DX化に使える補助金・助成金5種|基本的な申請の流れや注意点なども解説|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG

DX化に使える補助金・助成金5種|基本的な申請の流れや注意点なども解説

2023-09-13 制作・開発

経済産業省より「2025年の崖」が公表されてから、DX化に舵を切る企業が増加傾向にあります。

ただ、資金力のある大企業はDX化の推進に力を入れることは可能でしょうが、中小企業だと「DX化への取り組みにまで正直手が回らない!」というところが多いのも事実。

一方でそのような企業のために、国や自治体は補助金や助成金といったカタチで、DX化の支援を行っているのはご存知でしょうか?

補助金や助成金は申請から受給するまでに数多くのステップを踏むので、煩雑な作業がともなうことは間違いないのですが、自社がそれらの制度を活用できるかどうかだけでも、まずは知っておくべきだといえます。

そこで今回は、DX化を推進する際に使える補助金・助成金などに焦点をあて、解説を進めていきます。

DX化とは

DXとは、Digital Transformation(デジタル・トランスフォーメーション)の略称で、日本語に直訳すると、「デジタルによる変革」となります。

つまり、自社の業務プロセスやビジネスモデルを、デジタル技術を活用したカタチに変革する取り組みのことを指します。

DX化ではインターネットをフル活用しますが、昨今の取り組みでは、RPAやAIといった比較的新しいテクノロジーを使って業務効率化を図ったり、基幹システムをクラウド化するようなことが、DX化の一例として挙げられます。

またDX化を進めるにあたっては、単に業務をIT化するだけでなく、社員一人ひとりの意識改革や、トライ&エラーを積み重ねながら継続的に改善していくようなことまで求められます。

国もDX化を国家戦略のひとつとして位置づけているので、中小企業向けには数多くの補助金・助成金制度を準備しています。それらを上手に活用して、今後のDX時代に適応していくことは、もはやどの中小企業にも求められることかもしれません。

補助金と助成金の違いについて

先ほどから「補助金」・「助成金」という単がそれぞれ何度か出てきてますが、両者は似ているようで、実は別々のものとなります。

まずは両者の違いについて、以下の一覧表にて確認しましょう。


補助金助成金
管轄経済産業省厚生労働省
財源税金雇用保険料
目的技術開発や中小企業活性化労働環境改善や人材育成
難易度高倍率で厳しい審査審査はあるが、条件を満たせば基本的には受給される
代表例

・IT導入補助金

・小規模事業者持続化補助金 

・事業再構築補助金

・ものづくり補助金


・キャリアアップ助成金

・働き方改革推進支援助成金 

・人材開発支援助成金

・雇用調整助成金


補助金とは、経済産業省の管轄で、国や自治体の政策にあわせて募集されるものを指します。補助金にもさまざまな種類が用意されています。そのため、自社の業種や事業内容、経営計画にそって最適な補助金制度を活用することが求められます。

ただ、税金を活用する以上、審査は厳しめです。そこは綿密なDX化へのプロセスを文書化することが不可欠でしょう。

一方、助成金の管轄は厚生労働省となります。助成金も補助金と同様に、申請後には審査があります。ですが、こちらは受給のハードルが少し低めで、補助金と比較すると利用しやすい制度にはなるでしょう。

補助金・助成金ともに、お金がもらえるという点では同じです。また「申請対象となる用途が決められている」「投じた費用の〇割を補助する」といったように、どちらとも決して自由に使えるお金ではないという点は念頭に置いておきましょう。

DX化に使える補助金・助成金

それではここからは、DX化に使える補助金・助成金の種類や補助額などを確認していきましょう。今回解説する制度は以下の6つとなります。

1. IT導入補助金
2. ものづくり補助金
3. 事業再構築補助金
4. 小規模事業者持続化補助金
5. キャリアアップ助成金
6. その他の補助金・助成金

1. IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業・個人事業主がそれぞれの課題やニーズに合ったITツールを導入する際の一部を補助することで、業務効率化や売上アップを支援する補助金制度です。

■制度の概要

IT導入補助金は、経済産業省の管理下で「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」という団体が運営している補助金制度です。ITを活用した業務の効率化や、売り上げアップを目的としており、クラウドツールや業務用ソフトウェアの導入にかかる費用の一部を補助します。

またIT導入補助金では、申請者はIT導入支援事業者の協力を受けて申請する必要があり、原則として、IT導入支援事業者が提供し、あらかじめ事務局に登録されたITツールの導入費用が補助対象となります。ただし、内容や機能によっては、対象外となるものもあるので注意が必要です。

■補助対象者

IT導入補助金を利用するには、業種ごとに資本金と常勤従業員数で以下の条件が設けられています。

業種(中小企業)資本金常勤従業員数
製造業・建設業・運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業・
情報処理サービス業・旅館業除く)
5000万円100人
小売業5000万円50人
ゴム製品製造業3億円900人
ソフトウェア業・情報処理サービス業3億円300人
旅館業5000万円200人
その他業種3億円300人
医療法人・社会福祉法人・学校法人-300人

