システム開発の入札・調達方法は?入札の流れと成功させるコツ|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG

システム開発の入札・調達方法は?入札の流れと成功させるコツ

2023-12-01 制作・開発

公的機関のシステム開発の調達は入札が原則です。ただシステム開発の工程は複雑なため、事業者が入札を判断しやすいように仕様書で業務内容を伝達しなければなりません。

しかし、経験が少ないとどのように進めればよいのか悩む人もいるのではないでしょうか。

この記事では、システム開発の入札の種類や流れ、成功のコツについて解説します。システム開発の調達が初めての方や経験が少ない方は参考になさってください。

システム開発の入札・調達方法

システム開発を入札で採用するには、以下の方法が一般的です。

・一般競争入札
・指名競争入札
・随意契約(直接契約)
・プロポーザル方式(企画競争)

それぞれ簡単に解説します。

一般競争入札

一般競争入札は、公共入札ではもっとも一般的な調達方法です。以下のようなメリットとデメリットがあります。

メリット
デメリット

・高い透明性と公平性
・価格競争によるコスト削減

・品質にばらつきがある
・事業者の選定に時間がかかる

公的機関は入札の詳細な仕様書を作成して、入札を検討する事業者に向けて公開します。こうすることで、幅広い事業者に対して公平な競争を促すことが可能です。

価格競争が促進されることで、コスト削減が期待されます。しかし価格競争が重視されるため、事業者がどこまで対応できるのかは不明であり、品質にばらつきがでる可能性があります。

さらに公平に募集をかけることから多くの入札があった場合、選考に時間がかかることも少なくありません。一般競争入札で調達するときは、こうしたリスクや手間も考慮したうえで、適切な仕様書を作成することが大切です。

指名競争入札

指名競争入札は、公的機関が事前に選定した特定の事業者のみ入札を依頼する調達方法です。

メリット
デメリット

・信頼できる事業者を選べる
・入札のプロセスがスムーズ

・革新的なアイデアの損失
・透明性の欠如

システム開発の場合、特定の技術が求められる案件が多いため、公的機関側から事業者を限定するケースがあります。信頼性の高い事業者を選べるため、スムーズに選考できます。

しかし指定競争入札は選考基準が公開されないことから、透明性に欠けるとして廃止にしている自治体もあります。また、入札できる事業者が限られるため、革新的なアイデアが得られにくいこともデメリットにあげられます。

少額の案件に限り、対策を講じたうえでおこなうケースもありますが、案件が限られているのが現状です。

随意契約(直接契約)

随意契約は、公的機関が特定の事業者を選択して直接契約を結ぶ方法です。緊急性が高い場合や特殊な技術が必要な案件に適しています。

メリット
デメリット

・迅速な契約締結
・柔軟な条件交渉

・透明性が低くなりがち
・不正のリスクが高まる

随意契約は、一般競争入札や指名競争入札よりも手続きが簡単なため、事業者の選定に時間をかけず、迅速に契約を結ぶことができます。事業者と直接契約を結ぶため、入札にかかるコストを抑えることが可能です。

公的機関が信頼できる事業者を選定できるメリットはありますが、透明性が低くなりがちです。そのため、地方自治体では、随意契約において適用条件が指定されています(地方自治体法167条2)。

もし1社しか選定できないときは、判断した過程を明確に示さなければなりません。また、契約条件が公共の利益にあっているか考慮する必要があります。

プロポーザル方式(企画競争)

プロポーザル方式は、システム開発に関わるコンサルティング業務などで実施されている選定方法です。事業者から提出された技術提案書(プロポーザル)や企画提案書をもとに、もっとも適した提案を選定します。

メリット
デメリット

・革新的なアイデアを獲得できる
・技術力などを総合的に評価できる

・評価に時間がかかる
・公平性の確保に工夫が必要

プロポーザル方式は幅広く事業者を募集する「公募型」と、事前に選ばれた事業者のみ参加できる「指名型」があります。

公募型は、透明性が高く多様な提案が得られるため、事業者のもつ技術力を総合的に評価できる点がメリットです。ただし評価に時間がかかるため、急ぐときは審査がしやすい「指名型(コンペ方式)」を用いることもあります。

