システム移行は難しい? 手順や失敗を防ぐコツをエンジニアが解説|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG

システム移行は難しい? 手順や失敗を防ぐコツをエンジニアが解説

2023-03-12 制作・開発

近年では、オンプレミス環境からクラウド環境へシステムの移行を実施・検討している企業が増えてきている印象です。しかし、今まで使っていたベースとなるシステムが存在するからこそ、新規でシステムを開発・導入するのと比べても、かんたんに移行はできるだろうと考えていませんか?

そう思っているのならば、とても危険です!

システム移行にもやるべきことは数多くあります。仮にシステム移行がうまくいかないと、新システムが稼働できず、企業にとって大きな経営上の損失を招くことも。考えただけでもゾッとしますね。

そうしたことは避けなければなりません。今回はシステム移行に失敗しないために知っておくべき「システム移行の手順」や「移行に失敗しないためのコツ」などを解説していきます。

システム移行とは?

システム移行とは、既存のシステムやソフトウェアを新たに導入するシステムに置き換えたり、別の環境に移したりすることを指します。

ひとことでシステム移行といってもさまざまなケースが想定され、OSのバージョンアップにともない、互換性のあるソフトウェアを導入するケースや、今まで使用してきたオンプレミス環境からクラウド環境などのような新しい環境に移行させることもシステム移行に含まれます。

システムを使って業務をこなす以上、システム移行は定期的に発生する作業ともいえます。移行する際には、速やかにトラブルなく移行することが求められ、そのためには綿密に移行プランを立てることが不可欠です。

システム移行が想定通りに進まないとなると、当初の予定を超える予算や時間、人的リソースを要するだけでなく、新システムや新サービスが稼働しないことから、企業にとって大きな経営上の損失を招くことにもつながりかねません。

システム移行が失敗の許されない作業であることは覚えておきましょう。

システム移行が必要な状況

システム移行が必要な状況とはどのような状況なのでしょうか。ここではシステム移行が必要な状況について解説を進めます。

状況1. ハードウェア/OSのサポート終了

業務を行ううえで、システム移行を行うタイミングはいくつかありますが、なかでもどうしても移行が必要な状況は、「ハードウェアやOSのサポートが終了するタイミング」でしょう。

■ハードウェアのサポート終了

ハードウェアは物理的にも経年劣化は避けられませんし、サポートが終了するタイミングで置き換えることは必須です。

サポート終了のタイミングで最新のハードウェアに移行する場合、現在利用中のOSでは稼働できなくなることも想定されます。古いバージョンのOSにも対応できるサーバーマシンを新たに用意して現行のシステムをそのまま移行するのか、OSをバージョンアップしたうえで新システムに移行するのかといった検討が必要です。

■OSのサポート終了

OSのサポート終了とは、OSのバージョンが古くなることで、開発元からのサポートが受けられなくなることを指します。

たとえば、Windows Server 2008/2008 R2の延長サポートが終了しましたが、これにより今後OSを起因とするシステム障害やトラブルが発生したとしても、開発元からのサポートは受けられなくなります。

また、セキュリティ更新プログラムも配布されなくなり、セキュリティホールを狙ったサーバーへの攻撃も防ぎきれなくなるため、新しいOSへの移行が不可欠だといえます。

OSのサポート期限は、開発元の公式サイトなどに掲載されているため、利用中のOSがサポート終了していないかどうか、いま一度確認してみるのも良いでしょう。

状況2. システムの統合

企業合併などにより経営環境の変化にともない、それぞれの企業で使用していたシステムをひとつのシステムに統合する必要が出てくる場合にも移行が必要です。

システムの統合が求められる場面としては、M&Aによるグループ企業の再編や部署単位で合理化を図りたい場合などが挙げられます。

情報通信技術(ICT)が発展するにつれて、市場変化のスピードも加速しており、激しい市場競争を生き抜くためにも、M&Aを選択する企業は増加傾向にあります。

M&Aのような組織改編時には、それぞれの業務システムを統合したり、再構築することが不可欠となります。

状況3. システムの老朽化

多くの企業では、導入してから長い年月が経ったシステムを、メンテナンスを繰り返しながら使用しています。古くなったシステムを意味する「レガシーシステム」では、現代の高度な業務に対応できなかったり、他のシステムとの連携がうまくいなかったりして、使用し続けることが業務の非効率化を招くと懸念されています。

経済産業省が公表しているDXレポートにおいても、「2025年の崖」が指摘されています。

「2025年の崖」とは、レガシーシステムを使い続けることで、多くの問題が2025年に発生・顕在化し、日本企業が国際的な競争力を失う危険性が高いという状況を表しています。

このような状況を回避するためにも、老朽化したレガシーシステムの再構築や移行が不可欠な状況だといえます。

システム移行のパターン

システム移行のパターンには、2通りのパターンが存在します。ひとつは「オンプレミスから新しいオンプレミスにシステムを移行するパターン」、もうひとつは「オンプレミスからクラウドに移行するパターン」です。

