失敗しないERP導入プロセス【5つのステップと注意点を徹底解説】|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG

失敗しないERP導入プロセス【5つのステップと注意点を徹底解説】

2021-09-13 制作・開発

DXが推進される昨今、データドリブンな経営を実現しようと、ERPシステムの検討/導入を行う企業が増加傾向にあります。

ERPシステムといえば、これまでは海外にも拠点を置くような大企業が導入するシステムというのが一般的でした。しかし、最近ではクラウド型のERPも展開され、中小企業でもERPシステムを導入する動きが活発化しています。

今回はこのERPシステムについて、基本的な事柄から導入プロセス、導入におけるメリットや注意点などにも焦点をあて、解説します。

ERPとは

ERPとは、「Enterprise Resource Planning」の頭文字を取ったもので、「企業資源計画」と訳されるビジネス用語。ヒト・モノ・カネ・情報などの企業経営にとって欠かせない要素を、適切に分配して有効活用するための計画のことを指します。

ERPの考え方自体は、生産管理手法として用いられるMRP(Material Resource Planning)から派生したといわれており、資源を有効活用して生産効率を向上させる考え方を、経営の効率化にも応用させたものがERPの礎となります。

ERPの主な目的は、企業の基幹業務をひとつのシステムに統合させることによって、業務の効率化を図り、情報を統合的に可視化するところにあります。

近年ではDX推進の機運も相まって、ERPへの投資に関心を示す企業の割合は増加傾向にあります。

基幹システムとの違い

ERPとよく似た使い方をされるものに「基幹システム」が存在しますが、両者はおもに利用目的が異なってきます。

基幹システムとは、企業経営の根幹となる業務データを業務ごとに管理するためのシステムのことを指します。基幹業務には「会計」「人事」「生産」「販売」「在庫」などが含まれます。

業務ごとにデータを管理するため、たとえば営業部門と経理部門など異なる部署間でデータのやり取りを行う際には、システムを連携させるための手間が別途必要となります。

一方ERPでは、企業に存在するさまざまな業務データを一元管理することを主目的としています。そのため、ERPを導入することで、異なる部署間でのデータのやり取りなども比較的スムーズに行えるようになり、企業の経営状況などをリアルタイムで可視化できます。

それゆえに、経営陣が適切な判断をスピード感をもって下すことにも多いに役立つといえるでしょう。

関連記事:基幹システム導入の進め方。導入するメリット・注意点をエンジニアが解説

ERPの導入手段

次にERPの導入手段について確認しておきます。ERPを「どのように導入するのか」によって、以下の2パターンに分類できます。

  1. スクラッチ開発
  2. ERPパッケージ開発

それぞれ順を追って確認していきましょう。

手段1. スクラッチ開発

スクラッチ開発とは、自社の業務に合わせて独自のERPシステムをゼロから開発することを指します。自社の業務フローに最適なシステムを構築できるので、独自性の高い業務にも柔軟に対応できます。

また、システム構築後は年間のライセンス料が掛かりません。そのため、機能の拡張やシステム改修を行なったケースでも、ランニングコストの面ではパッケージ開発より費用は抑えられるはずです。

一方、開発期間が長期にわたり、初期費用が高額になることはデメリットのひとつ。

システム規模によっては開発期間が数年、費用が数千万円~数億円になるケースも。システム化する業務をきちんと整理したうえで、必要な機能やセキュリティ面での要件定義から行う必要があるため、開発会社だけでなく、発注する側の企業にもそれなりの工数が掛かってしまうことは避けられないでしょう。

関連記事:スクラッチ開発とは?パッケージ開発との違いや制作会社の選び方を解説

手段2. ERPパッケージ開発

ERPパッケージとは、標準的な業務に合わせて必要な機能がパッケージングされたERPシステムのことを指します。

すでにカタチになっているものがあるため、スクラッチ開発に比べて初期費用は抑えられる傾向にあります。導入実績が豊富なベンダーやSlerでは、ERPの導入支援までパッケージになっていることが多く、ユーザー側の負担も少なく、かつスムーズに利用を開始することができるでしょう。

