オウンドメディア運営の目的・コンセプトを定めるための13ポイント|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG

オウンドメディア運営の目的・コンセプトを定めるための13ポイント

2024-04-15 制作・開発

こんにちは、株式会社GIGでメディア事業部長を務める内田一良(じきるう)と申します。

これまで日本最大級のフリーランス・副業メディア『Workship MAGAZINE』をはじめ、数々のメディアプロデュースおよびコンテンツマーケティング支援を行ってきました。

長くメディアやコンテンツに関わるなかで、何度か思うことがあります。それは「オウンドメディア運営の目的、めっちゃフワフワしてないか?」ということです。

いい記事をつくり、読者に読んでもらい、ページビューを増やす。それはもちろん素晴らしいことですし、そこにやりがいを感じている担当者は多いです。

しかし、オウンドメディア運営はあくまで手段であり、目的ではありません。とくに企業運営のオウンドメディアは、自社サービスへの集客・認知拡大や、採用応募数の増加など、オウンドメディアを自社の利益に紐づける形で運用されているケースがほとんどです。

目的と手段を見誤ると、「オウンドメディアは調子いいけれど、事業の数字はよくない」といった現象がよく起こります。本当に、よく起こります。(大事なことなので二回言いました)

この記事では、オウンドメディア運営の目的(=目指すべき方向)を正しく整理し、コンセプトを明確にするために見るべきポイントを解説します。またポイントを整理するにあたり、フリーランス・副業人材専門の採用支援プラットフォーム『Workship』でのオウンドメディアのコンセプト設計例をご紹介します。

0. そもそも会社 / 事業の強みは何か?

いきなり「0」から始めてしまいすいません。

オウンドメディアの前に、そもそも会社 / 事業 / 商品・サービスの強みは整理できていますか?

繰り返しになりますが、オウンドメディア運営は手段であり、目的ではありません。会社や事業に何かしらの課題があり、それを解決するためにオウンドメディアを運営するのです。

そもそもなぜオウンドメディアを立ち上げるのか。オウンドメディアに紐づく先には何があるか。それはどんな会社 / 事業か。どんな特徴があり、どんな強みがあるのか。

会社や事業の理解なしに、それに紐づくオウンドメディアは作れません。オウンドメディア運営の前に、まずは会社や事業理解から始めましょう。

例)
Workship:フリーランス・副業人材に特化した採用支援プラットフォーム。採用 / 契約 / 稼働管理までこれ一つですべて完結

1. 課題と解決策は何か?

会社 / 事業の理解が進んだら、そこにある課題を洗い出しましょう。会社 / 事業の課題こそが、オウンドメディアで解決すべきものです。

たとえば、自社サービスの認知が低いのが課題であれば、オウンドメディアを通して認知を高めるという解決策が考えられます。オウンドメディア内に自社サービスにかかわる話題を散りばめたり、オウンドメディアの名前そのものを自社サービスに関係するものにするなど、課題が明確になればネクストアクションのアイデアがぱらぱらと浮かんでくるでしょう。

例)
■課題:フリーランス・副業者向けのマッチングサービスを運営しているが、発注者の登録数が少なくマッチングが増えない

■解決策:発注者向けのオウンドメディアを作り、フリーランス・副業者の採用に関するノウハウやメリットを伝え、サービス認知や登録社数増加を目指す

2. 媒体のゴールは何か?

課題と解決策が明確になったら、次はゴールを考えてみましょう。これこそが、オウンドメディア運営の最大の目的となります。

可能であれば「いつまでに(When)」「何を(What)」「どの程度(How much)」達成すればゴールかを明確にできればベストです。

例)
3年後までに10万PV/月、指名検索数3,000件/月、新規法人登録50社/月を安定的に獲得する

3. 読者ターゲットは誰か?

続いて読者について深掘りしていきましょう。

このオウンドメディアを読む人は誰でしょうか。どんな人に読んでもらえば目的を達成できるでしょうか。

当然ですが、BtoBのメディアなのに読者が一般消費者だったり、バズを狙いすぎたりするのは目的から逸脱してしまいます。

媒体のゴールを達成するにはどんな人に読んでもらうべきか、整理してみましょう。

例)
プロフェッショナルとの業務委託契約や外注、人材獲得に興味関心がある、事業責任者および担当者

4. 読者はどんな悩みを抱えているか?

読者ターゲットを定めたら、その人がどんな課題や悩みを抱えているか考えていきましょう。

ここは顧客解像度がものをいう部分なため、できれば事業責任者や経営層、顧客と接点の多い営業担当者などと一緒に考えていければベストです。

また、ここで出てきた読者の悩みは、そのままコンテンツの企画に活用できます。悩みとはつまり「読者の知りたいこと・解決したいこと」につながるからです。

例)
・個人との業務委託契約をしたことがないため、どんなフローを踏めばいいかわからない
・契約書類をどのように用意すべきかわからない
・適切な報酬の設定方法がわからない
・いい人材がどこにいるかわからない …など

5. コンテンツ閲覧後、読者はどんな読後感を抱くか?