世間では、「オンプレミスはもう古い」「今すぐクラウドに移行すべきだ」とよく言われていますが、必ずしもそうだとは言い切れません。業務システムの目的や業務の特性などにあわせて、オンプレミスかクラウドかは検討する必要があるでしょう。

パターン1. オンプレミスからオンプレミスへの移行

オンプレミスとは、システム構築に必要なサーバーやストレージ、ソフトウェアを自社で運用することを指します。データやソフトウェアは基本的に自社内で保管するため、セキュリティやプライバシーといったことは管理しやすくなりますが、サーバーの設置やメンテナンスなどのコストや負荷はそれなりにかかってきます。

オンプレミスからオンプレミスだと、場合によってはインターネットを介さない環境でも作業ができますし、自社システムとの連携もスムーズに行うことはできるでしょう。ただし、その都度初期費用が必要になることや、障害があれば復旧対応への手間がかかることなども忘れてはいけません。

パターン2. オンプレミスからクラウドへの移行

クラウドとは、インターネットを介してリモートサーバー上にデータやソフトウェアを保管して運用することを指します。自社でサーバーやネットワーク機器などは用意せず、クラウド事業者が提供するサービスを利用することで、必要なときに必要な分だけのリソースを活用できます。

そのため、コスト面やスケーラビリティにも優れており、クラウド事業者がセキュリティやバックアップなどの対応を行ってくれるので、セキュリティ管理の手間も大幅に省くことができるでしょう。

近年では、あらゆる分野でのクラウド化の機運が高まり、システムをオンプレミスからクラウドへ移行するケースも増えてきています。運用負荷やコストの削減、拡張性や利便性の高さなどから、クラウドへのシステム移行を積極的に進めている企業は増加中です。

システム移行の方式

システム移行の方式は大きく分けて、「一括移行」「段階移行」「並行運用」の3つに分類することができます。それぞれの特徴を把握したうえで、現行のシステム規模などを考慮して移行方式を選んでいきましょう。

方式1. 一括移行

現行のシステムを完全にストップさせたうえで、新システムへと一気に移行する方式を「一括移行」と呼びます。たとえば、GWなどの大型連休期間中に新旧のシステムを入れ替えて、連休明けから新システムで業務を行うケースなどが挙げられます。

一気に移行ができるぶん、コストはある程度抑えられるでしょう。現行のシステムで行っている業務が完全にストップしているため、移行への段取りがあらかじめ決められていれば手間もそれほどかからないはずです。

また万が一移行に失敗しても、移行前のシステムに戻すだけで良いため、ある程度の安心感をもって移行作業に取り組めます。

ただし一気に移行するため、移行作業のためにシステムを停止させる十分な時間が必要です。システム規模やデータ容量によっては移行作業に長時間を要することも。また、移行後にトラブルが発生するリスクもそれなりに高く、旧システムへ戻さざるを得ない場合にはコストも大きくなります。

方式2. 段階移行

一括移行のように一気にシステム移行するのではなく、部分的に移行していく方式を「段階移行」と呼びます。

業務内容や機能、拠点ごとに分割し、その単位ごとに現行システムを停止させて、順次新システムに切り替えます。

一括移行よりも切り替えの単位が小さいため、数時間から1日程度の短いシステム停止を繰り返して移行でき、トラブルが発生するリスクを最小限に抑えることができます。

しかし、移行作業が完全に終わるまでは、現行システムとの連携が不可欠なため、時間と手間が想定以上にかかることも。つまり、比例してコストもそれなりに高くなる点はデメリットです。

方式3. 並行運用

新システムへの移行が終わり、業務がスタートした後も旧システムと並行して運用する方式を「並行運用」と呼びます。新システムに問題がないと判断できたタイミングで、旧システムを停止させます。

並行運用を行うことで、新システムで問題が発生したとしても、稼働し続けている旧システムを活用することで、業務への影響を最小限に抑えることができます。一括移行や段階移行と比べても、最もリスクの少ない移行方法だといえます。

一方で新旧の両システムを同時に運用するため、データの二重入力や、両システム間でデータを同期させるソフトウェアの利用などが必要になります。

ソフトウェアや二重運用のコストはそれなりに高く、入力やチェック作業の手間も増えることから、業務担当者や運用担当者に負荷がかかる方式でもあります。

システム移行の手順

次にシステム移行の手順について解説を進めます。各ステップのポイントを押さえておくと、よりスムーズにシステム移行が行えるでしょう。

手順1. 移行元システムとデータの調査

まずは現在使っている移行元システムの仕様やデータ量はしっかりと把握しておくことが不可欠です。

現在使っているシステムの状況を踏まえたうえで、「どのくらいのデータ量の移行が発生するのか」、「データを移す作業に工数はどのぐらい必要か」などは事前に確認しておきましょう。不要なデータがある場合には、移行する前に整理することも重要です。

また、社内で使っているOSやファイル形式、運用状況なども把握しておくと、新システムへのスムーズな移行の手助けになるはずです。

たとえば、新システムで最新のOSを採用することが決まっているケースなどでは「旧システムで使っていたソフトウェアが対応しているか」といった確認はしておきたいところです。

