PMOの役割とは? PMとの違いや導入のメリットを制作会社が解説|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG
BLOG
ブログ
PMOの役割とは? PMとの違いや導入のメリットを制作会社が解説
2023-06-17 制作・開発
プロジェクトにおける成果物の品質、メンバーや作業のスケジュール、コストを管理する業務は「プロジェクトマネジメント」と呼ばれ、それを担当する職種をプロジェクトマネージャー(PM)と言います。PMOは、そのPMを補助する立場です。
今回は、PMOの概要から役割、必要性、配置するメリット・デメリットについて解説します。
PMOとは?
PMOとは、「Project Management Office」の略称で、プロジェクトマネジメントを支援する部門や組織のことを指します。PMOは、あくまでPMを補佐する役割を担います。
プロジェクトを円滑に進めるためには、リアルタイムでの状況把握、課題の洗い出しからの対策立案などが必須となります。
ですが、これらの管理をプロジェクトマネジメントを行うPMがひとりで担当し、重要局面での意思決定まで担当するのは困難です。多くの工数が発生するほか、ひとたび判断を間違えれば取り返しのつかないことになってしまう可能性もあります。
こういった背景から、「プロジェクトマネジメントはPMひとりだけで行うのでなく、PMOという組織を配置し、役割は分担するべき」という考え方が、昨今のプロジェクト管理の主流になりつつあります。
PMOの役割
PMOは以下のような役割を担います。
・プロジェクトマネジメント方式の標準化
・プロジェクトマネジメントに関する研修など人材開発
・プロジェクトマネジメント業務の支援
・プロジェクト間のリソースやコストの各種調整
・個別企業に適応したプロジェクト環境の整備
・その他付随するプロジェクト関連管理業務
ここでは、なかでも代表的な役割である「プロジェクトマネジメント業務の支援」と「プロジェクト間のリソースやコストの各種調整」の2つを解説します。
役割1. プロジェクトマネジメント業務の支援
迅速な意思決定が求められるPM。しかし、PMは意思決定のほかにも多くの業務を行う必要があります。そのため、ときには適切な意思決定が難しいケースも。
そこでPMOが補佐に入り、プロジェクト全体の管理や必要な資金・人材などのリソースの調整、関係部署間のすり合わせ、ステークホルダーの利害調整など、多岐にわたる業務を担当します。
メンバーの働きやすい環境を整えるとともに、PMが意思決定に集中できる体制を構築するのが、PMOの主たる役割です。
役割2. プロジェクト間のリソースやコストの各種調整
横断的に組織と関わるPMOには、プロジェクトを一元的に管理し、リソースやコストを調整する役割もあります。
大規模なプロジェクトになれば、関わるメンバーの数も増え、システムも「在庫管理業務」「会計管理業務」「販売管理業務」など業務単位で細分化されます。
どの業務システムを担当するチームがどのような状況になっているかを把握し、人材の補充や入れ替えなども必要に。そのリソースの配分を担当するのがPMOです。
また、各方面で発生した課題に関する対応もPMOが一元的に管理します。
インシデント対応や仕様変更といった実務レベルでの対応を行うのはエンジニアやプログラマーの仕事ですが、PMOはクライアントへの説明や、進捗状況の報告などを行います。
PMOとPMは何が違う?
