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BtoBマーケティングにおけるROI(投資対効果)の考え方
2023-11-24 制作・開発
こんにちは、GIGで『Workship』のPMM(Product Marketing Manager/プロダクトマーケティングマネージャー)を担当している早河です。普段はフリーランス・副業向けマッチングサービス『Workship』の事業戦略、マーケティング戦略の策定から戦術実行まで幅広く担当しています。
DXの浸透によりデータを活用したマーケティングが浸透しつつある昨今、ROI(投資対効果)を意識した施策設計が重要視されるようになりました。企業のマーケティング部門は、自部門の存在意義を数字で示すことが求められています。
しかし、日本企業のマーケティングは、ブランディングや対外的イメージアップに主眼が置かれることが多く、ROIよりも自社の知名度向上や評判の構築に注力してきた経緯があります。そのため、日本のBtoBマーケターにとって、ROIを意識した施策設計はまだ馴染みが薄く、数値目標達成へのプレッシャーに直面することも少なくありません。
本記事では、国内のBtoBマーケティングの現状を踏まえて、ROIを意識した効果的な施策設計と数値管理の方法を解説します。欧米企業の手法を参考にしつつ、日本企業の強みも活かすことができるROIマネジメント体制の構築を解説していきます。
ROI(投資対効果)とは
ROI(Return on Investment)=投資対効果とは、ある期間に行ったマーケティング投資に対して、どれだけの収益を得ることができたかを表す指標です。投下資本に対する利益の比率を算出することで、取り組んだマーケティング施策の効率性を測ることができます。
BtoBマーケティングにおいてROIを意識することは、施策選択のために非常に重要です。大規模なプロジェクトや高額なソリューションを扱うBtoBビジネスの場合、マーケティング部門に対して明確なROI目標が課せられることが多くあります。
BtoBにおけるROIの重要性
BtoBでROIを重視すべき理由は、一度に動く金額の大きさとBtoBマーケティングの特徴にあります。BtoBの取引には、BtoC(消費財)と比べて遥かに大きな金額が動きます。また、新たな顧客獲得に多額の費用がかかる一方で、既存顧客の維持は比較的コストが低く収益化しやすいため、長期的な関係を築く施策も必要です。このほかにも、ROIと関連した以下のような特徴があります。
・ターゲットが企業であるため、顧客数が限定的でターゲティングがしやすい
・提案型商材が多く、顧客の課題とニーズへのフィットが重要
・意思決定権者へのアクセスが制限されている場合がある
BtoBマーケターには、ROIを最大化するために、どのようにリソースを配分すべきかを判断することが求められます。単にマーケティング活動の頻度を増やすだけでなく、費用対効果を意識した施策選択と実行ができなければ目標を達成することは困難です。
具体的には、次のような視点が重要になります。
・ターゲティングの精度を高め、適切なプロスペクトにリーチする
・顧客の課題とニーズを捉えた提案力を強化する
・既存顧客との関係性を継続的にマネジメントする
・意思決定に影響を与えられるステークホルダーを特定する
ROIを意識することで、戦略の優先順位づけがしやすくなり、効率的なマーケティング投資につながるでしょう。
ROIを設定することのメリット
BtoBマーケティングにROI目標を設定する主なメリットは以下の通りです。
・施策の優先順位が明確になる
・戦略達成に必要な水準が数値で明示される
・頻繁に進捗を測定することで、必要に応じて資源配分を最適化でき、マーケティングの効率性と効果性の向上につながる
例えば、新規顧客獲得に注力する場合は、キャンペーンごとの単価と獲得数から必要なマーケティングコストが算出できます。既存顧客向けのリテンション施策のほうがROIは高いと判明した場合には、配分を見直すといったことが可能になります。
定量的なROI目標を持つことで、活動の優先順位づけを明確にし、戦略を効果的かつ効率的に推進することができます。
ROIの測定と改善
KPIの設定とROIの計算方法
ROIを正しく測定・管理するには、事前に測定可能なKPI(重要業績評価指標)を設定する必要があります。主なKPIとしては、次のようなものを定義します。
・リード数(問い合わせ数)
・MQL数(マーケティング元のリード数)
・受注件数
・受注金額
・顧客満足度(CSAT)
・ウェブサイト訪問者数、ダウンロード数など
このうち、マーケティング活動と直結する指標を組み合わせてROIを計算します。例えば、「広告費」と「それによる売上高」の関係からROIを算出すると「広告費」÷「売上高」= ROI という計算式で求められます。
データを活用した継続的な施策最適化
収集したデータを分析することで、高いROIを生み出している施策とそうでない施策を判断することができます。継続的にROIを測定し、必要に応じて施策の改善を行うことで、限られたマーケティング予算の中で最大の効果を発揮できます。
例えば、特定の顧客セグメントをターゲットとしたキャンペーンの方がROIが高かった場合には、そのセグメントにマーケティング資源を集中させる、といった最適化が可能です。
効果的なマーケティング施策選択のポイント
ROI最大化には、適切な施策を選択し実行することが欠かせません。
ターゲティングの精度を高める
BtoBではターゲットとなる企業数自体が限られているため、より細かい属性(業種、規模、意思決定権など)でセグメント化することが重要です。既存顧客の共通属性を分析し、似たプロファイルの企業を発掘することが効果的です。
課題とニーズに合致したソリューション設計
単に商品やサービスを訴求するのではなく、顧客が抱えるビジネス上の課題に対して解決策を提案することが成果につながります。課題とニーズを的確に把握し、それにフィットするソリューションを提供することが重要です。
顧客フェーズに応じたアプローチ
既存顧客か新規獲得かによって最適な施策が異なります。既存顧客にはクロスセル/アップセルを目的としたリテンション施策が ROIが高い一方、新規顧客獲得には認知と興味付けが先決条件となります。顧客ライフステージに合わせた施策設計が必要です。
マーケティングは常に試行錯誤の連続ですが、こうした成功要因を念頭に置きながら、継続的に施策のブラッシュアップを行うことが重要です。
まとめ
BtoBマーケティングでは、費用対効果を意識した施策設計が欠かせません。ROIを設定することで、戦略の優先順位づけが明確になり、マーケティングの効率性と効果性が高まります。
効果的な施策を導くには、課題・ニーズとソリューションのフィットを高め、ターゲティングと顧客セグメンテーションを精緻化することがポイントとなります。定量データに基づき、継続的に施策をブラッシュアップすることで、BtoBマーケティングにおけるROI最大化が可能となるでしょう。
株式会社GIGは、ナショナルクライアントからスタートアップまで、Webコンサルティング、UI/UXデザイン、システム開発など、DX支援をおこなうデジタルコンサルティング企業です。自社でも複数のサービスやメディアをグロースさせてきた経験から、Webマーケティングやコンテンツ戦略に強みを持ちますので、メディア戦略やトリプルメディアの活用に興味がある人はぜひお問い合わせください。
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早河 太貴
1997年3月生まれ。アドテクノロジー企業、SNSマーケティングの支援会社など数社を経て2021年9月に株式会社GIGに入社。現在は、GIGにおけるプロダクトマーケティング及び、クライアントのマーケティング支援まで担当。