プロポーザル方式でスムーズに評価を進めるには、事業者に具体的な提案書を求める必要があります。近年はこの傾向が強くなっており、事業者への負担が大きくなっています。

システム開発の入札の流れ

システム開発を入札で採用する場合、基本的な流れを理解しておくことで事前に準備することが明確になります。入札の流れは以下の通りです。

調達計画書を作成

まず、システム開発の調達計画を作成します。

どのようなシステムを求めているのか、要求や要件を事業者に提示しなければなりません。全工程のスケジュールや評価方式、契約形態などを記載した調達計画書を作成します。

事業者から提案を求める場合、提案依頼書を受け付ける期間も含めて無理のないように計画を立てることが大切です。

もし、計画に無理があるときは分離調達を選べます。要求される機能や工程に分けて、それぞれで調達する方法です。

関連記事:要件定義と要求定義の違い|重要性やシステム開発の進め方を徹底解説

入札公告

調達計画書を作成したあとは、公告文書に入札情報を掲載します。入札公告はプロジェクトの詳細や入札資格、提出書類、評価基準などの情報を公開するものです。紙入札と電子入札の2種類の広告方法について解説します。

紙入札の公告方法

紙入札は、地方の官報や新聞、業界雑誌に入札情報が広告されます。

業界に関連する事業者に対して広く情報を届けることができるのがメリットです。ただし、新聞や雑誌への公告は掲載費用がかかります。

電子入札の公告方法

公的機関のポータルサイトや関連情報をまとめたWebサイトに掲載されます。

インターネット環境があればだれでもアクセスできるため、広範囲の事業者に公告を届けることが可能です。入札も電子方式で行われるため、事務作業の効率化も期待できます。

資格審査・認定

入札は基本、参加資格の認定を受けた事象者に限られます。そのため、事前に有資格者名簿に登録しているかを確認します。入札参加資格の新規申請をした事業者は審査をおこなってください。

参加資格や要件は公的機関ごとに定めることが可能です。該当しているかどうかを確認しましょう。こうした資格審査は、入札後に実施するケースもあります。

開札・落札者の決定

入札書の提出期限後、開札を行います。開札では、入札の担当職員が入札書を開封して内容を確認し、評価基準にもとづいて評価する方法です。

価格や技術力、独自性、過去の実績などの評価基準をもとに落札者を決定します。

一般競争入札ではもっとも低い価格を提示した事業者を選びます。同じ価格帯であれば公平性を確保するため、くじ引きなどで決定することもあります。指名競争入札では条件が良い事業者が選定されます。

入札の選定方法に従って落札者を選んでください。入札結果はホームページなどで公表します。

契約締結

落札した事業者と業務委託契約を結びます。業務委託契約には請負契約や準委任契約があり、プロジェクトの内容や責任範囲にもとづいて、適切な契約を結びましょう。

契約内容は双方で確認のうえ、合意のもとで締結される流れが一般的です。

プロジェクト実施と管理

契約締結後、プロジェクトが開始されます。公的機関は、事業者にまかせきりにせず定期的なミーティングをおこなって進捗を管理しましょう。

問題が発生したときは迅速に対応し、必要に応じて計画の見直しをおこないます。

検収・支払い

システムが納品されたら、仕様書通りに制作されているか検収を行います。検収項目は仕様書で決めたものです。動作が確認できたら、プロジェクトの完了を証明する検収書を発行します。

検収書は法的に義務づけられていませんが、システム開発の場合、検収書があることで円滑に業務を進めることができます。
下記より検収書のフォーマットを無料でダウンロードいただけます。ぜひお役立てください。

『検収書フォーマット』

関連記事:検収書 テンプレート

システム開発の入札を成功させる方法

システム開発の入札を成功させるには、求める成果物を期日までに納品してもらうため、委託する業務内容を詳細にしっかりと伝えなければなりません。ここではシステム開発の入札を成功させる方法をご紹介します。

仕様書の明確化

仕様書は、参加事業者がプロジェクトの内容を理解し、適切な提案をおこなうための重要な書類です。

制作物の品質にも関わるため、どのようなシステム開発、運用支援が必要なのか調達の背景と目的を記載しましょう。採用したシステムをどのように使いたいのか方針も明示します。

