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オンプレミスからクラウド移行する手順とは?ネットワークエンジニアが解説
2022-09-18 制作・開発
これまでのシステムは、サーバー室などに実物のサーバー機器を設置して構築していくのが当たり前でした。しかし、最近ではクラウド型のサーバーを利用したシステムが稼働する機会が多くなってきています。
オンプレミスからクラウドに移行することでさまざまなメリットがありますが、新技術なのも影響してなかなか移行に踏み切れない企業も多いのではないでしょうか。
本記事では、クラウドに移行するメリットや移行手順、移行の注意点について、ネットワークエンジニアである筆者が解説します。
クラウド移行とは?
冒頭でも触れたように、スマホアプリやWebページ、会社で利用する業務システムなどを構築する際には、これまでだとサーバー・ネットワーク機器を自社の建物内に設置して稼働させていました。こういった運用の方法を通称「オンプレミス」といいます。
クラウド型のサーバーが一般的になるまでは、サーバーをオンプレミスで導入するか、レンタルサーバーを利用するという選択肢しかありませんでした。
しかし、近年ではクラウドサーバー(クラウドコンピューティング)技術の発展により、今までオンプレミスで稼働していたシステムをクラウドに移行しても、これまでと同じようにシステムを稼働させることが可能になりました。クラウドへの移行を検討する動きが加速しているのはこのためです。
クラウド移行するメリット
「なんとなくクラウドの方が良さそう」という認識はある程度広まっていますが、具体的にオンプレミスからクラウドへ移行すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
クラウド移行するメリットはおもに下記の3つです。
・コストを削減できる
・セキュリティを確保できる
・サービスに拡張性がある
メリット1. コストを削減できる
最も大きいのが「コストの削減」というメリットです。
AWSをはじめとする主要なクラウドサービスの場合、基本的にクラウドサーバーの構築に必要な初期費用などは発生しません。データの転送量やどんな構成を何時間利用したかという実績によって料金が発生するシステムです。
こういった課金システムのため、オンプレミスで導入した場合に起こりうる「スペックの無駄使い」問題も解決します。
実際、筆者は以下のようなトラブルを経験したことがあります。
他ベンダー製のシステムを導入する際に、業者が提案してきたサーバーをそのまま導入し、稼働させた。しかし、フタを開けてみればCPUやメモリのリソースが過剰でオーバースペックだったが、いまさらサーバーを変えてくれとは言えない
ただ、クラウドサーバーの場合は後から構成などを変更できるうえ、構成によって利用料が変わる仕組み。そもそも上のような問題は起こりません。
金銭面だけでなく維持管理の手間なども含め、さまざまなコストの削減が見込めるのがクラウドのメリットといえるでしょう。
メリット2. セキュリティを確保できる
これまで、サーバーは社内のサーバー室などに実物を設置して運用するのが一般的でした。しかしこの方法だと、たとえば定期的なWindows Updateができない、ハッカー対策のハードルが高いなど、セキュリティ面での課題が多く発生してしまいます。
一方、クラウド型サーバーのリスクを指摘する声もあります。サーバーの元データはそれぞれのクラウドサービス事業者が運用しているサーバーへ格納されますが、ネットワークを介したデータの受け渡しが発生する構造になっているからです。
しかし、事業者のサーバーに対しては、世界最先端の企業が高い技術力を活かして定期的なメンテナンスや保守を実施しています。そのため、近年では「実物のサーバーを運用するよりもクラウドサーバーのほうがセキュリティを確保できる」と指摘されています。
メリット3. サービスに拡張性がある
たとえばAWSなどのクラウドサービスを利用する場合、AWSではクラウドサーバーだけに限らず、データ解析やIoTなど多岐にわたるITインフラサービスが提供されています。
「クラウドという環境に移行したらこんなこともできる」というように、新しいアイデアからサービスを拡大できる拡張性もクラウドの魅力でしょう。オンプレミスであれば、導入されたサービスを保守期間が切れるまで利用してリプレースされる、の繰り返しが一般的です。
