入札参加資格とは|国・東京都・地方自治体ごとの審査基準を解説|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG

入札参加資格とは|国・東京都・地方自治体ごとの審査基準を解説

2024-06-01 制作・開発

入札参加資格とは、国や地方自治体の競争入札に参加する事業者が保有しなければならない資格。認知度が高い全省庁統一資格は、国や官公庁の調達案件の入札参加資格です。

ほかにも東京都や地方自治体の入札参加資格があり、それぞれ審査基準が異なります。

この記事では、入札参加資格の種類や審査基準について解説します。競争入札が抱える課題と解決策もまとめました。調達を検討中の担当者はぜひお役立てください。

入札参加資格とは

入札参加資格は、企業の規模や資本金などをベースに事業者をランク付けして登録するものです。参加資格を設けることで、プロジェクトの完遂に必要な技術力や実績をもつ事業者を選定することができます。

もし、入札参加資格を設けない場合、実績がなく技術力の低い事業者が落札してしまい、求める成果物が納品されない可能性があるのです。

入札参加資格は発注業務によって異なります。

業種

概要

物品(物の製造・販売)

事務機器、事務用品、印刷、衣服、医療機器など

役務(サービスに関する業務)

建設工事(建設・土木工事など)

建設コンサルタント(設計・測量)

設計、測量、トンネル点検など

入札参加資格を設けることで、こうしたリスクを管理できます。とくに専門的な技術が求められるプロジェクトの場合には、入札参加資格を設けましょう

発注側はプロジェクトの性質に応じて、適切な参加資格を設定しなければなりません。

入札参加資格の種類

入札参加資格は官公庁や地方自治体で異なります。それぞれの特徴について解説します。

全省庁統一資格

「全省庁統一資格」は、事業者が国や官公庁が発注する入札案件に参加するために必要な資格です。発注機関が以下に該当するときは「全省庁統一資格」を参加要件に設定します。

・国会関連機関:衆議院、参議院、国立国会図書館
・中央省庁:総務省、法務省、外務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛相など
・特別機関および外局:最高裁判所、会計検査院、内閣官房、内閣府本府、宮内庁など

資格の種類別に等級が割り振られており、それぞれ予定価格の範囲が異なるのが特徴です。等級はA~Dまであり、以下の項目で付与された点数の合計によって決まります。

役務の提供での付与数値は以下の通りです。

年間平均(生産・販売)高(前2年間の平均実績高)

2,500万円以上200億円以上の範囲で15~65点

自己資本額の合計

100万円未満10億円以上の範囲で3~15点

流動比率

100%未満~140%以上の範囲で4~10点

営業年数

10年未満~20年以上の範囲で6点~10点

▲出典:調達ポータル「競争参加者の資格に関する公示

予定価格とは、調達案件の落札基準となる価格のことで、市場調査などを経て決まります。大規模な調達案件の場合、予定価格も大きくなります。

資格の種類

予定価格の範囲

等級

物品の製造

3,000万円以上

A

2,000万円以上3,000万円未満

B

400万円以上2,000万円未満

C

400万円未満

D

物品の買受け

1,000万円以上

A

200万円以上1,000万円未満

B

200万円未満

C

物品の販売、役務の提供

3,000万円以上

A

1,500万円以上3,000万円未満

B

300万円以上1,500万円未満

C

300万円未満

D

▲出典:調達ポータル「付与数値・等級等

予定価格が大きくなると、それなりに信頼のおける事業者に委託したいものです。資本金や売上高で等級ランクを分けることで、参加事業者をある程度絞り込むことができます。

関連記事:入札の予定価格とは?事前公表のメリット・デメリットと決め方

▼全省庁統一資格の窓口方法

全省庁統一資格の申請を受け付ける窓口は、各省庁や地方自治体です。

・インターネット申請
・郵送・持参による申請

一般的に申請から受理まで2~4週間かかるため、資格取得を希望する事業者を考慮して公告を出したほうがよいでしょう。

全省庁統一資格の有効期限は3年で、自動更新ではありません。更新手続きが必要なため、対象となる事業者が少ない案件と見込まれるときは事前に周知しておくと親切です。

参考:調達ポータル「全省庁統一資格について

東京都入札参加資格

「東京都入札参加資格」とは、都が実施する入札に参加するための資格です。東京都の区市町村の入札参加資格ではないため、新宿区や三鷹市などの入札資格とは別のものになります。

