Adobe PhotoshopのAI機能を活用したデザインテクニック【シニアデザイナー解説】|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG
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Adobe PhotoshopのAI機能を活用したデザインテクニック【シニアデザイナー解説】
2024-12-19 制作・開発
株式会社GIGのクリエイティブ事業部でシニアデザイナーを務めています、千田崇史です。
今回はPhotoshopでのAI機能を活用したデザインテクニックについて、ご紹介させていただきます。
かつてのWeb制作現場では、PhotoshopやIllustratorなど、比較的少ないツールで作業を完結できることが一般的でした。
しかし、近年ではWeb制作に特化したFigmaや、3D制作が可能なBlenderといったツールの普及により、表現の幅が大きく広がり、デザイナーに求められるスキルも多様化しています。
その一方で、Web制作に割ける時間は限られており、その限られた時間内でいかに高品質な成果物を生み出すかが、現代のデザイン現場における大きな課題となっています。
従来の手法で制作を進めることも可能ではありますが、効率的にクオリティを引き上げるためには、新しいツールや技術を積極的に活用することが重要です。
この記事では、PhotoshopのAI機能を中心に、その活用方法とデザインのクオリティ向上につながるテクニックを詳しく解説します。
ぜひ参考にしていただき、日々の制作のヒントとしてご活用ください!
AIを活用することのメリット
1.作業時間短縮による品質の向上
AI機能を活用する最大のメリットは、作業時間を大幅に短縮できる点です。
ただし、ここで言う時間短縮は「楽をする」という意味ではありません。AIを使うことで生まれた余裕を、他のデザイン作業に充てることで、結果としてデザイン全体の品質を向上させるという考え方です。
アイデアや創造性を要するデザイン作業は、自動化が難しい場合が多く、むしろ手作業の方が良い結果を生むことが一般的です。しかし、そのような作業にはどうしても多くの時間を要します。
一方で、完成イメージが明確で単純作業に近い部分については、AIを活用して自動化するのが効率的です。これにより、時間を有効に使いながら、デザイナーが本当に注力すべき重要な部分に集中できるようになります。
2.デザインの幅が広がる
PhotoshopのAI機能は、単に作業時間を短縮するだけでなく、デザインのアイデアを広げる可能性も秘めています。自分だけでは思いつかなかったアイデアをAIが補完し、ヒントとなる要素を生成してくれるため、より自由で豊かな表現が実現できます。
これにより、新しい視点や発想をデザインに取り入れることが可能になります。
3.クオリティの安定化
従来の工程では、デザイナーの熟練度に依存する技術的な作業が多くを占めていました。
しかし、AI機能を活用することで、複雑な工程や高度な専門知識がなくても、実現したいデザインを再現することが可能になります。
これにより、デザインの細部まで安定して高いクオリティを維持することができるようになります。
PhotoshopのAI機能とその活用方法
Adobe Photoshopは、長年にわたりデザイン業界で愛用されてきたツールですが、AI機能の拡張により、その使い勝手と可能性がさらに広がっています。
これからご紹介するAI機能はその一部になりますが、これらを活用していくことにより、従来手作業で行っていた作業を効率化し、短時間でより高品質なアウトプットに繋げることができます。
ぜひ参考にしてみてください。
顔認識と表情の編集
Web制作において、素材サイトから人物写真をダウンロードして使用することはよくあると思います。しかし、イメージが具体的であればあるほど、理想にぴったり合う写真を探し出すのは難しくなるものです。
そんなときに役立つのが、Photoshopの「ニューラルフィルター」に搭載されているスマートポートレート機能です。この機能では、AIが人物の顔を自動で認識し、表情、年齢、視線の方向などを直接編集することができます。
写真から伝わる細かなニュアンス、特に表情の調整は、印象を大きく左右する重要な要素です。スマートポートレート機能を活用すれば、与えたい印象やメッセージに応じて写真を自在に編集し、意図したイメージに仕上げることが可能です。
活用シーンについて
この機能を使うことで、写真の表情やニュアンスをWebサイトの目的に合わせて調整できます。
一例を挙げるとしたら、以下のようなシーンで活用可能です。
・企業サイトの場合
親近感の感じる、フレンドリーな印象を与えるために笑顔を強め、信頼感を高める。
・製品紹介ページの場合
知的でプロフェッショナルな雰囲気を強調するために、落ち着いた表情に調整。
・Z世代向けのSNSキャンペーンページの場合
若々しい印象や視線の工夫で、親しみやすさを演出。
適用手順
編集を加えたい写真をPhotoshopで開き、上部メニュー「フィルター」→「ニューラルフィルター」を選択。
以下がパラメーターを編集した時の変化の一例になります。
とても自然な形に仕上がっており、実用性があります。
▲デフォルトの状態
▲笑顔マイナス(嫌そうな顔)。口角が下がり、口が小さくなっている
▲笑顔プラス(とても嬉しそうな顔)。口角が上がっている。白い歯の露出が増え、歯が強調されている
▲年齢マイナス・目の方向プラス(若い印象へ・視線を右上へ)。肌の小ジワが減り、艶感が増している。髪のトーンにムラがなく、一定になっている
画像内へ任意の被写体を自動生成
選択したエリア内に、テキストで指定した被写体をAIが生成し、直接反映できる機能です。
従来は、反映したい被写体の画像素材を収集し、切り抜いて配置するといった手順が必要でしたが、AIの進化により、これらの工程を自動化できるようになりました。