「読者ターゲット」や「読者の抱える課題」までは考えられているケースは多いですが、できれば「読後感」までイメージできるのが望ましいです。

読後感はその後のアクションや成果(次項参照)に繋がる部分のため、読後感のイメージがないと読者行動の解像度が低いです。

コンテンツを読んだあと、読者にはどんな感想を抱いてほしいか。それが明確にイメージできれば、どんなコンテンツを作るべきかも見えてくるはずです。

例)
・個人との業務委託や外注方法について、どんなフローを踏むべきか全体像を理解し、外部人材活用について検討し始める
・業務委託契約についてなんとなくイメージがついたうえで、Workship(運営サービス)について認知し、今後の利用サービスの一つとして頭の中にストックしておく …など

6. 期待する成果は何か?

期待する成果はすなわち、読者がコンテンツを読んだ後にとってほしい行動につながります。「コンバージョンポイント」と考えても良いでしょう。オウンドメディア担当者は、ここの成果を上げることに注力することになります。

前提として、オウンドメディアにおいて期待する成果が、「2. 媒体のゴール」と直接的 / 間接的に繋がっていることが望ましいです。

例)
・ニュースレターの登録
・お役立ち資料のダウンロード
・サービスに関する問い合わせ
・サービス登録 …など

7. KGI / KPIは何か?

「2. 媒体のゴール」と「6. 期待する成果」までが整理できていれば、ここは簡単です。それらを月次 / 年次のKGIやKPIに落とし込んでいけばよいだけです。

ビジネス軸 / 媒体軸 / 行動軸でそれぞれ分けて考えましょう。

例)
■事業軸
・リード獲得数(ニュースレター、資料ダウンロード、問い合わせなど)
・サービス登録数

■媒体軸
・セッション数
・指名検索数

■行動軸
・新規記事公開本数
・記事リライト本数

※これらの項目を、成長曲線にあわせて月次〜年次のKGI / KPIに設計していく

8. 月に使える予算はいくらか?

現実的なところも考えていきましょう。

多くは会社上層部にてすでに予算が決められており、「この範囲内でオウンドメディアを運営してくれ」と依頼されるケースが多いと思われます。もしあなたがそれを決める立場であれば、「いくら投資できるか」「いつまでに投資分が回収できればOKか」を考えていきましょう。

たとえば現在、顧客獲得単価(=CAC)が1件あたり5万円であれば、月10件獲得できるメディアには月50万円かけられます。

ただし、オウンドメディアは立ち上げ初期から成果が出ることは滅多にありません。どんなに短くとも半年、通常は成果が出るまでに1〜3年見ておいたほうが良いです。そのため中長期の成長戦略を考えたうえで、月次の予算を決めるのがおすすめです。

仮に、1年目に月平均10件、2年目に月平均25件、3年目に月平均50件の新規顧客が獲得できるオウンドメディアができると想定した場合、月次予算は以下のように計算できるでしょう。

((10件 × 12ヶ月)+(25件 × 12ヶ月)+(50件 × 12ヶ月))×50,000円 / 3年 × 12ヶ月
 = 141.6万円

…そもそもオウンドメディアは顧客獲得だけでは測れない間接効果がたくさんあるので、CACだけで判断するのは望ましくありませんが、多少なりとも参考になれば嬉しいです。

例)
月次予算:150万円(コンテンツ外注費、ソフトウェア・ツール費、外部コンサル費など)

9. 媒体のコンセプトは何か?

さて、ここまで固まってきたら、いよいよオウンドメディアのコンセプトを考えていきましょう。

「コンセプト」というとなんだか難しそうに感じますが、「この媒体を一言で説明すると?」がそのままコンセプトになります。ここまで整理してきた0〜8の内容があれば、自ずと候補は出てくるでしょう。もし悩むようであれば、「4. 読者の悩み」とその解決策を中心に考えるのがおすすめです。

なお、コンセプトはいわゆる「かっこいいもの」にする必要はありません。オウンドメディアの運営者および読者で共通認識を持てるもの、つまり「理解できるもの」にするのが基本です。

例)
採用から契約、稼働管理まで、業務委託人材活用の流れがまるっとわかるノウハウ発信メディア

10. コンテンツの制作方針はどのようなものか?