ただ、自社に必要な機能がすべて揃っているかどうかは別問題。海外制のERPパッケージですと、仕様が海外向けの場合が多く、日本国内で使うためのカスタマイズが必要になることも考えられます。

カスタマイズやアドオン追加を行う場合、導入期間やコストはその分だけ増加しますが、独自の商習慣にも対応できるようになる点は大きなメリットとなります。ただし、スクラッチ開発ほど柔軟にユーザーの要求に応えることは難しいかもしれません。

くわえて、利用するユーザー数が多いケースでは、ライセンス料などのランニングコストが掛かることも忘れてはいけない要素となるでしょう。

ERP導入におけるメリット

ここではERPシステムの導入で得られる代表的なメリットについて解説します。

メリット1. 生産性が向上する

ERPシステムの導入メリットとして挙げられるのが、労働生産性の向上です。

労働生産性とは、従業員ひとりあたりが生み出す生産量や付加価値額を定量化したもので、以下の数式で表されます。

「産出量÷労働投入量(従業員数×労働時間)」

労働生産性を高めるためには、いかに最小の労働投入量で最大の産出量を創出するかにかかっています。ERPシステムでは、各部門ごとに分断されていた業務データを一元的に管理し、部門をまたいだ情報共有や業務連携を可能にします。

その結果として、業務の効率化と標準化を図ることにつながり、より少ない労働投入量で成果を生み出せることから、労働生産性の向上にも役立つはずです。

メリット2. スピーディな経営判断が可能

昨今の時代の流れの速さから、経営判断が遅ければ、それだけで市場に取り残されてしまうリスクがあります。

部署ごとに情報をまとめ、適宜報告を上げる従来の体制では、経営陣がタイムリーな情報を掴みにくいのも事実。市場動向は刻々と変わっているため、情報が上がってくるのを待っていては、決断のタイミングを逃してしまう可能性が高まります。

またデータが不足していると、主観に頼った経営に陥りがちです。ERPによって経営判断に必要なデータがリアルタイムで可視化できるようになれば、より適切な判断をスピード感を持って行うことにも寄与します。

いわゆる主観に頼らずデータに頼る、「データドリブン」な経営が実現できるようになります。

メリット3. 内部統制が強化できる

昨今、企業の大小を問わずに重要視されているものに「コンプライアンス(法令順守)」があります。ステークホルダーからの信頼を勝ち取るためには、今や無視できない要素でもあるため、ガバナンス(内部統制)強化は、各企業で取り組まれていることでしょう。

しかし、従来の基幹業務ごとで分断化されているシステム環境下では、全社的なガバナンス強化という面では非常に難しいという側面もあります。それは、各システムにデータが分散しているので、異なった条件に適応するセキュリティポリシーを運用していくことに大きな負担が掛かってしまうからです。

一方ERPでは、各業務データは一元管理されているので、統合管理されたセキュリティポリシーで企業システム全体を保護することが可能となります。

それゆえにガバナンスも強化され、最適なコンプライアンスを維持することができるはずです。

ERP導入におけるデメリット

ERPを導入するにあたってのデメリットについても確認しておきましょう。

デメリット1. 導入・保守・運用でコストが高め

ERPを利用するデメリットとして、導入だけでなくカスタマイズや保守・運用にもコストが発生する点が挙げられます。

サーバー・ライセンス・導入トレーニング・サポート費用などを含めると、初期費用だけで最低数百万円はかかります。また自社の業務に合わせた機能へカスタマイズするケースでは、導入の数倍から数十倍の費用が必要となってきます。