手順2. 移行計画書の作成

移行元システムとデータ調査が完了すれば、次に「移行計画書」の作成です。移行計画書では、システム移行の対象を明確にし、具体的なスケジュールを計画していきます。

移行計画書はシステム移行の進め方に問題がないかを再確認するための資料でもあるので、下記のような5W1Hに従って記載することがおすすめです。

1. 移行方針・目的(why)
2. 移行対象(what)
3. 移行方式(how)
4. 移行による業務への影響・対処法(where)
5. システム移行スケジュール(when)
6. プロジェクトの体制(who)

また、誰が何を担当するのかという役割分担は明確にしておきましょう。「現場責任者」「作業実施者」「トラブルの伝達係」などをハッキリさせることで、それぞれがこなすべきタスクに集中できます。

システム移行が遅れてしまうと通常の業務に悪影響を及ぼすため、移行作業を細分化しマイルストーンを設定するなどして、作業の遅延はなくしていきましょう。

手順3. 移行リハーサルの実施

移行作業の本番前に、移行計画書と照らし合わせながら、事前に手順を確認することも忘れてはいけません。

移行本番で慌てないためにも、リハーサルは複数回行いましょう。その際に作業ごとのタイムスケジュールを立てておくと、リハーサルで遅延が発生したポイントなども確認しやすくなります。

また、移行本番時に想定外のトラブルが発生することも十分に考えられるため、事前にリカバリー策は立てておきましょう。可能な限り起こりうる問題はすべて洗い出し、万が一の事態が発生した場合どう対処するかをまとめておくことで、落ち着いて対応できるようになります。

手順4. 移行作業の実施

移行計画書を完成させ、複数回の移行リハーサルを通じて、移行が問題なく実施できると判断できれば、いよいよ本番の移行作業の実施です。

しっかりと計画を立ててリハーサルを行っていれば、滞りなく移行作業は進められるはずです。

システム移行が完了しても、実際に運用が始まるまでの間は、システムとの連携やシステムの切り替えタイミングなどにも注意しておく必要があるでしょう。

手順5. 運用担当者への引継ぎ

新システムへの移行作業が完了し、トラブルなく動作することが確認できたら、新システムでも保守・運用作業がスムーズに行えるように、運用担当者に引き継ぎます。

また、実際のユーザーとなる業務担当者にも利用方法をトレーニングする必要もあるでしょう。教育の際にはマニュアルを活用すると、よりスムーズなトレーニングが実現できるはずです。

システム移行で失敗を防ぐコツ

システム移行は業務に直接かかわる重要な作業なので、失敗は避けたいところ。仮に失敗した場合には、通常の業務に悪影響が出るだけではなく、経営上の損失につながる可能性も否定できません。最後にシステム移行での失敗を防ぐコツについて解説します。

コツ1. 移行計画書は詳細に作成する

システム移行は移行計画書をもとに実施します。そのため、移行計画書自体に不備や曖昧な点が含まれていると、移行作業に悪影響を及ぼす可能性が高くなります。

移行計画書は、だれが見ても同じような作業ができるように、細かく詳細に作成することが求められます。

可能なかぎり詳細に記載しておくことで、仮に担当者が変わった場合でも、すぐに流れをつかめるでしょう。

コツ2. リハーサルは本番に近い環境で行う

リハーサルでは、本番での作業時間や正確性を厳密に見積もることが求められます。そのため、できる限り本番に近い環境で行うようにしましょう。

たとえば、サーバーのスペックやデータ量を本番と同じ状態にして検証を行ってみましょう。スペックやデータ量の違いにより、本番で想定外に時間がかかってしまい、当初予定していた期間内に移行作業が終わらないといったトラブルを事前に防ぐことにもつながります。

コツ3. システム移行をプロに依頼する

システム移行には、「自社で行う」または「外部の会社に依頼する」の2パターンが存在します。

社内に豊富な経験や知識を持ったエンジニアが在籍している場合には、自社で行うことも可能でしょう。ですが、社員への負荷や個人の資質への依存が高くなり、かつ手間のかかる作業であるため、通常業務の合間に行うことは難しいかもしれません。

そのため、外部のシステム移行の経験が豊富な企業に依頼し、安全なシステム移行を実現させることをおすすめします。

どういった企業に依頼するかは、システム移行の規模や要件、希望する移行先などによって、それを得意とする企業も異なってきます。しっかりと検討を重ねましょう。

システム移行支援はGIGにお任せください

今回はシステム移行について解説を進めてきましたが「システム移行は開発プロジェクトと同じぐらい重要度の高い作業だ」ということをご理解いただけたかと思います。

移行作業を単なるシステムの変更やデータの移動などと軽視していては、移行トラブルを引き起こす原因にもなり、事業の損失につながる可能性もあります。

そうならないためにも、まずは信頼できるシステム開発会社に相談してみませんか?

GIGでは、システム移行の目的や予算、切り替えまでに必要な期間などを丁寧にヒアリングし、切り替え後にも適切な運用支援を通じてフォローし続けます。

お客様のニーズに応えられる確かな技術力をもったシステム開発会社でもあるため、システム移行の支援が必要な場合には、ぜひGIGまでご相談ください。

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