コンセプトが決まったら、続いてそのコンセプトを実現するためのコンテンツ方針を考えてみましょう。

コンセプトがあっても、それを実現するための仕組みがなければ絵に描いた餅です。コンセプトからブレイクダウンして、コンテンツをどのように作るべきか考えていきましょう。

たとえば「現場のリアルな情報を発信」というコンセプトがあるのであれば、すべて外注丸投げのSEOコンテンツではなく、取材をベースにした一次情報を発信していくオウンドメディアが望ましいですよね。

例)
・Workshipに溜まったビッグデータをもとにした、現場のリアルな採用データを掲載
・フリーランスの契約周りに精通した弁護士による監修コンテンツ
・ビジネス領域のノウハウを、信頼できる丁寧な口調(ですます調)で提供
・複雑な契約周りの情報を、図解を交えて提供 …など

11. コンテンツの流通経路 / キーワードは何か?

コンテンツの流通経路も考えてみましょう。オウンドメディアには、Googleなどの検索エンジンをはじめ、広告やSNS、その他さまざまなプラットフォームからの流入が考えられます。

事業や商材によってもどのプラットフォームから集客をするかは大きく変わりますが、とくにBtoBでは検索エンジンからの集客、つまりSEO(検索エンジン最適化)が主軸になりやすいです。

仮にSEOを行わない場合でも、媒体の軸になるキーワードを定めておくのはおすすめです。

例)
Googleなどの検索エンジンからの集客
→「業務委託 依頼」「アウトソーシング」「フリーランス 活用」などのキーワードを想定

12. ベンチーマークや競合メディアはどこか?

オウンドメディアのベンチマークとしているサイトや競合サイトも洗い出しておきましょう。

媒体の方針に迷ったとき、ここでまとめた内容に立ち返るのはもちろんですが、周りのメディアがどのような運営をしているか把握するのは大切です。

なお、ベンチマークや競合を一番最初に設定することも多いでしょうが、個人的にはおすすめしません。自社や事業のことを正しく理解する前に周りばかりを見てしまうと、「他社の模倣」ばかり先行するリスクがあります。それは自社が本当に目指すべき方向でしょうか。二番煎じで他社に勝てるのでしょうか。

自社を正しく理解したうえで、他社のベンチマークや競合を考えると、見える景色も解像度も変わってくるはずです。

例)
■ベンチマーク:キャリアと技術を考える フリテックラボ

■SEO競合:プロ人材のお仕事紹介メディア プロプロパートナーズ

※上記は架空のものです

13. 媒体の運営体制はどうなっているか?

いよいよ最後の項目です。とはいえ、ここはそこまで複雑ではありません。

オウンドメディアを運営するにあたって、必要な人材を整理しましょう。小規模に始める場合は「編集者」1名のみでスタートすることも多いですが、大規模な場合は「責任者」「営業」「ディレクター」「編集者」「インタビュアー」「ライター」「フォトグラファー」「校正」など、職務に応じたさまざまな人材が必要になります。

例)
・媒体責任者:佐藤さん
・編集長:山田さん
・編集メンバー:伊藤さん、田中さん
・ライター:遠藤さん、インターン、外部パートナー …など

株式会社GIGはオウンドメディアの目的・コンセプト設計を伴走します

以上、この記事ではオウンドメディアの目的・コンセプトを整理するときに見るべき13ポイント(+α)をご紹介しました。

この記事で紹介したポイントに沿って整理し、運営メンバー全員で共有しておくことで、オウンドメディアが間違った方向にいきにくくなるでしょう。最終的な目標(=媒体のゴール)実現のために、定期的にオウンドメディアの状況を振り返っていきましょう。

0. 会社 / 事業の強み
1. 課題と解決策
2. 媒体のゴール
3. 読者ターゲット
4. 読者の悩み
5. 読者の読後感
6. 期待する成果
7. KGI / KPI
8. 月次予算
9. コンセプト
10. 制作方針
11. 流通経路 / キーワード
12. ベンチマーク / 競合
13. 運営体制

なお株式会社GIGでは、上記項目の整理をトータルで伴走し、コンテンツマーケティングの戦略策定支援を行うプランを用意しています。

目的やコンセプトを整理した上で(※)、具体的に作るべきコンテンツやキーワードを洗い出し、1〜3ヶ年分の成長ロードマップを提供します。

ご興味のある方はお問い合わせよりご連絡ください。筆者をはじめとしたオウンドメディアのプロフェッショナルが、上流設計から実制作まで伴走いたします。

最後までご覧いただきありがとうございました!

(※現在は、上記のコンセプトシートをさらにアップデートしたものを、お客様向けに提供・整理しています)

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内田 一良(じきるう)

早稲田大学および同大学院卒。株式会社GIG メディア事業部長。日本最大級のフリーランス・副業メディア『Workship MAGAZINE』のほか、数々のメディアのプロデュースを担当。メディア運営、コンテンツ制作、SEO、SNSに詳しい。AI、ウイスキー、ストリートダンスが好き。