの作成には多少の手間もかかりますが、最終的に期待しているシステムを手に入れるために、ぜひRFPは作成しておきたいところです。


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STEP3. 要件定義

基幹システムを導入・開発するうえで、すべての基本になるのが「要件定義」です。

要件定義とは、発注者の開発要望を踏まえて、基幹システム開発の概要や目的、必要な機能、必要な予算、人員、スケジュールなどを決める工程のことを指します。

また、要件定義の際には自分たちがシステムに対して求める仕様を定義してもらい、システム化の対象となる業務の流れ(業務要件)を明確にします。

業務要件が明確になれば、その中からシステムで実現すべき要件(機能要件)を定義します。さらに、機能以外でもユーザーがシステムに求める要件(非機能要件)も定義する必要があります。非機能要件で定義すべき項目は多岐にわたるため、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公開している「非機能要求グレード」を参考にすると良いでしょう。

最後に、要件定義のフェーズで固まった要件がまとまった「要件定義書」を確認します。基幹システム導入プロジェクトでは、基本的には要件定義のフェーズで決めた内容をもとに進めていくため、ここが非常に重要な工程だといえます。

あまり考えたくありませんが、要件定義があいまいなまま具体的な作業が始まってしまうと、以下のような問題に直面することになるはずです。

・想定していたシステムと違うシステムが完成する
・業務で使い道のない機能が搭載される
・開発スケジュールや本番稼働が大幅に遅れる
・予算が大幅にオーバーしてしまう

こういったことを避けるために、基幹システムの開発を依頼するケースでは、業界への理解がある開発会社に依頼することも選択肢のひとつでしょう。


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Web制作やシステム開発においては、制作会社にすべてを一任するのではなく、発注者側も認識のズレがないかどうか、最新の注意を払う必要があります。今回は、発注者側も知っておくべき要件定義での4つのポイントをご紹介いたします。

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STEP4. システム設計

要件定義フェーズで固めた要件を実現するために、システム設計を行います。要件定義では、おもにユーザーの要求をもとにシステムに実装する機能や性能を決定しますが、設計フェーズでは、実際にシステムを動かす部分の仕様を決めていきます。

システム設計は大きく分けて、「基本設計」と「詳細設計」の二つに分けることができます。

基本設計とは、要件定義で決めた内容を実現させるために、システムに実装する機能を明確にしていく作業のこと。ユーザーから見たときにどのような動作になるのかを決める側面もあるため「外部設計」とも呼ばれます。

詳細設計とは、基本設計で決めた機能を、プログラマーに向けてまとめたもの。具体的には「機能をどのようにプログラミングするのか」という設計を行います。ユーザーからは見えない部分の設計となるので「内部設計」とも呼ばれます。


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STEP5. 開発・テスト

要件定義・システム設計が終えれば、次はエンジニアが手を動かす「プログラミング・テスト」のフェーズに移ります。システム開発経験のない方からすれば、実際に動くものを作るプログラミングの工程が一番重要だと思いがちです。

ですが、開発工程はあくまで設計書にもとづいてコーディングするだけともいえ、仕様書がしっかりしていれば難易度はそこまで高くありません。要するに、プログラミングに入るまでの要件定義・設計フェーズが何よりも大切だということです。

プログラミングが終われば、「システムの要件定義を満たしているか」「想定通りの動きをするか」といったことを、以下の順で段階的にテストすることになります。

1. 単体テスト
2. 結合テスト
3. 総合テスト
4. 運用テスト

STEP6. 保守・運用

運用テストも終わり、基幹システムの本番稼働が無事にスタートしても、すべての作業が終わったわけではありません。むしろここからが本番で、システムに不具合や仕様漏れが発生していないか、常に監視する必要があります。またシステムをより良い状態に保ち続けるためにも、定期的なアップデートが欠かせません。

