ラボ型開発とは? 請負型との違いやメリット・デメリットを解説|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG
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ラボ型開発とは? 請負型との違いやメリット・デメリットを解説
2022-12-13 制作・開発
「システム開発の委託を行いたいがどのように依頼すればよいのかわからない」
「社内エンジニアの人的リソースや必要な機材が足りない」
といった悩みを抱えている企業は多いのではないでしょうか。
そのような悩みを解決する手段として、近年注目されているのが「ラボ型開発」です。しかし、ラボ型開発の認知度はまだまだ低いのが現状です。また、ラボ型開発の役割を正しく理解できておらず、開発が思うように進まない企業もあります。
今回はラボ型開発の概要やメリット・デメリット、依頼する際の注意点などを解説します。
ラボ型開発とは?
ラボ型開発とは、一定の開発期間にわたり、社外にエンジニアチーム(ラボ)を構築し、開発を委託する開発形態のことを指します。
システム開発を外部に委託するケースでは、今までは請負型開発が一般的でした。請負型開発の場合、アプリケーションやシステムといった成果物単位で契約をするため、成果物が完成したら契約は終了し、エンジニアチームは解散します。
一方、ラボ型開発の場合は、開発を委託する企業との間で3ヶ月~1年間程度の期間で準委任契約を結ぶことが多いです。基本的に準委任契約は、「契約期間中に決められた業務を遂行すること」が求められるため、「業務を完遂させること」や「依頼通りの成果物を納品すること」などを求める契約形態ではありません。
そのため、「仕様変更や修正が継続的に発生するが、自社内では人的リソースが十分に足りていない」などのケースでラボ型開発は活用されます。
ラボ型開発と請負型/SES開発の違い
ラボ型開発とよく比較される開発形態に、先ほど触れた請負型開発があります。一般的にシステム開発といえば請負型開発を指しますが、両者の違いにはどのようなものがあるのでしょうか?
両者の違いを以下の表にまとめましたので、まずは確認してみましょう。
ラボ型開発 | 請負型開発 | |
契約形態 | 準委任契約 | 請負契約 |
責任範囲 | 業務の遂行 →決められた業務を行うことを目的とする | 業務の完成 →契約期間内に業務を完了させる |
契約期間 | 3ヶ月~1年間程度 | 納期によって定める |
開発体制 | 依頼元と依頼先で決める | 開発者が決める |
メリット | ・コストを抑えられる ・優秀なエンジニアを中、長期的に確保できる ・仕様変更などに柔軟な対応ができる | ・成果物の品質が安定する ・納品後でも瑕疵期間であれば成果物に対して修正依頼ができる |
デメリット | ・チームビルディングに時間を要する ・費用対効果が低くなることもある | ・瑕疵期間であっても、仕様変更には別途追加費用がかかる場合がある ・要件から詳細に決めていく必要がある ・発注元と委託先で連携しにくい |
つまり、「すぐに人手が欲しい」「システムの要件や仕様は、開発しながら詰めていきたい」というケースではラボ型開発を、「システムの要件や仕様はもう決まっているので、それを納期までに完成させてほしい」というケースでは請負型開発を選ぶべきといえます。
また準委任契約には、ラボ型開発とは別に「SES開発」という手法も存在します。こちらは「客先常駐型開発」ともいわれ、おもに依頼元となる企業に委託先企業から派遣された開発メンバーが常駐してチームを構成し、一定期間作業を行う開発形態です。
ラボ型開発とSES開発は、社外にチームを置くか、社内にチームを置くかが違います。
ラボ型開発のメリット
ラボ型開発にはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは代表的なメリットを3つほどピックアップして解説します。
メリット1. コストを抑えやすい