PMとPMOは名前が似ていることから、よく混同されがちです。両者ともプロジェクトを円滑に進め、成功へと導くという最終目標は同じですが、役割は異なってきます。
PMにとっての重要な業務は「スピードと正確さを兼ね備えた意思決定」を行うこと。リーダー的なポジションです。
いくら迅速な決断を下しても、それが間違っていては意味がありません。また、正しい判断ができていても、意思決定までのスピードが遅ければ、プロジェクトの成功率を下げることにもつながります。「スピードと正確さを兼ね備えた意思決定」はPMの責務ですが、実現の難易度は高いといえるでしょう。
このPMをサポートするのがPMOです。直接、意思決定を行うことは少なく、PMの周辺的な業務を担当します。
PMOは、業務を行いながらさまざまな手法を使って、プロジェクトの状況を可視化します。そして、より精度の高い情報をスピーディーに取りまとめ、PMに渡して判断を仰ぐのです。
つまり、意思決定しプロジェクトを推進していくPM、その意思決定をサポートするのがPMOとまとめられます。
PMOが必要な理由
プロジェクトをマネジメントするPMのポジションには、社内の人材を起用する企業が大半だと思います。
しかし、PMというポジションは、何らかのマネジメントに関する教育・研修を受けたとしても、メンバーによって、パフォーマンスの高低のほかスキルの偏りなどが顕著に出るポジションでもあります。
一方、PMOはプロジェクトマネジメントに関するプロ集団。国際的に定められた知識体系を熟知し、高いレベルの実践力や調整能力を兼ね備えた人材が集まっています。こうしたプロフェッショナルたちがサポートすることで、PMのスキルを補います。
PMOは単にPMの負荷を軽減するという量的な面だけでなく、プロジェクトマネジメントの質的な面もサポートできる組織のため、根本的な業務改善も期待できます。
PMO導入のメリット
ここではPMOを導入するメリットについて解説します。
メリット1. プロジェクトマネジメント方式を標準化できる
プロジェクトマネジメントの手法はさまざまですが、PMOが手法の標準化を行うことで、会社全体の認識や進行フロー、スキル感を統一できるのは大きなメリットです。
進捗管理や品質管理に伴う作業を標準化することで、あらゆる業務が個人レベルでバラつくことを防ぎ、一定のレベルを保てるようになります。
また、このような体制を作ることで、プロジェクトの途中でトラブルが発生した場合も、素早いリカバリーが可能になります。
メリット2. プロジェクト間でノウハウ共有が可能になる
1つめのメリットと関連しますが、PMOを導入することで、会社全体でノウハウを共有できるのは大きなメリットといえます。
PMOは、ひとつのプロジェクトだけでなく、組織を横断的に支援する組織でもあります。
ほとんどのIT企業では、規模の大小はあれど、複数のプロジェクトを抱えています。プロジェクトにかかわるメンバーが、担当外のプロジェクトの状況まで把握することは事実上不可能といってもよいでしょう。
それを補えるのが、組織を横断して支援するPMOの存在です。他のプロジェクトの情報、状況をプロジェクトメンバーやPMに対して提供することで、プロジェクト間でのノウハウ共有につなげることができます。
メリット3. PMの負担が軽減される
PMOを導入することで、PMはプロジェクトマネジメント業務に集中できるようになり、PMの負担を軽減することにもつながります。
近年では、技術の複雑化や働き方の多様化などにより、協力会社やフリーランスなどの人員がプロジェクトに参画する機会が増えてきています。かかわる会社やエンジニアが増えれば増えるほど、マネジメント業務も肥大化します。
そのため、PMのサポート役としてPMOがプロジェクトに参画することは、大きなメリットになります。PMの苦手分野をPMOが担当することで、PM人材の働きやすさややりがいにつながり、会社全体のパフォーマンス向上につながるでしょう。
PMO導入のデメリット
PMOが参画することには多くのメリットがありますが、一方でデメリットもあります。代表的なものをいくつか確認しておきましょう。
デメリット1. 現場と衝突する可能性がある
プロジェクトを管理するというポジションでメンバーに助言を行うPMOは、現場と意見の食い違いを引きおこす可能性があります。
プロジェクトを成功へと導くために導入されたPMOが、現場と衝突してプロジェクトを頓挫させてしまっては本末転倒です。しかし、実際は現場のメンバーとマネジメント層で軋轢が起こることは珍しくなく、外部から導入されたPMOだとその傾向は顕著になります。
そうならないためにも、日頃からPMOとメンバーがコミュニケーションをとりやすい環境を用意し、信頼関係を構築してもらうことが必要になります。対面でのコミュニケーション機会もときには重要です。
PMOはあくまで「プロジェクトを成功させるため、PMをサポートする役」という意識をチーム間で持っておくことも必要でしょう。
デメリット2. PMOへの依存度が増す
