「編集者は不要」ってホント? 誰もが発信できる時代でも、コンテンツ制作に編集者が必要だと思う理由|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG

「編集者は不要」ってホント? 誰もが発信できる時代でも、コンテンツ制作に編集者が必要だと思う理由

2023-05-17 制作・開発

こんにちは。株式会社GIG メディア事業部で編集者として働く齊藤です。

インターネットやSNSが急速に発展した現代。誰もがインターネット上で文章を書き、社会に発信できる時代になりました。そのため「コンテンツ制作に編集者は不要」といった意見も聞こえてきます。

しかし、いまでも社内にコンテンツの制作・編集を行う部署があったり、コンテンツの制作・編集を外注したりする企業は多いです。いったいなぜ、コンテンツの編集、編集者が必要なのでしょうか。そもそも、編集という仕事は何なのでしょうか……?

今回は「編集者は不要なのか」というテーマを、編集者目線で考えていきます。


そもそも「編集者の仕事」とは?

さて、皆さんはそもそも「編集」の仕事を正確に理解できているでしょうか。現役の編集者やライターなら把握できていると思いますが、それ以外の方はなかなか編集者の仕事を知る機会がないかもしれません。

実際、たまにテレビドラマなどでも「編集者」が題材になる一方、イメージと少しずれていて「モヤッ」とすることもあります。

そこで、まずは編集の仕事を説明しましょう。結論から言うと、「編集」という言葉には「2つの認識」があり、このうち1つは皆さんのイメージと少しズレるかもしれません。

狭義の“編集”

最初にご紹介するのは、ライターなどのクリエイターから納品された成果物に対し、品質や内容に問題がないかをチェックする作業です。いわゆる「編集」というフレーズからすぐに思い浮かぶ認識ですね。

これらの作業は、私からすると、狭義の「編集」といえます。Web記事の編集者を例に解説すると、この言葉が指す範囲はおおむね以下の作業です。

・タイトルや見出しの確認、訂正
・事実関係の間違い確認、訂正
・文章/日本語の誤りや、不自然な点がないかの確認、訂正
・読者のニーズを考えた内容の改善(提案)
・上記を踏まえたライターへの修正依頼、FB

ここでいう「訂正」とは、いわゆる「赤入れ」のこと。これらの作業を一言でまとめると「記事の品質を向上させるための作業」になります。

言葉からもわかる通り、狭義の「編集」が編集者のおもな仕事であることは間違いありません。しかし、じつは「編集」にはもう少し広い意味があります。編集者も狭義の編集だけを行っているわけではないのです。

広義の“編集”

では、もう1つの解釈にはどんなものがあるのか。Web記事の編集者の場合で言うと、「記事企画~公開までに必要なすべての作業」が編集と定義されることもあります。ここでは便宜上、広義の“編集”と呼びましょう。

たとえば『図書館情報学用語辞典 第5版』によると、「編集」には次の意味もあります。

出版の過程において、企画を立て、執筆者を選び、依頼し、原稿を集め、これを完全なものとし、さらに日程を管理するなど、原稿を制作部門に渡すまでのすべての活動
出典:コトバンク

先ほど見た編集は、上記の説明で言うと「これを完全なものとし」の部分しか当てはまりません。実際には、これだけ多くの“編集”業務があるのです。当然、世の中の編集者も、上記の作業をほとんどやっている人が大半を占めていると思ってください。

さらに、近年はWebメディアのコンセプト/方向性決めといった「戦略立案」や、配信した記事のPVやGoogle検索の順位変動、収益発生状況などを分析・改善する「データ解析」なども、編集者の仕事になりつつあります。

なお、ここまでの話を聞いて「いや、戦略立案はプランナーの仕事だし、データ解析はマーケターの仕事だよね?」と思われたかもしれません。その感想はおおむね正しいです。

近年、Web記事のマーケティング活用は加速する一方のため、とくに編集者のマーケター的な役割はどんどん強まっています。そのため「Web編集者」と「Webマーケター」の線引きはあいまいになってきました。

一応、線引きとしては「コンテンツにかかわるマーケティング」は編集者の仕事、「それ以外の純粋な広告マーケティング」はマーケターの仕事と言えます。しかし、このあたりも人によって解釈が分かれてしまう部分です。


編集者は「不要な場合もあるが、原則必要」

ここまで、編集の仕事について解説してきました。上記を見て、皆さんは編集者が必要だと思いましたか? それとも不要だと思いましたか?