くわえて、導入後の保守・運用のサポート費用・ライセンスの使用料・定期的に行うアップグレードなどでもコストが掛かってくるでしょう。

ERPは扱える範囲が広いので、その分導入や運用面でのコストがどうしても高くなると思っておいてください。

デメリット2. 社員への教育が不可欠

ERPにはさまざまな業務データ、機密情報が集約されるため、サイバー攻撃の対象になるおそれが十分にあります。また取引先にアクセスするための踏み台にされるリスクもゼロではありません。

そのため、機密情報やシステム全体を保護ためには、社員だけでなく、派遣社員や出向社員に対しても情報セキュリティ教育は徹底することが不可欠です。

また利用ルールの策定や利用方法の社内教育も行いましょう。「導入しても使いこなせないまま、導入前よりも業務負担だけが大きくなってしまった」ということは避けなければなりません。

そのため、チームや各部署のリーダーが中心となって、社内でのERP利用を浸透させていくという手間がどうしても必要となります。

関連記事:情報セキュリティ事故の事例7選。事故を防ぐ4つの対策も解説

デメリット3. データの整理が必要

各部門でデータがそれぞれのルールで登録されているケースでは、正確にデータを集計して分析することに時間を要してしまい、経営陣の意思決定スピードを遅らせる原因にもなりかねます。

そのため、ERPでデータを一元管理する際には、ルールにバラつきのある各部門ごとのデータをきちんと整理したカタチでERPに登録しなければなりません。

入力するデータは日々の業務で発生し、データの種類も多岐にわたりますが、各部門ごとで業務知識が異なる社員が、ある程度統一した入力ルールに従って、データを入力することは求められます。

データを整理するためには、入力ルールの策定は事前にきちんと行う必要があります。

ERPの導入5つのプロセス

次にERPの導入プロセスについて解説を進めます。今回解説するステップは以下の5つ。

  1. 現状を把握してERPの導入目的を明確にする
  2. 自社に合うERPを選定する
  3. インフラ整備と初期設定を行う
  4. ルールの策定や社内教育を行う
  5. 導入後は保守・運用を行う

それぞれ順を追って確認しておきましょう。

プロセス1. 現状を把握してERPの導入目的を明確にする

ERPを導入するにあたって、まずは導入する目的を明確にするところからがスタートです。

その際に自社が今現在、どのような課題を抱えていて、それを解決することでどうなるのかまで、きちんと明確化しておきます。

「DX推進をはかるためにERPを導入しよう!」など、単にERPを導入すること自体が目的となってはいけません。これだとERPの効果を十分に発揮できないばかりか、導入や運用に掛かるコストまでもが無駄になってしまう恐れもあるので注意が必要です。

プロセス2. 自社に合うERPを選定する

次に自社の業務に最適なERPを選定します。今やさまざまなサービスが登場しているERPですが、それぞれに特徴や機能は異なってきます。

導入コスト・運用コストともに、性能によって左右されてくるので、ただ闇雲にERPを選んでしまうことは失敗のもと。各部署の業務フローやデータの管理手法、改善したい課題などを明確化し、ERPで何を実現させたいかをはっきりさせましょう。そうすれば、おのずと必要な機能や優先順位なども見えてくるので、ERPの選定でつまずかなくなります。

またERPでは、自社のフローに合わせたカタチで機能のカスタマイズを行うのが一般的なため、カスタマイズ性の高さも考慮しておくとよいでしょう。

プロセス3. インフラ整備と初期設定を行う

導入するERPが決まり、ベンダーやSlerと調整しながら、ERPを運用するサーバーやネットワークなどのインフラを整備するプロセスに移ります。

仮にERP導入後にネットワーク構成の再検討が必要になれば、運用負担が一気に増加する原因にもなりかねませんので、インフラ関連は慎重に検討すべき事案となります。

また、インフラ整備に割くためのリソース不足が懸念されるケースでは、クラウドで提供されているERPの導入を検討してみるのも選択肢のひとつだといえます。

インフラ整備が無事に終われば、必要なソフトウェアのインストールなどERPの初期設定も行う必要があります。マニュアルを閲覧するだけでなく、そこはベンダーやSlerの助けを借りながら作業を進めるようにしてください。