稼働初期のころは、使い方などについて社員からの問い合わせが数多く寄せられることが想定されます。そのため、事前にマニュアルなどを社員に配布しておくこともおすすめです。また、在籍中の社員だけでなく、今後入社する社員にとっても使いやすいシステムになるように準備を進めると良いでしょう。


基幹システム導入における注意点

業務の根幹を担う基幹システムの導入には、それなりのコストが必要です。そのため基幹システム導入プロジェクトが頓挫することは絶対に避けたいところ。最後に、基幹システム導入時における注意点について確認しておきましょう。

注意点1. 強固なセキュリティが不可欠

基幹システムでは、自社の社員や顧客情報、機密情報など、さまざまな重要な情報をまとめて管理することになります。

これらの情報が一度でも外部に漏えいしてしまうと、社会的信用の低下や損害賠償請求、顧客離れなどを引き起こし、大きな損失を被ることになります。

不正なアクセスや情報漏えいを防ぐために、できるだけ強固なセキュリティを実現した基幹システムの導入が不可欠だといえます。


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注意点2. 自社に必要な機能・仕様を備えているか確認する

ひとことで基幹システムと言っても、企業ごとに必要な機能は違ってきます。自社の課題と目的にあった基幹システムを導入できているかどうかは、通常業務をより正確に・スピーディーに処理できるかどうかにも関わってきます。

基幹システムを導入して自社と合わなかった場合には、もう1回変更すれば良いと考えているかもしれません。しかし企業の根幹業務を担う基幹システムは、いったん本番稼働がスタートしてしまうと、そう簡単には止められません。

そのため、自社に必要な機能・仕様をきちんと備えているかどうかは、要件定義・設計の段階から慎重に確認することが求められます。

注意点3. クラウドとオンプレミスの違いを把握する

近年では、基幹システムでもクラウドサービスを使う企業が増えてきている印象です。

オンプレミスの場合、自社でサーバーを設置・運用するのが一般的ですが、ハードウェアの導入やメンテナンスには多くのコストや手間がかかります。また、セキュリティや災害対策も考えると、設置場所にも気をつける必要があるでしょう。

一方クラウドであれば、インターネットを介してクラウド事業者が運用するサーバーを利用するため、自社でサーバーを持つ必要がありません。設置場所やメンテナンスの問題も特に気にする必要がなく、サーバーの管理や運用に費やしていたコストは削減できるはずです。

ですが、クラウド事業者に対して、保守・運用費やシステムアップデートに伴う費用などは毎月支払う必要があります。

ここでは単純なコスト面だけで比較しましたが、クラウドとオンプレミスについての違いはきちんと把握したうえで、自社にとってどちらの方が運用しやすいかは慎重に検討する必要があるでしょう。

基幹システムのクラウド化についての下記の記事をご参照ください。


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注意点4. 開発ベンダーに導入を丸投げしない

開発ベンダーにすべての工程を丸投げしてしまうと、想定とは違う基幹システムが出来上がってしまう可能性が高くなります。

そうならないためにも、定期的に自社のプロジェクトメンバーと開発ベンダーでミーティングを行い、進行状況などをヒアリングし、自社の要望が適切に反映されたシステムになっているかどうか確認することが大切です。

仮に完成したシステムを作り替えるとなると、本来必要なかったはずの時間とコストが余計にかかってしまいます。そうならないために、自社のプロジェクトメンバーは積極的に関わることが求められます。


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基幹システムの導入・支援はGIGにお任せください

基幹システムの導入には、要件定義からはじまり、設計・開発・テスト、そして保守・運用と多くの作業が発生します。これらの作業を安心して一任できる開発会社は、実はそこまで多くありません。

GIGでは、培ってきたシステム開発のノウハウと知見を活かした支援のもと、高品質なシステム開発を今まで数多く実現してきており、信頼性と使い勝手が求められる基幹システム開発の実績もお任せください。

ビジネスのグロース、ソリューションにつながる基幹システムの開発・刷新を検討されている方は、ぜひGIGまでお問い合わせください。


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