仕様書の内容が不明瞭だと、提案の質の低下や期待される成果物を得ることができません。

システムの要件に記載するおもな項目は以下の通りです。

項目
内容
調達件名調達内容を明確に記載する
作業の概要作業と業務の内容を詳細に記載する
情報システムの要件

機能要件
画面要件
帳票要件
情報・データ要件
外部インターフェース要件

性能・規模要件規模要件
性能要件
信頼性等要件

信頼性要件
拡張性要件
上位互換性要件
システム中立性要件
事業継続性要件

情報セキュリティ要件権限要件
情報セキュリティ対策
情報システム稼働環境全体構成
ハードウェア構成
ソフトウェア構成
ネットワーク構成
アクセシビリティ要件
テスト要件定義合否の判断基準を明確にする

求めるシステムを確実に調達するために、誰が読んでもわかりやすい言葉で作成することが推奨されています。

システム開発を調達する目的は、時間や予算、リソースなど限られたなかで最大の成果をあげるシステムを調達することです。

あまりにも要件を厳しく設定すると、事業者からの提案も限られてしまいます。そのため、より良い提案をもらうためにも余地を残しておくことが大切です。

(参照:総務省「調達仕様書の作成とコストの適正化」)

仕様書の確認を促進

仕様書はプロジェクトの依頼内容と詳細に記載した文書となるため、入札に参加する事業者には必ず確認してもらわなければなりません。

依頼内容を理解しないまま入札すると、トラブルの原因となるため確認を促すことが大切です。

重要な要件は目立つように工夫して伝えましょう。電子入札システムを利用するときは、仕様書をPDF形式で提供し、ダウンロードできるようにします。

これにより、事業者は入札後も仕様書を自身の環境で閲覧することが可能です。

提案依頼書の作成

そもそもシステム開発における技術的な知識が不足している場合、明確な仕様書を作成することはできません。

そこで仕様書ではなく、参加事業所からプロジェクトに対する提案を募るために「提案依頼書」を作成する方法があります。

提案依頼書には、プロジェクトの背景や目的、委託する業務、選定基準、提案の期限を明確に記載しましょう。これにより新たなアイデアやアプローチ方法、適切な予算の設定が可能です。

関連記事:RPFの書き方とは?サンプル・テンプレ付きで準備やポイントも解説!

説明会の開催

入札前に、参加事業者の疑問を解消するための説明会を開催します。

システム開発の場合、工程が複雑になりやすいため、質疑応答の時間を設けて双方で認識をすり合わせることが大切です。

説明会では、参加事業者に向けてプロジェクトの目的や期待を詳しく伝えましょう。

説明会後に不明点や疑問点などが出てくる可能性もあるため、事前に問い合わせ窓口を提示するなど体制を整えておくことも大切です。

契約後のコミュニケーション

事業者を選定し契約を締結したあとも、事業者に任せきりにせず、定期的にコミュニケーションを取ることが大切です。

システム開発は多くの工程があるため、想定外のトラブルが発生することも少なくありません。

進捗確認や迅速な問題解決のためにも、定期ミーティングを設定しましょう。これにより、リスクが分散され、予期せぬトラブルが起きても柔軟に対応できます。

関連記事:システム設計の流れとは?失敗を防ぐコツや準備をエンジニアが解説

システム開発はGIGにおまかせください

システム開発の入札を成功させるには、仕様書の明確化や提案依頼書の作成、綿密な調達計画などやるべきことが多くあります。

トラブルに迅速に対応するには、想定されるリスクを洗い出し、対策を検討しておくことも大切です。

また、システム開発のプロジェクトはスケジュールも長期化するため、完了までこまめにコミュニケーションをとる必要があります。

調達の経験が少ないと、仕様書の作成をはじめ、事業者の選定も時間がかかることもあるかもしれません。また入札の場合、下請け業者への委託リスクもあります。

効率性を重視するなら実績のある事業者へ直接依頼することも検討しましょう。

GIGでは、システム開発の実績があり、独立行政法人からも依頼を受けています。これまで多くのシステム開発の実績があるため、ご要望に応じた提案も可能です。システム開発にあたって、事業者の選定にお悩みなら、お気軽にお問い合わせください。

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