この機能を活用することで、作業時間を大幅に短縮できるだけでなく、生成される画像も高精度なので、クオリティをしっかりと担保することが可能です。
さらに、1回の操作で3パターンの候補画像が生成されるため、よりイメージに合った画像を簡単に選ぶことができます。
活用シーンについて
・広告バナー制作
季節や特定のテーマに合わせた背景や被写体をAIで生成し、広告バナーやSNS投稿用画像を短期間で制作。
・キャンペーンサイト系のビジュアル制作
指定した商品の周囲に、関連する被写体を生成し、視覚的に魅力的なビジュアルを作成する際のヒントを得る。
・急な修正依頼への対応
クライアントからの急な変更や追加リクエストにも、素材を探さずに対応可能。
適用手順
▲選択ツールで適用したいエリアを指定
▲選択範囲下に表示されているメニューの「生成塗りつぶし」を選択
▲生成してほしい被写体をテキストで指定
▲「生成」を選択すると、指定の画像が生成される。候補画像は3つ生成。もしイメージと異なる場合は、「生成」ボタン横の左右ボタンで切り替えてイメージに合うものを選択します
コンテンツに応じた画像拡張・編集機能
この機能は、画像の不足している部分、または選択エリアをAIが自然に見えるような形で補完したりすることができる機能です。
例えば、画像の余白を追加して構図を広げたい場合や、不要なオブジェクトを消去したい場合、この機能を使えば違和感のない仕上がりを簡単に実現することができます。
また、この機能はAIが画像全体のトーンやテクスチャを分析し、自然な結果を生成することができるので、従来の手作業では時間がかかった細かい修正や補完作業も、わずか数クリックで完了できます。
ちなみに過去弊社でデザインしたこちらのサイトの画像にも、同様のテクニックを活用しています。
https://www.st-works.com/
活用シーン
・サイトのFVやプレゼン資料の表紙
既存の画像に余白を追加し、テキストやロゴを配置するスペースを確保。構図を壊さずにデザインのバランスを調整できます。
・SNS投稿や、スマートフォン表示時の画像リサイズ
投稿に合わせた縦横比へのリサイズ時、AIに不足部分を補完してもらう。
適用手順
▲デフォルトの画像
▲拡張したい分だけ画像エリアを拡大する。(今回は左側のエリアを拡張。)
▲上メニューの「編集」→「コンテンツに応じた塗りつぶし」を選択。パラメータを任意の設定にした後にOKへ進むと、AIが不足エリアを自然な形で補ってくれる
消しゴムマジック(削除ツール)
Google PixelのCMでフワちゃんが紹介していた「消しゴムマジック」と同様の機能が、Photoshopでも利用可能です。
Photoshopでは、この機能は「削除ツール」として提供されており、左側のツールバーから簡単に選択できます。
従来の「修復ブラシツール」などと比較すると、「削除ツール」はより直感的で、対象物をざっくり指定するだけでAIが自動的に判断し、削除する箇所と補完すべき箇所を的確に処理してくれます。
精度も非常に高く、実用性の高い機能です。
活用シーン
・ECサイトの商品画像
背景の余計な影や小物を消去し、商品そのものを際立たせる。
・サイトのFV背景画像
写真素材の背景を整え、テキストやグラフィックを目立たせたレイアウトに調整する。
適用手順
▲画像を読み込みます
▲左のツールバーから「削除ツール」を選択します
▲削除したい対象物をなぞって選択します
▲処理が終わると削除されます。対象物が消えた部分の背景は、自動的に補完され、自然な形で処理されます
PhotoshopのAI機能を活用するコツと注意点
PhotoshopのAI機能はデザイン作業を効率化し、クリエイティブの幅を広げる強力なツールです。
ですが、より良いクリエイティブに繋げていくためには、いくつかのポイントと注意点を押さえておく必要があります。
オリジナリティを忘れないようにする
AIを多用すると、他のデザインと似たような仕上がりになるリスクがあります。
AIの提案をそのまま使うのではなく、自分ならではの工夫を加えることで、オリジナリティを保つように心がけましょう。
商用利用の権利を確認する
PhotoshopのAI機能で生成したコンテンツは基本的に商用利用が可能ですが、他のAIツールを併用する場合は利用規約をしっかり確認することが大切です。
特に、外部サービスや素材を使用する際には注意が必要です。
まとめ
この記事でご紹介したようなAI機能はとても便利で、上手く活用していけば作業効率を大幅に向上させることができます。ですが、全てをAIに任せてしまうと、場合によっては品質が劣って見えてしまうこともあるかもしれません。
アップデートによってAIの精度は日々向上していますが、それでも現状では完全ではありません。
AIでは対応が難しい場面や細かな調整が必要な場合も少なくないので、そういった状況に備えて、自らの技術や知識を磨き、手作業で対応できるスキルを持っておくことが重要です。
AIを活用することで効率化は図れますが、最終的にデザインのクオリティを左右するのは、デザイナー自身のスキルと経験です。そのバランスを意識しながら、AI機能をうまく取り入れていきましょう。
GIGでは、AIを活用した先進的な手法を取り入れ、デザインに取り組んでいます。
「予算は限られているけれど高いクオリティが必要」「短納期でも一定以上の品質を確保したい」といったご要望にも、AI技術を効果的に活用することで、お客様の求めるアウトプットを実現しています。
どのような状況でも、お客様の課題に最適なデザインをご提案いたします。
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千田 崇史
大学時代はメディアデザインを学ぶ傍ら、デザイン制作会社でアルバイトをして下積みの経験を積む。その後、印刷会社とWeb制作会社にて、主にWebデザイン・写真・動画・チラシ・名刺など、幅広い媒体のデザイン制作を経験した後、2021年10月 GIGにジョイン。現在はクリエイティブ事業部のデザイナーとして、クライアントワークを行なっている。