SaaS事業で追うべきKPI4つ|各指標の測定方法と分析目的も解説|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG

SaaS事業で追うべきKPI4つ|各指標の測定方法と分析目的も解説

2023-12-28 制作・開発

こんにちは、GIGで『Workship』のPMM(Product Marketing Manager/プロダクトマーケティングマネージャー)を担当している早河です。普段はフリーランス・副業向けマッチングサービス『Workship』の事業戦略、マーケティング戦略の策定から戦術実行まで幅広く担当しています。

SaaSビジネスの成功には、適切なKPI(重要業績評価指標)を設定し、その数値を分析していくことが欠かせません。個別の数字だけでなく、指標間の関係性にも注意を払い、バランスの取れた成長を目指すことが必要です。

本記事では、SaaS事業において特に重要度の高いKPIとして

・月間課金額(MRR)
・顧客獲得コスト(CAC)
・生涯価値(LTV)
・継続率(Churn Rate)

の4つを取り上げます。これらの指標の意味と計算方法、目標値の設定の仕方などを解説します。

適切なKPI管理は、SaaSの健全な事業拡大に不可欠な要素です。収益と投資のバランスを取りつつ、持続可能な成長を実現するために、主要KPIをどう測定し、分析するかについて理解を深めていきましょう。

SaaS事業におけるKPIの種類

SaaS事業を推進していくうえで必要不可欠となるKPIには以下の4つがあげられます。

・MRR(Monthly Recurring Revenue): 月間課金額
・CAC(Customer Acquisition Cost): 顧客獲得コスト
・LTV(Lifetime Value): 生涯価値
・CR(Churn Rate): 継続率

SaaS型のサブスクリプションビジネスでは、これらの指標を絶えず追跡し、数字から導かれる洞察を事業計画に反映していくことが成長の鍵となります。

各KPIの計測方法と分析目的

4つのKPIは以下の手順で測定し、それぞれの指標から何が読み取れるかを整理すると次の通りです。

月間課金額(MRR)

MRRは月間の課金総額を示す指標で、以下の算式で測定します。

MRR = (課金数)×(1顧客あたりの平均課金額)

MRRが右肩上がりに推移していれば事業規模の拡大を示しています。一方で低迷や減少が続く場合、ユーザーのサービス離れが進んでいると捉える必要があります。

MRRの特徴は、事業のトレンドを敏感に捉える指標である点です。好調時は増加基調に転じ、成長が鈍化すれば伸び悩みが明確に現れます。

例えばある月に大口顧客の流出が生じた場合、MRRの数字は直接的なダメージを受けます。

一時的な外的要因の影響なのか、それともサービスの魅力そのものの低下なのか、MRRから判断する材料を得られるのです。

顧客獲得コスト(CAC)

CACは新規顧客獲得に要した費用を示す指標です。次の計算式で算出することができます。

CAC = (顧客獲得に関わる総コスト)÷(獲得した顧客数)

CACが高すぎる場合、利益を生み出すことが難しくなります。一方、CACが低いほど事業効率が高いと解釈できます。

一般的な目安として、CACが、次で紹介するLTV(生涯価値)の3分の1程度までなら許容範囲とされています。よってCAC単独では判断しづらく、次に説明するLTVとの比率で解釈する必要があります。

また、初期投資期には多少CACが高く付くこともやむを得ない面があります。むしろ重要なのは、投資回収点(BEP)をいつ達成できるかです。BEPに至るまでのCACは許容範囲内で抑制することがポイントとなります。

生涯価値(LTV)

LTVはユーザー1人当たりの総生涯購入予想額です。その算式は次のようになります。

LTV = 平均月間課金額(ARPU)x 平均契約期間

LTVが高いほど事業価値が大きいことを意味しており、この指標からサービス魅力度を測ることもできます。

LTVとARPU(平均課金額)の積であるため、LTV自体の絶対値よりも月次課金額の推移を重視する方が正しい見方といえます。

例えばある顧客セグメントでは1ヶ月あたり課金単価は低いものの、長期(2~3年程度)の在籍期間が見込まれる場合があります。この場合、LTVの絶対値は低く見えても持続可能なビジネスが成立していると判断することが正しいのです。

月次純流出率(Churn Rate)

Churn Rateは以下の計算式で出される指標です。

Churn Rate = 流出顧客数 ÷ 顧客数

流出が進むほどChurnRateは高くなり、事業の安定性が低いことを示します。

既存顧客の流出はSaaS事業にとって最も避けたい事態です。 

つまりLTVの高い有価顧客こそ最大の収益源。Churn(解約)を可能な限り防ぐことが事業成長力、ひいては生命線を左右します。

Churn対策としては、利用データから満足度を定量評価したり、アンケートで流出originalを特定する等の取り組みが参考になります。

SaaS事業のKPI分析における注意点

ここまで主要なKPI指標について詳説してきましたが、単一指標でKPIを判断するのは注意が必要です。

MRRやLTVといった指標単体で分析すると、短期成果最適化に陥りやすいという側面が否めません。トレンドを過度に重視し改善活動を実施するあまり、貴重なマネジメントリソースが補完するべき他の経営課題から奪われることもありえます。

力を入れ過ぎた部分で効果が減退する一方、放置された領域で急速に弱体化が進む可能性もあります。

要は、複数あるKPI指標を組み合わせ、指標間バランスを考慮しながら分析することが大切なのです。

まとめ

SaaS事業のKPIとして注目すべき指標はMRR/CAC/LTV/Churn Rateの4つです。事業拡大を継続するためにこれらKPIを定期的にモニタリングし、数字が示唆する洞察を経営判断に反映することが欠かせません。

単一指標の極端な最適化に陥ることなく、KPI全体のバランスを見据え調和の取れた成長をめざしていくことがSaaS事業成功の鍵となるのです。

SaaS事業だけに限らず、事業を進める中でKPIの設計は重要な項目です。

株式会社GIGは、ナショナルクライアントからスタートアップまで、Webコンサルティング、UI/UXデザイン、システム開発など、DX支援をおこなうデジタルコンサルティング企業です。自社でも複数のサービスをグロースさせてきた経験から、ご支援を行います。ご興味がある人はぜひお問い合わせください。

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早河 太貴

1997年3月生まれ。アドテクノロジー企業、SNSマーケティングの支援会社など数社を経て2021年9月に株式会社GIGに入社。現在は、フリーランス・副業人材と企業のマッチングサービス『Workship』のマーケティングマネージャーとして、戦略の設計から施策実施までを一気通貫して担当。