■補助率/補助額

IT導入補助金には、事業の目的に合わせて、「通常枠(A・B類型)」「セキュリティ対策推進枠」「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」などがあり、枠によって補助率/補助額が異なります。

▼通常枠(A類型・B類型)

通常枠は、文字通り一般的な申請枠となります。補助対象になるのは「ソフトウェア購入費、クラウド利用費(最大2年分)、導入関連費」で、補助率は2分の1以内です。

また「ソフトウェア関連の導入費」を補助してくれるものなので、原則ハードウェア関連には適用されません。

A類型とB類型の違いは、導入するツールなどが下記の機能要件のうち「4プロセス」を超えるかどうかです。超えた場合にはB類型で、超えない場合にはA類型での申請となります。

種別プロセス名
共通顧客対応・販売支援
共通決済・債権債務・資金回収
共通供給・在庫・物流
共通会計・財務・経営
共通総務・人事・給与・労務・教育訓練・法務・情シス
業種特化業種固有プロセス
汎用汎用・自動化・分析ツール

A類型とB類型の違いは以下の通り。

類型補助金申請額補助率プロセス数賃上げ目標補助対象
A類型5万円~150万円未満1/2以内1以上加点項目ソフトウェア購入費および導入するソフトウェアに関連するオプション・支援の費用
B類型150万円~450万円以下4以上必須要件

▼セキュリティ対策推進枠

セキュリティ対策推進枠は、サイバー攻撃に対する対策を講じた場合の「セキュリティソフト利用料」を支援してもらえる申請枠となります。

ただし、どんなソフトウェアでも良いわけではありません。情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に記載されているものから選択する必要があります。

対象サービス利用料(最大2年分)
補助率1/2以内
補助下限額・上限額5万円~100万円

▼デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)

デジタル化基盤導入枠は、「デジタル化を推進するため、会計ソフト・受発注ソフト・決済ソフト・ECソフトの導入費用に加え、PC・タブレット、レジ・券売機等の導入費用を支援する」申請枠です。

インボイス制度やマイナンバー、電子決済の推進といった、「デジタル化」に関する費用を補助する制度でもあり、ハードウェアも対象範囲となります。

デジタル化基盤導入枠は補助対象が広範に及ぶため、補助額や補助率も複雑です。詳しくは以下の表をご覧ください。

▲赤枠内がデジタル化基盤導入枠の詳細(出典:IT導入補助金資料)










関連記事:2023年のIT導入補助金は個人事業主/フリーランスも使える?申請条件、必要書類、金額上限まとめ【FPが解説】

2. ものづくり補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)とは、中小企業や小規模事業者が生産性を向上させることを目的とした補助金制度です。

■制度の概要

ものづくり補助金において、DX化にともなう申請を行える枠は「デジタル枠」となります。「デジタル枠」は、以下の取り組みに必要となる設備やシステム投資などを支援する枠となります。

・DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する革新的な製品やサービスの開発

・デジタル技術を活用した生産プロセスやサービス提供方法の改善による生産性向上

つまり、IoTやビッグデータ、AIなどを活用して、生産管理やマーケティングなどを効率化させる活動が対象となるわけです。

ものづくり補助金の「通常枠」における補助率は、原則として2分の1(小規模企業者や小規模事業者などは3分の2)とされていますが、「デジタル枠」で審査が通ると、補助率が一律3分の2へと引き上げられます。

また特別枠である「デジタル枠」で、ものづくり補助金を申請した場合、仮に「デジタル枠」での審査が通過できなかった場合でも、「通常枠」での再審査は可能となります。

■応募要件

ものづくり補助金全体に共通する要件と、デジタル枠固有の要件それぞれを確認しておきましょう。

▼共通要件

まずは次の3つの要件をすべて満たす、3~5年の事業計画が策定されている必要があります。

1. 事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加すること
2. 給与支給総額を年率平均1.5%以上増加すること
3. 事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にすること

付加価値額とは、営業利益と人件費、減価償却費の合計額です。3~5年後に給与支給総額と事業場内最低賃金の要件を満たせなければ、補助金の返還が求められます。

▼デジタル枠要件

デジタル枠固有の応募要件には、「DX推進指標の活用」と「セキュリティアクション宣言」の2つが必要となります。

DX推進指標

経済産業省が公開する「DX推進指標」を活用して、DX化に向けた現状や課題などを自己診断するとともに、自己診断結果を独立行政法人情報処理推進機構に対して提出します。