マネジメントスキルや経験が豊富な人材が集まるPMOがプロジェクトに参画すると、PMを差し置いてプロジェクトの管理全般をPMOが担ってしまうケースがあります。
これは避けるべき事態です。チーム内に複数人のリーダーが生まれてしまい、統制がとれなくなる可能性があります。プロジェクトにおいて意思決定を行うのはPMで、PMOはスピードと正確さを兼ね備えた意思決定ができるようにサポートするポジションであるべきです。
逆に、PM自身もPMOとの業務分担を認識し、PMOに依存しすぎないようにすることも重要です。
PMOがどのようにプロジェクトに関わるか、導入前にある程度のスタンスは明確にしておく必要はあるでしょう。
デメリット3. PMO導入にコストがかかる
社内の人材でPMOを組織する場合、人材の育成にはそれなりの時間とコストがかかります。また、外部からPMOを導入する場合でも、コストがかかることは変わりません。
コスト面を考えれば、PMOの導入をためらうのも無理はありません。しかし、PMOはプロジェクトマネジメントのプロ集団です。確立された多種多様なマネジメント手法で、プロジェクトを成功に導くことに特化しています。
多くの時間とコストを割いたにもかかわらず、けっきょくプロジェクトが頓挫してしまったケースは、筆者の経験でもあります。プロジェクトが行き詰まるたびにPMを入れ替え、2年ほどで3人のPMが導入されたプロジェクトがありました。
一度行き詰まったプロジェクトを立て直すのには、PMO導入とは比べものにならないほどのコストがかかります。
そのため、失敗するリスクが高いプロジェクトや関係者が多いケース、長期のプロジェクトとなる場合には、PMO導入の予算をあらかじめ組んで、プロジェクトを成功へと導いてくれるプロ集団に依頼することも検討してみてください。
PMOの職種
ひとことで「PMO」といっても、大きく分けて3つの職種に分類できます。それぞれが職務を全うすることで、よりスムーズなプロジェクト運営にもつながってきますので、3つの職種と役割について確認しましょう。
1. PMOアドミニストレータ
PMのサポート役として、資料作成や進捗管理、情報管理など事務的な作業を担当するのが、「PMOアドミニストレータ」です。PMO事務とも呼ばれることがあり、事務局の意味合いが強い職種でもあります。
プロジェクトの規模にもよりますが、事務作業をPMひとりで担当するとなると、その負担はかなり大きくなります。
PMOアドミニストレータが、いわゆる事務作業をサポートすることで、PMはプロジェクトを統括するといったコアとなる業務に集中できます。
2. PMOエキスパート
複数のプロジェクトに跨いでの環境整備やルールの策定、品質の標準化などを行うのが「PMOエキスパート」です。
複数のプロジェクトが同時進行する状況では、PM個人のスキルによってプロジェクトの進捗具合や成果に差が出るもの。PMOエキスパートは、プロジェクト管理に不可欠なプロセスや資料を標準化し、プロジェクトごとに発生し得るバラつきを抑え、品質を安定化させます。
また、標準化させることは業務の効率化にもつながり、予算やリソースを抑える効果も期待できるでしょう。
3. PMOマネジャー
PMOの組織戦略や予算管理など、PMOに関するマネジメント業務全般を引き受けるのが「PMOマネジャー」です。
PMOもひとつの部門である以上、そこを管理するためのマネジャーが必要です。たとえば、PMOの組織戦略・計画の策定、PMOメンバーの勤怠管理・稼働管理、PMOメンバーに対する教育、PMO組織予算の管理、プロジェクトやパフォーマンスの安定化などが主なタスクとなるでしょう。
またPMOマネジャーは、各プロジェクトが円滑に進むように、クライアント企業の経営層とPMの間に立つことが多くなるので、幅広いスキルやキャリア、経験を持つよりプロフェッショナル人材が求められるポジションでもあります。
PMOに求められる資格・スキル
ここからは、PMOに求められる資格やスキルを順を追って確認していきます。
PMOに求められる資格
PMOの一員として活躍するために、持っておかなければいけない資格は特にありませんが、未経験からPMOを目指す方や、今よりも良い条件でプロジェクトへの参画を目指すならば、取得しておいて損はない資格はいくつか存在しますので、ここで確認しておきます。
■プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格
「プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格」とは、一般社団法人日本PMO協会が運営する、新人PMOにとっての登竜門的な位置づけの認定資格です。
試験の形態は、受験者のパソコンからアクセスし受験するオンライン試験の形態で、試験に出てくる問題数の75%に正答することが求められます。
こちらの認定資格を取得しておけば、「プロジェクトマネジメントに関する基本的な概念を理解し、現場で活躍できる人材」だということが証明できます。