プロセス4. ルールの策定や社内教育を行う

ERPを効率的に運用するためには、運用ルールの策定および社内教育の実施が不可欠です。ルールや社内教育がきちんとできていない場合、ERPの効率的な運用がなかなか進まずに、業務改善に支障が出ます。

ERPの運用ルールや使い方などを具体的に策定できておれば、ERPが浸透するスピードも速く、社内情報を適切に管理できるようになるはずです。

プロセス5. 導入後は保守・運用を行う

ERPに関わらず、システムは導入すればそれで終わりではありません。導入後には保守・運用プロセスへと移っていきます。

ERPは多くの部署が関係するため、トラブルがどの部署で発生してもおかしくありません。

そのため、トラブル発生時にはすばやく対応できるように、保守・運用の体制はきちんと整備しておく必要があります。

またアップデートなど、メンテナンスが発生する場合の対応も考慮しておく必要があります。ERPの効果測定を定期的に行い、より効果を高めるためにどうすれば良いのか、運用を見直していく必要もあるでしょう。

ERP導入で失敗しないための注意点

最後にERP導入で失敗しないための注意点についても解説します。

注意点1. 自社に最適なERPかどうかは見極める必要がある

自社に適したERPを導入するためには、搭載されている機能や拡張性、導入コスト・運用コストの高さなどをよく把握することが不可欠です。

また、ERPの導入をスムーズに進めるためには、カスタマイズやアドオン追加などを少なくできるERPを選ぶこともポイント。

これらは準備期間の長さや導入コストに大きく影響を及ぼす要素なので、複数のERPを比較しながら、検討することをおすすめします。

注意点2. ROI評価を行い、効果を事前に予測する

ERPを導入することにより、どれくらいの投資効果が見込めるのか、ROI評価を行って予測することも不可欠でしょう。

ROIとは、「Return On Investment」の略称で、投資収益率や投資利益率と訳されます。投じた費用に対して、どれだけの利益を上げられたかを示す指標となり、ROIが高いほど「投資効率が高い」と判断されます。事業投資を評価・管理する際に大いに役立つ指標として活用されます。

ROI評価は継続的な指標として使うことに意味があり、一度だけの評価では有益な情報は得られません。導入後も定期的な評価を行うことで、ERP導入が自社にとって、どのくらいの費用対効果をもたらしているのかを見極める際に役立つでしょう。

ERP導入当初は、現場のトップや担当者主導でROI評価を行っていたものの、時間の経過とともに評価をやめてしまうケースも多く見受けられるので、なるべく継続して評価することを心がけましょう。

注意点3. ベンダーのサポート体制の確認が不可欠

ERPを選定する際には、ベンダーによるサポート体制も忘れずにチェックする必要があります。

ERPでは、企業のさまざまな情報を一元管理しているため、業務への影響度合いが非常に大きなシステムとなります。そのため、ERPの導入や運用でのトラブルが発生した際には、速やかに対応することが求められます。それゆえに、ベンダーによるサポートは欠かせない要素となるでしょう。

たとえば、導入時の機能説明やデモンストレーションといったサポートが充実しているベンダーを選べば、ERPの導入がスムーズに進めることができるはず。また、ERPを初めて導入するケースでは、サーバーの準備や導入プランの提案、初期設定代行といったサポート内容も充実しているベンダーを選ぶことがおすすめです。

ERPの導入はGIGにお任せください

自社に最適なERPを導入したいという方はぜひ当社株式会社GIGにご相談ください。GIGでは、これまで培ってきたシステム開発のノウハウと知見を活かした支援のもと、高品質なシステムを開発します。

ERPシステムの導入を検討されている方、すでに稼働しているシステムの保守・運用の内容を見直してみたい方は、まずはお気軽にお問い合せください。

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