個人的には「編集者は不要な場合もあるが、原則必要」な存在だと思っています。では、以下で編集者が必要なコンテンツと、そうでないコンテンツを見ていきましょう。

「最初から完璧なコンテンツ」に編集者はいらない

はじめに、編集が不要なコンテンツについて考えてみます。思い当たるものはいくつかありますが、パッと思い浮かんだのは「最初から完璧なコンテンツ」です。

当たり前ですが、最初から「完璧」なコンテンツであれば、編集せずそのまま世の中に出せばいいのです。編集者をやっていると、たまにこのようなコンテンツに出会うことがあります。そういうものに出会えたときは、たまらなく嬉しいものです。

上記からもわかるように、私は編集者ですが、じつは必ず記事を編集したいわけではありません。編集には手間やコストがかかり、気疲れする側面もあるからです(おそらく、同じように感じる編集者も多いでしょう)。

「でも、あなたたちって編集者でしょ? 編集者がいらないことを認めちゃうの?」と思われるかもしれません。たしかに、クリエイターの制作するすべてのコンテンツが最初から完璧であれば、私も編集は一切不要だと思います。

しかし、現実はそうではありません。また「完璧なコンテンツ」の定義は、メディアの特性や状況、時勢、読者のニーズなどによって絶えず変化します。そのため、あるメディアでは完璧なコンテンツが、ほかのメディアでは不合格……なんてことも。

なにより、先ほども言ったように、編集は編集者の仕事のほんの一部です。クリエイターに編集のいらない完璧なコンテンツを制作してもらえたとしたら、それは編集者の「企画」「ライター選定」「取材同行」「指示出し」などの業務が、すべて完璧に運んだ結果と言えるかもしれません。そこに喜びを感じるのは当然ではないでしょうか。

編集は「料理」のようなもの

いままで見てきたような「編集」の仕事をわかりやすくたとえるとすれば、個人的には「料理」に近いと思っています。

世の中にある食材は、一切手を加えなくても美味しいものが、けっこうあります。下手な料理人が触れば、かえって味を損なうケースも多いでしょう。

しかし、生の食材は扱いが非常に難しいものです。そこで「日持ちさせたい」「食べやすくしたい」「クセをなくしたい」などさまざまな動機から、ヒトは「料理」をします。

編集も同じです。一切手を加えないほうが良いコンテンツもありますし、下手な編集者が触って台無しになることもあります。料理と同じで、どうにもならないコンテンツを編集者が良くすることには限界がありますが、コンテンツを台無しにするのは非常に簡単です。

ただし、そうならないないためのスキルや意識をもったうえで、「長く楽しまれるコンテンツにしたい」「わかりやすくしたい」「成果が出るようにしたい」など、さまざまな動機から行われる編集者の「編集」は効果的です。

「食材には余計な手を加えず、自然なままで味わうべき」という意見も一理あるでしょう。しかし、実際は多くの人が料理人の料理を楽しみ、味わうように、編集者の手が加わったコンテンツも必要だと考えます。

なお、料理の主役が料理人ではなく「料理(食材)」であるように、コンテンツ制作の主役も編集者ではなく「コンテンツ(クリエイター)」です。食材の「命をいただく」のと同様に、クリエイターに対しても「制作していただく」という気持ちを忘れてはいけません。


コンテンツ制作に必要な編集者の特徴

コンテンツの質は、良くも悪くも編集者に左右される側面があることをご理解いただけたでしょう。では、「コンテンツを台無しにする編集者」と「コンテンツの質を向上させる編集者」の違いはどこなのでしょうか?

以下では、現役編集者が思う「コンテンツ制作に必要な編集者の特徴」をまとめてみます。

特徴1. ユーザー/読者視点をもっている

これは絶対条件です。そもそも編集者は、コンテンツを届けるユーザー/読者の代弁者的な役割が大きく、この視点がなければ存在意義がないとさえ言えます。

もちろん、ライターや情報発信を依頼するクライアントも、ユーザー/読者視点をもつための努力はしているでしょう。しかし、以前執筆した「初心者向けコンテンツ記事」でも触れたとおり、自分たちが詳しく、興味がある情報をそうでない人に届けるとき、ユーザー/読者視点をもつには相当な意識の高さが必要です。

そこで助けになるのが、ユーザー/読者の代弁者である編集者です。

・ユーザー/読者はどんな気持ちでこのコンテンツにたどり着く?
・この伝え方で意図したとおりに情報がユーザー/読者に伝わる?
・ユーザー/読者がこの情報を見たらどんな感想を抱く?

といったポイントを、想像力を働かせつつ全力で追求する必要があります。編集者も「ユーザー/読者」とは立場が違うため、意識を高くもってニーズを追い続けないと、彼らの視点をかんたんに見失うでしょう。

特徴2. 人間・利害関係を上手にマネジメントできる

上記で「ユーザー/読者視点が大切」とは言いましたが、コンテンツ制作をビジネスとして行う以上は、ユーザー/読者視点だけ意識しているわけにはいきません。

仮に「発注者(例:企業)→編集者→クリエイター(例:フリーランス)」という流れで発注されるコンテンツの場合、発注者の希望を叶えることはもちろん、作業者であるクリエイターにも気持ちよく仕事をしてもらいたいものです。

ここで大切なのは、ビジネスでいう「三方よし」を実現すること、つまりコンテンツにかかわる関係者全員が満足できる形で制作を進行させていくことです。

もちろん、現実は発注者がとんでもない無茶ぶりをしてしまったり、クリエイターが重圧に耐えかねて失踪してしまったり、編集者が大ポカをやらかしたり……と、そう上手くいかないこともあります。