クラウド移行するデメリット
「クラウドサーバーはメリットだらけ!今すぐに移行した方がいい!」とはいえない側面もあります。
確かに上で触れたコスト面のメリットはありますが、システムをクラウドで構築するには専門的なスキルが必要となるため、「オンプレミスよりハードルが高い」という問題があります。オンプレミスのインフラ構築とは全く違う知識が必要なため、インフラ構築のプロでも対応できない可能性があるほどです。
さらに、既存システムがイントラネット(内部ネットワーク・社内ネットワーク)に接続しており、かつイントラネット内の他システムと連携している場合に、一部だけクラウドサーバー化してしまうと連携がうまくいかなくなるケースも考えられます。
システムをクラウドに移行する場合は、次に紹介する手順できちんと検討する必要があるでしょう。
クラウド移行する手順
ここでは、「クラウドへ移行したいけど、具体的にどのような手順で既存サーバーをクラウドへ移行すればいいのか分からない」という方に向けて、具体的な移行手順を紹介します。
先に結論を大まかにまとめると、
1. 事前調査
2. 周知・日程調整
3. 移行作業
4. 動作確認
という手順で進めていきます。
手順1. 事前調査
まずはじめに、クラウド移行の前提となる以下のような点の状況を把握しましょう。
・自社のデジタル資産の棚卸し
・人員の適正な配置とスキル確認
・クラウド移行のゴール設定
次に、クラウド移行の計画を立案し、共有しておきましょう。
・クラウドに移行したときのリスク
・移行対象のサーバー
・移行を実施する期間
これらの概要を理解したうえで、具体的なサーバーの事前調査を行います。
たとえばホームページを稼働させているサーバーを移行する場合、現在のPHPやDBのバージョンを把握し、Webコンテンツをどのように移行させるかなどを確認しましょう。
また、クラウドサーバーのスペックに関してはかなり細かな調整が可能です。現在サーバー上で動作しているサービスを移行するにあたり「どのようなクラウド環境を用意すればいいか」「どのようなプランを契約すればいいか」をきちんと調査しておくと、コスト削減に繋がります。
手順2. 周知・日程調整
ホームページを稼働させている、あるいはスマホアプリを稼働させているサーバーをクラウドに移行する場合は、その影響をユーザーにも与えてしまうことになります。
ユーザーが影響を受ける場合は、サービスの一時停止を周知したり、移行中に表示するコンテンツを作成したりして、影響を最小限に抑えるようにしましょう。また、ユーザーの利用数が少ない時間や曜日などを調査し、作業の日程を工夫しましょう。
日程を決めるうえでは、ユーザーの利用状況はもちろん、社内の状況や連携先のシステムベンダーの都合まで考慮した日程調整が必要です。
手順3. 移行作業
クラウド移行に関する要件定義、方式などが決定すれば、実際に作業を行います。
まずはクラウドサーバーの契約をすすめて、初期セットアップを実施します。AWSを例にすると、「サーバー機能」「ストレージ&データベース機能」「ネットワーク機能」「セキュリティ機能」をそれぞれ有効化していきます。
これらの設定が完了すれば、既存のサーバーからデータを移行します。主要なクラウドサーバーであれば、「マイグレーション(移行)サービス」が各種用意されているため、一般的にはそれらを利用して移行を実施します。
たとえば、AWSでは『VM Important / Export』がマイグレーションサービスとして有名で、よく利用されています。ただ、こちらを利用する場合も、移行元と移行先の環境やシステム要件が合致していることは前提です。この部分はよく調査したうえで実行しましょう。
なお、サーバーの移行作業には想定外のトラブルが発生する可能性もあります。非常事態に備えてトラブル発生時の連絡体制や対応フローをよく確認することも重要です。
手順4. 動作確認
実施作業の完了後は、正常に移行が完了したか動作確認を行いましょう。
たとえばホームページの場合は、
・きちんとコンテンツは表示されているか
・リンク切れはないか
・チャットボットなどは正常に動作しているか
などが、おもな確認項目となるでしょう。動作確認が完了すれば、クラウド移行作業は完了となります。
作業後は、既存のオンプレミスサーバーの解約を行い、クラウドサーバー利用費用などの把握・管理も続けていきましょう。従量課金制のため、思わぬコストが発生してしまう可能性もあるからです。
