現場で磨いた本音を見抜くための“究極のヒアリング術”|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG
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現場で磨いた本音を見抜くための“究極のヒアリング術”
2025-02-27 制作・開発
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こんにちは、Marketing事業部でサイトコンセプトやブランディングを担当している水嶋です。これまで、業界や事業規模が異なる70件以上のクライアントワークに携わり、試行錯誤を繰り返しながらプロジェクト成功のためのヒアリング術を磨いてきました。
クライアントワークに関わる方なら、「どうすればクライアントが本音を話してくれるのか?」「プロジェクトが迷走してしまったとき、どう軌道修正すれば良いいのか?」といった悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか?
プロジェクトの成功を左右する肝は、「ヒアリング」にあります。ヒアリングに徹底的に力を入れることで、相手と認識を揃え、迷走せずにクライアントと二人三脚でゴールに向かうことができます。
この記事では、私が現場で培った「クライアントにどう本音を語ってもらうか?」という、ヒアリングの準備から質問事項まで、具体的に余すところなくお伝えします。次のプロジェクトに活かせるヒントをぜひ見つけてください!
まずはヒアリングのスタンスから
具体的なヒアリングの準備や方向に入る前に、まずはヒアリングに臨む姿勢について、大事なポイントが2点あります。
相手の時間を無駄にしない
「打ち合わせは試合である。」
日本を代表するアートディレクター・クリエイティブディレクターである佐藤可士和氏の言葉です。打ち合わせに対するとても基本的で大切な考え方に出会い、それ以降この考え方を胸に、打ち合わせやヒアリングに臨んでいます。
打ち合わせには「コスト」がかかっています。例えば5人で1時間打ち合わせをしたのであれば、5人×1時間の人件費がかかっています。10人の打ち合わせで5分遅刻してきた場合、たった1人が5分遅刻したのではなく、10人×5分で、50分もの時間をロスしたことになるのです。経営層になったりすると、大変な人件費です。
(『佐藤可士和の打ち合わせ』より)」
打ち合わせには、社内外含めて、たくさんの人が出席します。ヒアリングの多くはプロジェクトの序盤に行われ、相手との関係性がまだ築かれていません。だから、「なんとなく話して終わった」ではなく、「この時間があってよかった」と思わせることが重要です。
そのためには、誰にも聞かれていない本音を引き出すことが大事です。スラスラと回答が出てくるまでは、まだ表面的な話にすぎません。人間は自分で思っていることと発言がずれていることも多いです。
質問を通じて、相手自身も気づいていなかった思いや考えを引き出す。それがヒアリングの本質であり、価値のある時間にするポイントです。
能動的に聴く
能動的に聴くポイントは、2つあります。
① 話し手が本当に伝えたいことを正確に聞き取る
表面的な意味だけでなく、その裏にある真意や感情を読み取ることに努めます。「こうは言っているけれど、本当に思っていることは何なのか?」「なぜそれを話しているのか?」という視点をもつことで、より深いヒアリングが可能になります。
② 発言内容に対して安易に意見や評価をくわえない
聞き手が自分の意見を述べると、話し手はそれについて反応してしまい、本来の本音からずれることがあります。Googleフォームで質問するだけで得られる情報を聞くだけなら、ヒアリングの意味がありません。重要なのは、声のトーンや表情の変化、言葉の重みを察知し、本当に大切な部分を見逃さないことです。
このようなヒアリングの姿勢は、積極的傾聴や能動的傾聴(アクティブリスニング)とも呼ばれるので、興味があれば調べてみてください。
ヒアリングの準備が成功の9割を決める
前段が長くなりすぎてしまいましたが、いよいよ本題です。
あらゆることにおいて、準備が9割と言われますが、ヒアリングも例に漏れず、準備が9割です。前段のスタンスの部分でお伝えしたとおり、打ち合わせは試合であり、ヒアリングはプロジェクト初期の信頼関係や、プロジェクトの成功に大きな影響を及ぼします。
場当たり的なヒアリングでは、良い情報は引き出せない。しっかり準備をして臨むことで、当日の会話がスムーズになり、相手も話しやすくなるのです。
質問項目を作る
質問事項を作成するために、2つのことを行います。
①経営理念や事業理解
経営理念は「企業の経営理念やミッションを確認し、その企業が何を大切にしているのか」を、事業理解は「どんな業界で、誰のために、何を行なっているのか」を理解します。
これらの理解がないと、質問の粒度が粗くなります。逆に、これらの理解ができていると、的確な質問ができるようになります。
②質問内容を考える
質問内容は、プロジェクトによって異なります。たとえば、Webサイトのブランディングでは、大きく分けて「プロジェクトの課題と目的」「経営理念」「事業内容」「ターゲット」の4つを聞きます。細かく考えすぎてしまうと、迷子になって、質問項目を作るだけで時間が過ぎていってしまうので、「誰に」「何を」「なぜ」の観点で整理します。
優先順位と順番をつける
ヒアリングの時間は限られているため、すべての質問を均等に聞くわけにはいきません。「これは絶対に聞く」「できれば聞きたい」「時間があれば確認する」といった優先順位をつけることで、当日の進行がスムーズになります。