具体的には、下記35項目の指標について、レベル0(未着手)~レベル5(グローバル市場におけるデジタル企業)までのランク付けで自己診断します。

出典:産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの推進










セキュリティアクション宣言

セキュリティアクション宣言とは、独立行政法人情報処理推進機構が実施するセキュリティアクションの宣言を行うことを指します。宣言の内容は以下の2つ。どちらも専用のWebサイトから自己宣言を申し込みます。

1. 「情報セキュリティ5か条」に取り組むことを宣言する

2.  「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」の実施と、情報セキュリティ基本方針を定め、外部に公開したことを宣言する

■補助対象者

補助の対象となるのは、日本国内に本社または補助事業の実施場所がある事業者です。また中小企業や個人事業主などに加えて、下記の特定事業者も対象となります。

▼中小企業

業種資本金常勤従業員数
製造業3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下

▼特定事業者

業種資本金常勤従業員数
製造業10億円未満500人以下
卸売業400人以下
サービス業300人以下
小売業300人以下

■補助率/補助額

デジタル枠における補助率/補助額は以下の通り。

申請枠常勤従業員数補助金上限額補助率
デジタル枠5人以下750万円2/3
6人~20人1,000万円
21人以上1,250万円

3. 事業再構築補助金

事業再構築補助金とは、コロナ禍で設立された比較的新しい補助金制度です。

■制度の概要

事業再構築補助金とは、中小企業庁が創設した補助金制度です。コロナ禍の影響で、中小企業の需要や売上の回復が期待しづらい状況を踏まえ、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応し、事業再構築を支援することを目的に創設されました。

具体的には、「新分野展開」「事業転換」「業種転換」「業態転換」「事業再編」といったような、事業再構築に挑もうとしている中小企業をサポートするための制度です。

機械装置・システム構築費(リース料含む)、クラウドサービスの利用費、外注費、広告宣伝・販売促進費、研修費といったDX化にともなうさまざまな経費が補助対象となります。

対象経費の幅広さや、補助上限額の高さなどから、DX化で活用すべきおすすの補助金制度といえるでしょう。

■応募要件

事業再構築補助金の申請には、枠を問わずに以下の3つの条件を満たしているかどうかがまず求められます。

1. コロナ以前と比較して一定の売上減少(5~10%)が発生していること
2. 事業計画について、認定経営革新等支援機関の確認を受けること
3. 付加価値額を向上させること(年率3~5%)

しかし、2023年に受付を開始した「第10回」から、応募要件に変更がありました。具体的には以下のように変更されています。

1. 事業計画について、認定経営革新等支援機関の確認を受けること
2. 付加価値額を向上させること(年率3~5%)

「売上減少」の要件がなくなったので、売上が減っていなくても申請可能となりました。ただし、多くの方が活用するであろう「通常枠」が撤廃され、「成長枠」に切り替えられた点には注意が必要です。

「成長枠」では、「通常枠」になかった2つの条件が追加されています。具体的には以下の通り。

1. 取り組む事業が、原則として過去~今後のいずれか10年間で市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していること

2. 事業終了後3~5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させること

これらの要件を満たしていることが、申請するうえでは最低条件となります。

■補助対象者

事業再構築補助金を利用するには、業種ごとに資本金と常勤従業員数で以下の条件が設けられています。

業種(中小企業)資本金常勤従業員数
製造業・建設業・運輸業3億円300人
卸売業1億円100人
サービス業(ソフトウェア業・
情報処理サービス業・旅館業除く)
5000万円100人
小売業5000万円50人
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)3億円900人
ソフトウェア業・情報処理サービス業3億円300人
旅館業5000万円200人
その他業種3億円300人

■補助率/補助額

事業再構築補助金では、大きく分けて6つの枠が用意されています。それぞれの枠で補助額の上限や補助率は変わってきますので、詳細は下記の一覧表を確認しましょう。

▲申請枠の全体像(出典:事業再構築補助金資料)

4. 小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、中小企業庁と日本商工会議所によって運営されている補助金制度です。

■制度の概要

小規模事業者が、販路開拓や業務効率化といった企業活動で掛かる経費の一部を、国が支援してくれる補助金制度です。

たとえば、DX推進のために自社システムを導入することや、販路開拓のための広告宣伝費、設備投資など掛かった費用の最大2/3(赤字企業で賃上げ枠を選択した場合は3/4)を補助してくれます。

■補助対象者

業種(小規模事業者)常勤従業員数
商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く)5人以下
宿泊業・娯楽業20人以下
製造業その他20人以下

また、直近過去3年分の課税所得の平均額が15億円を超えていないことや、株式保有比率などの制限もあります。

■補助率/補助額

基本的には「通常枠」での申請となります。通常枠は「小規模事業者であること」が最低条件です。他にも「賃金引上げ枠」や「創業枠」などがありますが、各枠に申請できる要件はそれぞれ下記のようなものとなります。