ラボ型開発では社外に開発会社のエンジニアチームを置くので、社員雇用の手間がなくなり、人件費の抑制につながります。ラボ型開発の契約は「エンジニアの人数×期間」で決まり、一定期間の更新型契約となることがほとんどなので、開発途中での仕様変更などの際にも原則として追加費用はかかりません。
企業としては、一定期間の固定費用として開発費を計上できれば、予算の組み立てもしやすいはずです。
また、ラボ型開発はオフショア開発と組み合わせる場合もあります。オフショア開発とは、開発拠点を海外に移して行う開発手法で、おもに国内より人件費が安い国(タイやベトナム、インドネシアなど)を拠点に開発を進めることを指します。
システム開発における人件費は、基本的に全体のコストの約7割ともいわれ、大きなウエイトを占めます。オフショア開発と掛け合わせて人件費を抑えられれば、開発コスト全体の大幅カットにもつながるのではないでしょうか。
メリット2. 仕様変更などに柔軟に対応できる
開発途中での仕様変更や追加などに柔軟に対応できる点も、大きなメリットです。
請負型開発の場合、基本的には要件定義や工数、人件費などが確定したうえで開発スタートになるため、開発途中の仕様変更への対応が難しく、別途見積りが必要です。
ラボ型開発の場合はそもそも期間単位で契約するので、その期間内であれば追加費用もなく仕様変更に対応できます。企画やプロジェクト方針がまだ確定していないケースや、仕様変更・プログラム修正などが随時発生する案件に向いている開発形態なのはこれが理由です。
メリット3. 一定期間優秀なエンジニアを確保できる
契約期間中は、自社専属の優秀なエンジニアチームを確保できます。期間内であれば、追加費用もなく継続的に業務を発注できるため、案件ごとにプロジェクトを編成しなおしたり、イチから情報共有をしたりする手間も必要ありません。
契約期間内は、エンジニアたちは自社チームの一員と考えて大丈夫です。つまり、優秀なエンジニアを確保できれば、自社だけでは困難な開発業務を遂行することができるでしょう。また、ひとつの案件が終了しても、契約期間が残っていれば他の案件の依頼もできる点は、ラボ型開発ならではのメリットだといえます。
ラボ型開発のデメリット
ラボ型開発のメリットについて確認しましたが、デメリットもいくつか存在します。デメリットについても確認しておきましょう。
デメリット1. コスパが悪くなることもある
メリットの部分で、「契約期間内であれば継続的に他の案件でも依頼できる」と書きましたが、逆に言えば「契約期間中は一定量の業務を発注する必要がある」ということでもあります。
それゆえに、依頼する案件量・業務量が少ないと、コスパが悪くなることも考えられます。「継続して依頼できる量の案件があるかどうか」「発注する案件が少なくなった時の対策はできているか」などの点は事前に考えておく必要があるでしょう。
デメリット2. チームビルディングの時間が必要
ラボ型開発では社外にチームを作りますが、一緒に開発を進めていくメンバーであることは変わりません。発注元は、委託した開発会社に対してチームの一員として指示を出す立場になります。
作業や成果物の質を上げるために、ときには細かく指示を出したり、メンバーに情報共有をしたりする時間が必要になるでしょう。
また、中長期的に円滑なコミュニケーションがとれる体制作りも重要です。こうした体制作りやレクチャーを通してチームビルディングを行うためには、ある程度の時間が必要です。
チーム結成当初は、なかなか滑り出しが上手くいかないと感じることがあるかもしれません。しかし、焦らずメンバーとコミュニケーションを取りながら開発を進めていきましょう。
ラボ型開発に向いているプロジェクト
ラボ型開発のメリット・デメリットや請負型開発との違いなどをふまえ、ラボ型開発に向いているプロジェクトを改めて確認しておきましょう。
プロジェクト1. 定期的に発注する案件がある
何度か触れたように、すでにWebアプリや基幹システムなどが稼働中で、仕様の変更や追加、バグの修正などが随時発生するケースではラボ型開発が適しているといえます。
契約期間中であれば、専属チームに継続的に案件を発注できるため、「案件ごとにプロジェクトを再編成する」「毎回イチから情報共有を行う時間や手間、費用の再見積もりなどが発生する」といった事態を防げます。