資格申請サイト

東京都電子調達システム

審査基準

<客観的審査事項>
年間総売上高
自己資本額
従業員数
流動比率
営業年数
障碍者雇用の割合(実雇用率)
※ISOなど認証取得により加点あり

<主観的審査事項>
営業種目売上高

等級順位

A:70点以上
B:40点~70点未満
C:40点未満
X:無格付

資格の有効期限

審査基準日(決算日)から1年8カ月

等級順位は業種ごとに付与します。項目ごとに点数が設けられており、それぞれの審査事項をもとに合計点数を算出し、低いほうの等級順位で決定します。

こうした項目を審査後、結果として「競争入札参加資格審査結果通知書」を電子通知します。

地方自治体入札資格

「地方自治体入札資格」は、地方自治体が独自に定めている入札資格です。自治体に本社または支店をもつ法人を対象としています。

東京都内の区市町村は「東京電子自治体共同運営電子調達サービス」を通して調達を行います。入札参加資格の申請受付もこのサービスサイトより受け付けていますが、役務については受け付けていません。

資格要件は、地方自治体ごとに異なり、地域特有の業種や技術に応じた要件の設定が可能です。静岡県の例をみてみましょう。

1. 地方自治体法令第167条の4の規定に該当しないこと。ただし同条2項各号のいずれかに該当する事実があった後、同項に規定する期間内で、静岡県が相当と認める期間を経過した者はこの限りではない。
2. 資格審査申請書の提出日における、継続して同一の事業を営んでいる年数が1年以上であり、12カ月分の決算が確定していること。
3. 都道府県税並びに消費税及び地方消費税を完納していること。
4. 営業に関し、法令上必要とされる許可、認可等を受けていること。
▲出典:静岡県「入札参加資格(令和5年9月~令和8年8月まで)

資格審査では、反社会勢力とのつながりがないかも審査されます。各自治体が政策や地域の特性をふまえて設定が可能です。

申請方法は電子申請と窓口申請の2つです。電子申請システムがある自治体では、電子公告も可能です。事前に調達方法を決めておきましょう。

競争入札が抱える課題と解決策

入札参加資格のシステムは、競争入札の公平性や透明性を確保するためにも必要なものですが、いくつか課題があります。

・価格競争は品質の低下を招いてしまう
・参加資格の申請方法がわかりにくい
・技術力のある中小企業が参加しにくい

それぞれ簡単に解説します。

価格競争は品質の低下を招いてしまう

競争入札は価格を重視して選定するため、事業者の技術力がわかりにくいことが課題です。実際に業務を履行できる技術がないのに落札してしまうケースもあります。

価格重視だと必要な人員や材料をカットしてしまうため、品質が低下してしまうのです。それなりの品質を求めるなら、事業者が必要なリソースを確保できるような環境を提供しなければなりません。

解決策として、価格だけではなく、提案力や技術力もバランスよく評価する「総合評価方式」の導入があげられます。

提案書の評価を重視した方法をとることで、技術力の確認が可能です。確実にプロジェクトを履行できる事業者を選べます。

最低制限価格制度を適用して、あまりにも低い入札は無効とする方法も効果的です。

参加資格の申請方法がわかりにくい

入札参加資格の申請手続きは複雑です。申請方法を理解するまでがたいへんなので、あきらめてしまう事業者もいます。

公平な入札を行うためには、幅広い事業者からの応募が必要です。申請しやすいようにガイドラインを設けたり、プロセスを簡略化したりなど、事業者がスムーズに申請できるように改善しましょう。

とくに電子申請システムは不慣れな事業者も少なくありません。ホームページなどで申請手順を閲覧・ダウンロードできるようにしておくと負担軽減につなげることが可能です。

技術力のある中小企業が参加しにくい

競争入札の場合、入札参加資格の取得や参加条件が厳しいことから、技術力をもつ中小企業が参入しにくいといった課題があります。

解決策として、中小企業向けの参加資格要件の緩和や、資格取得の支援プログラムなどの実施があげられます。これにより中小企業の参入を促進することが可能です。

ほかにも、プロポーザル方式や随意契約を導入することで、技術力を強みとする中小企業にも国や地方自治体の案件を受ける機会を増やすことができます。

契約においても柔軟性が高まるため、プロジェクトに応じて検討してみてください。

入札方法別の適切な参加資格の選び方

調達案件を成功させるには、適切な参加資格の設定が必要です。入札方法によって、求められる参加資格や評価基準が異なるため、担当者は理解しておかなければなりません。

おもな3つの入札方法より、参加資格の選び方について解説します。

一般競争入札(総合評価方式)