ただ、資格は2年ごとに更新が必要です。プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格を取得できたら、2年後には同じ日本PMO協会が運営する、「PMOスペシャリスト認定資格」を目指す人が多くなります。
■PMOスペシャリスト資格
日本国内のPMO資格として最も権威があるといえるのが、日本PMO協会が運営する「PMOスペシャリスト認定資格」です。PMOスペシャリスト資格を受験するためには、上述の「プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格」を取得してからとなります。
試験の形態は、受験者のパソコンからアクセスし受験するオンライン試験の形態で、試験に出てくる問題数の80%に正答することが求められるので、難易度は高いといえます。
試験内容は、プロジェクトマネジメントの基礎がある前提で、PMOの役割や事例、PMO導入プロセスやミッション管理などについて、PMOとしての知見をより深く試されるものとなります。
また、こちらの資格も2年ごとの更新が必要です。更新するためには、講座やセミナーへの参加が求められますが、そのたびにPMOの最新動向は学べるのが利点です。
PMOに求められるスキル
プロジェクトを円滑に進めるためには、コミュニケーション能力や調整力、政治力、人間観察力といった、いわゆる総合的な人間力が求められます。それにプラスαするカタチで、最新のITトレンドへの知見や専門的なパソコン能力も必要でしょう。
また、先述したPMO内での職種によっても求められるスキルは違ってきます。
PMOアドミニストレータには、資料作成や情報管理といった事務能力やタイムマネジメント能力が必要とされます。
PMOエキスパートには、開発責任者としての知見や進捗管理力が求められるでしょう。
PMOマネジャーには、戦略の策定をはじめ、予算管理や人員管理など複数のプロジェクトに跨がる統括を期待されるため、PM・PMO両方の経験やハイレベルな経営センスといったところまで求められます。
近年では、オフショア開発を取り入れるところが増えてきていますので、開発チームを海外に置くプロジェクトも増加傾向です。そのため、英語力があるPMOは、ますます活躍の場が広がっている印象です。
プロジェクトの規模にもよりますが、「会話に困らない」「読み書きができる」といったレベルではなく、ビジネスレベル以上の英語力も必要なスキルとなってきています。
PMOの導入方法
最後にPMOの導入方法についても確認しておきましょう。導入方法は大きく2つに分けられます。どちらの場合でも、社内のメンバーだけで担当する場合と、外部のPMOを採用するケースがあります。
方法1. 社内にPMOを設置する
SIerやコンサルティングファームが参画する大規模プロジェクトでは、企業直属の組織としてPMOが設置されるケースがあります。このケースでは、企業の経営戦略や事業企画にPMOが参画する傾向も強まります。
この場合、PMOは企業戦略を各プロジェクトに反映させるための「ハブ」として機能します。社内のプロジェクトをまとめて管理し責任者と連携をとりながら、プロジェクトマネジメントをサポートします。
ただ、社内組織としてこのレベルまで仕上げるには、かなりの時間とコストがかかるでしょう。
方法2. プロジェクトごとにPMOを設置する
企業直属の組織としてPMOが設置されるケースとは別に、PMの補佐役に徹する、いわば「事務局」としてPMOが機能するケースもあります。
このケースでは、PMOがPMの配下に置かれ、事務作業のアシスタントやプロジェクトの窓口業務をおもに担当します。
特に、PMが意思決定や予算・人員管理といった業務を担うプロジェクトや、自社内だけの開発プロジェクトでは、このようなPMOの配置が多くなります。
【PMO導入を検討される際にはGIGにご相談ください】
PMOを導入するには、まずPMOがどのような役割を果たすのかを理解して、どのようなプロジェクトで導入すべきなのかを適切に判断しなければなりません。
PMOはチームとしてPMとプロジェクトを支えます。それはプロジェクトの規模が大きければ大きいほど真価を発揮します。
PMOのご支援が必要な事業者様は、ぜひGIGにご連絡ください。Webサイト制作で培ってきた経験をもとに、お話を伺わせていただきます。
無料相談から承っていますので、PMO導入を検討されている方はお気軽にお問い合わせください。
■株式会社GIG
お仕事のお問い合わせはこちら
会社紹介資料のダウンロードはこちら
採用応募はこちら(GIG採用サイト)
採用応募はこちら(Wantedly)
採用応募はこちら(Green)
WebやDXで困っている方、お気軽にご相談ください
GIG BLOG編集部
株式会社GIGのメンバーによって構成される編集部。GIG社員のインタビューや、GIGで行われたイベントのレポート、その他GIGにかかわるさまざまな情報をお届けします。