プロジェクト2. 方向性がまだ定まっていない
発注段階ではまだプロジェクトの方向性が決まっておらず、進捗状況と照らし合わせながら開発を進行させたい場合にも、ラボ型開発が向いているといえます。
プロジェクトを完了させることが目的で業務を委託する請負契約と違い、ラボ型開発は開発状況に応じたカタチで仕様変更できるのが強みです。チームメンバーの技量やプロジェクトの進捗状況を加味しながら、徐々に方向性を定めていくこともできるでしょう。
プロジェクト3. アジャイル型開発を導入したい
アジャイル開発とは、「計画→設計→プログラミング→テスト」といった各工程を短いスパンで繰り返し、開発中にユーザーのフィードバックを得ながら完成度を高めていく開発手法のことを指します。
短期間の開発を繰り返すことで、トレンドやニーズの移り変わり、またそれらに対応するための要求や仕様の変更を行いやすいというメリットが挙げられます。小さな単位で「計画→設計→プログラミング→テスト」を繰り返すため、仮にテストでバグが発覚しても、工程をほんの少し巻き戻すだけで済むのも大きな特徴です。
アジャイル開発の特徴からみても、仕様変更や追加のたびに新たに見積りをとったり、チーム体制を変更したりする必要がないので、ラボ型開発とは相性の良い開発手法だといえます。
ラボ型開発を依頼する際の注意点
最後に、ラボ型開発を依頼する際に押さえておきたい注意点についても解説しておきます。
注意点1. 開発会社の実績や経験は必ずチェックする
ラボ型開発を依頼する前に、必ず依頼先となる開発会社に十分な実績・経験があるのかをチェックするようにしましょう。
たとえば、同じ準委任契約でも、エンジニアが客先に常駐するタイプの開発経験が豊富なのと、ラボ型開発の開発経験が豊富なのでは訳が違います。請負型開発をメインにやっている開発会社でも、ラボ型開発の経験はないところもまだまだあります。
また、自社が開発依頼を行いたいジャンルと、開発会社側が得意とするジャンルのズレがないかも確認する必要があります。開発会社は世の中にたくさんありますが、得意不得意もさまざまです。
さらに、自社の業種・業界や競合他社などへの理解が進んでいる開発会社だと、開発の意図もくみ取ってくれやすい傾向にあります。そういった開発会社に依頼すれば、やり取りもスムーズにでき、システムの質も高くなるはずです。
注意点2. コミュニケーション体制を確認する
ラボ型開発では、開発チームと密にコミュニケーションを取ることが何よりも大切です。ラボ型開発の場合、国内に開発チームがいるとも限りません。ときには海外に自社専属の開発チームを持つこともあります。
そのため、やり取りを行う手段やツール、ミーティング・フィードバックの実施回数など、コミュニケーションの手法や回数については、あらかじめ明確にしておく必要があります。
ラボ型開発は外部に開発チームがいるので、開発会社にすべてを丸投げしてしまうケースが発生するかもしれません。しかし、丸投げしてしまうとスケジュールに遅延が発生したり、要求にそぐわない形で仕様変更やプログラム修正が進んでしまったりする可能性があります。
外部にチームを持つぶん、密にコミュニケーションをとることは心がけましょう。
ラボ型開発はGIGにお任せください
一定期間の間、優秀なエンジニアを確保できるラボ型開発であれば、一時的に自社の開発能力を底上げすることも期待できます。ですが、ラボ型開発を請け負ってくれる企業を探すのは難しく、外部に開発を委託するノウハウが無いケースだと、難易度はますます上がります。
GIGには多数のラボ型開発の実績があるのはもちろんのこと、クライアント企業が抱える課題を明確化し、目的を達成するためのプランニングから運用・改善まで総合的にサポートいたします。
豊富なシステム開発の実績が示すように、GIGはお客様と丁寧で密なコミュニケーションを重ねてきたと自負しております。ラボ型開発やシステム開発全般について不明点がある場合には、ぜひ一度お問い合わせください。
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