しかし、上記の例で言えば、編集者が発注者に対して「事前のヒアリングでしっかり詳細を詰める」「作業範囲の線引きを明確にする」などの対応をしていれば、無茶ぶりが発生しない可能性もあります。クリエイターの例でいえば「案件遂行力の高い人材をアサインする」「クリエイターに対する適切なフォローを行う」などの対応をしていれば、失踪を防げたかもしれません。

このように、編集者には「中間管理職」的な側面もあるため、ときには相反する人間・利害関係をうまくマネジメントする力が求められます。

特徴3. コンテンツ制作の経験・スキルが豊富

ここまでは編集者の「意識」的な側面を中心に解説してきましたが、幅広い業務を行う編集者には幅広い経験・スキルが求められます。当然、そういった経験・技術の有無もコンテンツの質に直結するでしょう。

具体的には、以下のような経験・スキルなどの部分で差がつきやすいです。

【経験】
・場数の多さ
・経験があるクライアントの業種/規模感
・経験がある案件の種類/規模感
・くぐってきた修羅場の数
・これまでに培った人脈/人生経験

【スキル】
・編集ノウハウ(日本語力、ツール活用能力など)
・コミュニケーションスキル
・提案、改善力
・注意深さ
・データ収集、解析スキル

特徴4. 客観的な根拠に基づく編集/指示出しができる

編集者は、発注者(あるいは上司)からさまざまな指示を預かり、クリエイターにさまざまな指示を伝達するケースが多いです。そのとき「なんとなく編集しました(なんとなく編集しませんでした)」「こっちのほうが好きだから編集しました(こっちのほうが好きだから編集しません)」は絶対NGです。

なぜなら、指示を伝える(あるいは指示にリアクションする)行為には、客観的な裏付けが必要だからです。とくに、クリエイターの成果物を編集・修正するときは、相当な自問自答が求められます。

私はライター出身なので、クリエイターは自分の中で成果物を「100%の出来」と判断して納品するものと考えています。もちろん、客観的に見て100%かは別の話ですが、少なくともベストは尽くした結果であるケースが大半でしょう。

そんな成果物を、「好みだから」という程度の動機で編集してよいものなのでしょうか。私はそうは思いません。編集を入れるからには、「こうしたほうが絶対に(読者にとって)良い記事になる」という確信をもったうえで、根拠に基づいて編集する意識が必要です。

反対に、そうしなければクリエイターとの関係がほぼ間違いなくこじれます。結果、そういう編集者に限って「良いクリエイターがいなくて困っている……」なんてぼやくものです。

特徴5. 手法や考え方の改善を続けられる

コンテンツ制作という分野は、トレンドの移り変わりがとくに激しいです。たとえばGoogleの検索エンジンは毎日アルゴリズムがアップデートされていると考えられ、ときには「コアアップデート」と呼ばれる非常に大きなアップデートが発生します。

コアアップデートの前後では、SEOの手法がまるで変わってしまうこともあるため、いつまでも過去の知識や手法、成功体験に固執していると、一瞬で時代遅れになってしまいます。

もちろん、コンテンツ制作の「芯」と言える「読者の人生に影響を与えられるようなコンテンツをつくる」のような部分は、時代やテクノロジーによって変わることはありません。しかし、時代によって「読者の人生に影響を与えるようなコンテンツ」そのものが変わってしまうことは珍しくなく、やはりキャッチアップは求められるでしょう。

そういう意味で、過去の自分に固執せず、手法や考え方の改善を続けられる編集者の存在はコンテンツの質を高めることにつながります。


成果につながるハイクオリティなコンテンツ制作はGIGにご相談ください

ここまで、コンテンツ制作と編集者の関係を考えてきました。

正直、個人ブログの記事を更新するだけなら編集者は不要です。しかし、たとえば大企業が自社サービスの成約を目指してコンテンツを制作する場合、コンテンツの量や質、コンテンツ制作に携わる利害関係者の数、想定される読者の数など、制作の規模感は相当なものになるでしょう。

このように複雑かつ大規模な案件になればなるほど、優秀な編集者の存在がコンテンツ施策の成功を左右します。案件を巧みにマネジメントし、読者のニーズを捉えつつも成果につながるコンテンツを発信する難易度が格段に上がるからです。

GIGには、「ユーザー/読者視点」「マネジメントスキル」「豊富な経験」などをあわせもつ編集者が数多く在籍しています。昨今求められるマーケティングスキルについても、社内の優秀なマーケターと勉強会などを開催し、常に業界最先端のトレンドを取り入れています。

成果につながるハイクオリティなコンテンツ制作をご希望の方は、GIGにご相談ください。

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齊藤 颯人(とーじん)

1997年7月生まれ。大学3年次に学生フリーライターとして独立。卒業後は新卒フリーランスとして活動し、2020年秋に業務委託でGIGにジョイン。Workship MAGAZINEでの記事執筆・編集などに従事し、2023年4月に社員転換。歴史ライター・ファイナンシャルプランナーとしても活動中。