一般競争入札は、幅広い事業者からの参加を促し、価格を重視してもっとも安い提案を採用する入札方法です。条件を事前に公表するため、透明性と公平性を確保できます。

品質を確保したい場合、技術力や提案内容を含めて審査する総合評価方式を用います。

システム開発やWebサイト制作のような専門性の高い案件を調達する場合、入札参加資格においても技術力と過去の実績を評価しなければなりません。

事業者の規模や資格等級を設定することで、入札に参加する事業者の範囲を指定することが可能です。案件の規模や予定価格などを踏まえて決定しましょう。

プロポーザル(企画競争入札)

プロポーザル方式は、事業者に提案書を提出してもらい、技術力やこれまでの実績を評価する方法です。

地方自治体が調達する場合、自治体が定める競争入札参加資格の基準を満たしている事業者が参加できます。

特定の技術や資格を求めるときは、以下のように具体的に提示することが大切です。

・自治体の一般競争入札有資格者名簿に登載され、営業種目や細目の登録があるもの。
・過去5年以内の官公庁のWebサイト制作実績がある
・レスポンシブデザインとウェブアクセシビリティ(JIS X 8341-3:2016)AAに準拠
・単一ページ作成ではなくデザインの異なる複数パターンのページレイアウトを作成していること
・CMSは、職員の負担を軽減できる機能を有し、操作性に優れ、アクセシビリティに配慮したページを作成できるか。
・業務責任者が本業務に必要な経験を十分に持ち、また経験を生かした業務の遂行が期待できるかなどがある。
▲出典:横浜市「【特定結果】【公募型プロポーザル】横浜市ウェブサイトデザイン改善業務委託

満たしてほしい資格要件や評価基準を公告で明示することで、参加事業者を絞り込むことが可能です。提案書の独自性が高まるため、事前に評価基準を決めておくと審査がしやすくなります。

地方自治体によっては「競争入札参加資格者名簿」の閲覧が可能です。営業種目や等級順位が確認できるため、プロポーザル方式の際の事業者選定に役立ちます。

随意契約

随意契約は、特定の事業者と直接契約を結ぶ方式です。競争入札が適さないと判断された場合に使うことができます。

Webサイト制作やシステム開発など、専門的な知識が必要な案件で随意契約が用いられることがあります。

各地方自治体では「随意契約ガイドライン」を策定しており、随意契約を実施する際の手続きや条件、発注プロセスを明示しています。

見積もりをとる事業者を選ぶときの条件として、資格者名簿に登載されている事業者が指定されているケースもあるので確認しておきましょう。

入札参加資格をもつ事業者を選ぶ3つのメリット

入札参加資格は審査をもとに付与されているため、等級ランクからある程度の条件を満たしているわけです。つまり、入札参加資格の有無やランクに着目することで、プロジェクトを完遂できる事業者を選ぶことができます。

ここでは、入札参加資格をもつ事業者を選ぶための3つのメリットについて解説します。

1. 信頼性が高くプロジェクトの成功が期待できる

入札参加資格をもつ事業者は、技術力や実績を評価されたうえで取得しているため、確かめるまでもなく、信頼性が高いことがわかります。

プロジェクトを履行できるスキルを備えていることから、期待通りの成果物を得ることができるでしょう。資格やランクで絞り込んだら、事業者のホームページなどで制作実績を確認することをおすすめします。

2. 専門性が高く高い品質を期待できる

入札参加資格を取得する際、特定の分野における専門的な知識や技術を登録します。

そのため、高度な技術が求められる案件の場合、参加資格者名簿より必要なスキルをもつ事業者へ委託することで品質を確保することが可能です。

また、要件定義書や提案依頼書(RFP)の作成においても、リソースが不足している場合、入札参加資格をもつ事業者に協力を要請することができます。

事業者の協力を得ることで、高品質な要件定義書や提案依頼書を作成できるのです。入札参加事業者の質の向上とプロジェクトの成功率も期待できます。

3. 確かな実績から透明性を確保しやすい

電子申請システムでは、過去の落札実績を確認できます。入札参加資格をもつ事業者がこれまでどのような契約を締結し、履行してきたのかを確認することが可能です。

また、すでに契約履行履歴があるということは、法令に準拠したうえで完遂していることがわかります。つまり、法令違反や契約違反といったリスクが低く、安心して契約を結ぶことができます。

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入札参加資格は、官公庁と東京都、地方自治体でそれぞれ異なります。企業規模や実績などで定められた等級ランクをもとに、案件にあった事業者を設定することが可能です。

入札参加資格は優れた事業者を選ぶ基準となりますが、競争入札ではランクが低く技術力のある中小企業が参加できないケースも少なくありません。
専門性が求められる案件なら、参加資格を目安に技術力の高い事業者を選びましょう。

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