また、クラウド移行後のサーバー運用や管理体制も構築し、社内マニュアルなども準備しておくことをおすすめします。
クラウド移行の注意点
ここまで、クラウド移行に関する具体的な手順について解説しました。
AWSなどのサービスを利用する際は、サーバーやネットワークなどの知識だけでなく、AWSというサービス自体に関する知識も必要となります。作業も複雑なため、移行についての注意点もいくつか存在します。
ここでは、クラウド移行に関する注意点について紹介します。
注意点1. マイグレーション失敗時の対策をしておく
上でも触れたように、クラウド移行にはマイグレーションサービスをよく利用します。
しかし、このサービスは完璧ではなく、環境によってはファイルの破損や消失が発生し、移行に失敗するケースもあります。そのため、リスクや環境について入念な調査が必要となりますが、失敗した場合の対策もきちんと考えておきましょう。
場合によっては、その作業日には移行を中止してオンプレミス環境に戻すケースも想定されます。失敗しないのがベストですが、万が一の際も絶対にユーザーに影響を及ぼさないよう、十分リスクを考慮して対策をしておきましょう。
注意点2. システム同士の連携要件を確認しておく
こちらもすでに触れたように、現在稼働しているシステム同士を連携させている会社も多いと思います。
人事システムと給与システムを別で稼働させている場合などは、職員の情報を連携していたりと、連携のパターンはさまざま。
「どんなサービス間でどんな情報を連携しているのか」「クラウド移行によって連携にどんな支障が出るのか」などは、システム管理者も把握していない可能性があります。そのため、対象となるシステムの移行担当業者と入念に打ち合わせを行いましょう。
注意点3. ランニングコストに注意する
クラウドは、従量課金制となっているのが一般的です。つまり、使った分だけ料金が発生します。これは一見すると非常に便利で経済的なシステムに見えますが、予期せぬ使い過ぎが発生すると、予算を超えてしまう可能性があります。
たとえば、クラウドのストレージを用いて大量のデータを保存する場合、保存料金だけでなく、そのデータを利用するためのデータ転送料金も発生します。これらは無意識のうちに積み重なり、想定外のランニングコストとなり得ます。
そのため、クラウド移行においては、あらかじめ予算をしっかりと立て、使用量を常に監視することが重要です。また、各クラウドサービスの料金体系をよく理解し、どのような行動が追加コストにつながるかを把握しておくことも大切です。
注意点4. クラウド移行後の運用体制を考えておく
クラウド移行は、システムの効率化やコスト削減などの目的で行われますが、それだけでは事業の課題は解決しません。
クラウドを最大限に活用するには、移行後の運用体制を整備し、社内での周知活動を行うことが重要です。たとえば、新たなクラウドサービスの導入により、社内の作業フローや手順が変わるかもしれません。その場合、全てのスタッフが新しいフローを理解し、効果的に活用するための教育やトレーニングが必要になるでしょう。
また、クラウドの特性を生かした新たなビジネスチャンスや課題解決の手段を見つけるためには、定期的な改善活動や新たな利用方法の探索も重要です。
これらの活動は、クラウド移行だけでなく、その後の運用フェーズで事業の価値を高めるために重要な要素となります。クラウド移行の計画時から、これらの観点も考慮に入れておくことをおすすめします。
クラウド移行作業はGIGにお任せください
インフラがどんどんクラウドへ移行されていく時代なので、焦ってクラウド移行を検討される方もいるかもしれません。しかし、調査を怠った状態で移行を進めると、データの損失など取り返しがつかない障害が発生することもあります。
リスクを避けるためには、外部の専門業者にクラウドの移行作業を発注することがおすすめです。
AWS公式のテクノロジーパートナーとして認定されているGIGは、インフラのクラウド移行を承っております。豊富な実績を活かし、移行作業で起こりうるリスクを想定したインフラ移行をサポートします。
まずは無料でご相談可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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