もっとも、質問項目には、基本的に「絶対に聞く」の質問以外は載せないようにしましょう。たくさん質問があって、「当日全て聞かなきゃ!」と焦ってしまうよりも、少ない質問数で、あらゆる角度で本音を聞いた方が良いためです。
・もっとも本質的な情報を得るための質問を最初に配置する
・流れに沿って関連する質問を続ける
・補足的な質問やディテール確認は時間が余った場合に回す
このように整理しておくことで、ヒアリングが効率的になり、相手も話しやすくなります。
精度の高い仮説を立てる
ヒアリングを成功させる最大のポイントは、相手がまだ言語化できていないことを引き出すことです。そのためには、単なる情報収集ではなく、「こういう課題を抱えていそう」「こういう方向性を考えているのでは?」と仮説を持って臨むことが重要です。
この仮説があると、話を深掘りしやすくなり、より実りあるヒアリングができます。
ヒアリング当日は試合に挑む気持ちで
5分の雑談で場をゆるめる
本音を引き出すためには、場に緩急をつけることが大切です。
空気がかたいミーティングでは、本音なんて出ません。最初の5分は、雑談をすることを意識しましょう。自己紹介から、軽い話題として、たとえば「いつもリモートなんですか?」や、「Slackなど普段使われていますか?」など、プロジェクトで相手に苦労をかけていないか配慮しつつ、思いやりを持った雑談を心がけています。
空気が緩んだら、実際のヒアリングに入っていきます。ヒアリングに入る際に、「それでは、本題ですが……」など枕詞をつけて場の雰囲気を切り替えます。
また、ヒアリングにいきなり入るのではなく、「このヒアリングは〜〜の目的で、今後の〜〜に活かします」といった打ち合わせ自体のゴールを確認するようにしましょう。
わかりきっていることでも、打ち合わせの序盤に伝えることで、参加者全員の認識を合わせることができます。
素朴な疑問が一番大事
「こんなこと聞いていいのかな?」と思うような素朴な疑問ほど、意外と大事な情報につながることが多いです。「それって、なぜそうなっているんですか?」「普通はこうだけど、どう違うんですか?」といった、当たり前を疑う視点をもつことが本質的なヒアリングにつながっていきます。
羞恥心と虚栄心は捨てましょう。素朴な質問が一番大事です。わからないことをわからないと言える勇気を持ちましょう。同じように聞くなら序盤が一番です。プロジェクトの後半になればなるほど「それははじめに聞いておいてください」と思われます。
素朴な質問には、相手が無意識に抱えている「前提」や「常識」をあぶり出す力があります。「なぜそれが当たり前なのか?」「他の方法は考えなかったのか?」といった問いを投げかけることで、新たな気づきを生むことができます。さらに、シンプルな疑問ほど、本質的な議論に発展しやすく、相手自身も気づいていなかった課題を浮かび上がらせることができるのです。
大事なのは、「知識不足を隠すこと」ではなく、「率直な疑問を投げかけること」。そのスタンスが、より深いヒアリングへとつながっていきます。
時間と会話をコントロールする
限られた時間のなかで、必要な情報を引き出しつつ、相手の負担を最小限にするためには、タイムマネジメントとファシリテーションも重要です。
たとえば1時間のヒアリングのなかで、「雑談を5分、その後打ち合わせの半分が経過したあたりでは、この質問まではしていきたい」といったイメージをもつことが大切です。
ヒアリングの最初に重要で抽象度が高い質問を置くことで、議論が派生していき、後半の詳細についても前半で聞けることもあります。その際は、「この質問まで辿り着けないから急がなくては!」と焦るよりも、相手の話に集中して、聞きたいところまで聞けたら、「その話は後半に質問を用意しておりますので……」などと切り替えて、話を進めましょう。
また、打ち合わせの参加者が多い場合は、時間管理の難易度が上がることも意識しておきましょう。
ヒアリングが終わったら、簡単なメッセージでお礼を伝えましょう。とくに、印象的なポイントに触れながら感謝の気持ちを伝えると、関係性も良好になります。
まとめ
これまでヒアリングにおける「姿勢」「準備」「進行」についてお伝えしてきました。ポイントをまとめると次のようになります。
1.姿勢
・相手の時間を無駄にしない
・能動的に聴く
2.準備
・質問項目作成には経営理念や事業理解を深める
・質問は優先順位と順番をつける
・精度の高い仮説を立てる
3.本番の進行
・5分の雑談で場をゆるませる
・素朴な疑問が一番大事
・時間と会話をコントロールする
ヒアリングは、単に質問を投げかけるだけではなく、相手の思考を整理し、新たな気づきを促す場でもあります。準備を徹底し、能動的に聴く姿勢をもつことで、円滑なプロジェクト進行へとつながります。次回のヒアリングでは、ぜひこのポイントを意識して実践してみてください!
ヒアリング力を磨くことは、プロジェクトの成功を左右するだけでなく、クライアントから信頼されるパートナーになる第一歩です。クライアントの本音を引き出し、認識を揃えることで、迷走を防ぎゴールへと導くことが可能です。
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水嶋 結
株式会社GIG LeadGrid事業部ディレクター。立教大学現代心理学部を卒業後、新卒でGIGに入社。現在は、ユーザー目線で仕事ができるWeb業界に興味をもち、ディレクターとしてコーポレートやサービスサイト、メディアサイトなど多岐にわたるサイト過去30社以上のディレクションを担当。