通常枠賃金引上げ枠卒業枠創業枠
補助率2/32/3(赤字事業者の場合3/4)2/32/3
補助上限50万円200万円200万円200万円
インボイス特例補助上限額に追加で+50万円上乗せ
(補助金上限額が50万円の場合、全体で100万円に補助額が増額)
要件誰でも可従業員に対する最低賃金の引上げが必要従業員が増え、かつ小規模事業者の要件を超えた場合(補助事業終了時にカウント)過去3年以内に、自治体より「特定創業支援等事業」を受けたことがある

5. キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、派遣労働者や有期雇用労働者など非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善に取り組んだ事業主を助成する制度となります。

■制度の概要

キャリアアップ助成金の大きな目的は、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するところにあります。

社内でDX化を効率的に進めるために不可欠なことは、人材の育成です。もちろん外部から優秀なエンジニアを招聘してDX化を促進するのも選択肢のひとつですが、すでに自社のシステムやフローの勝手を知る派遣社員などをキャリアアップさせ、DX化の人員に割り当てるほうが実は効率が良かったりもします。

その際に大いに活用すべきなのが「キャリアアップ助成金」です。

助成内容は、「正社員化支援」と「処遇改善支援」に大きく分けられ、それぞれ「正社員化コース」と「賃金規定等改定コース」「賃金規定等共通化コース」「賞与・退職金制度導入コース」「短時間労働者労働時間延長コース」が設けられています。

■条件

1. 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いていること
2. 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に係るキャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けていること
3. 実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにできること
4. キャリアアップ計画期間内に、キャリアアップに取り組んだこと
5. その他、除外事由にあたらないこと

■助成金額一例

▼正社員化コース(1人あたりの助成額)


有期雇用労働者無期雇用労働者
中小企業57万円28万5,000円
大企業42万7,500円21万3,750円

▼賃金規定等共通化コース(1事業所あたりの助成額)

中小企業60万円
大企業45万円

▼賞与・退職金制度導入コース


賞与又は退職金制度を導入賞与及び退職金制度を同時に導入
中小企業40万円56万8,000円
大企業30万円42万6,000円

6. その他の補助金・助成金

地方自治体が独自に運営している補助金・助成金にも目を向けてみるのも選択肢のひとつ。

ここまで解説してきた補助金や助成金と比べると、給付額が低めに設定されているかもしれませんが、DX化だけでなく、周辺機器の購入やコンテンツのリニューアルなどの経費までカバーしてくれるものもあるので、確認しておきたいところです。

ただし、地方自治体の補助金や助成金制度は、新規に追加されたり廃止になったりと、状況の変化も激しい分、申請前には必ず公式サイトなどで条件を確認するようにしましょう。

地方自治体の補助金や助成金制度を検索したい場合には「J-Net21」というWebサイトを確認することがおすすめ。

中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21は、中小企業を支援することを目的としたWebサイトです。そのため、補助金や助成金の情報だけでなく、中小企業にとって役立つ情報も数多く掲載されているので、一度目を通しておくことをおすすめします。

補助金・助成金の申請から受給までの基本的な流れ

補助金や助成金に関する基本的な申請から受給までのプロセスを解説します。ただし、制度の種類によっては、ここで解説するのと違う流れになる場合もあるので、詳細については各募集要項をしっかりと確認してください。

1. 申請したい補助金・助成金を選択し、公募要領などを確認する

ここまで解説してきた通り、DX化に利用できる補助金や助成金にはいろいろな種類があります。まずは自社の事業形態などと照らし合わせて、適切な補助金・助成金を選択しましょう。

その際に、中小企業庁が提供する補助金や助成金検索サイト「ミラサポplus」を活用するのも選択肢のひとつ。

ミラサポplusでは、中小企業・小規模事業者を対象としたさまざまな支援措置の情報を検索できます。支援制度だけでなく実際の活用事例なども掲載されており、電子申請まで支援してくれます。

申請したい補助金・助成金が決まれば、採択条件や必要書類など、それぞれの公募要領を詳細まで確認します。募集期間や交付決定までのスケジュールも漏れなく確認しておきましょう。

2. 事業計画書などを準備する

自社が行うDX化における詳細な計画や、費用対効果の分析といったことを事業計画書にまとめます。

一般的には「応募申請書」「事業計画書」「経費明細書」「事業要請書」などが求められるケースが多くなりますが、審査基準を意識した計画づくりを行うことも大切です。

3. 申請

申請書類を一式そろえたら、期日までに事務局に書類一式を提出します。

書面による郵送かWeb申請かを選ぶことになりますが、こちらも申請先の補助金・助成金によって詳細が異なってくるため、公募要領は事前にしっかりと確認しておきましょう。

4. 審査・交付決定

審査を無事通過すると、採択通知が届きます。ですが採択通知を受け取ればそれで支給がはじまるわけではありません。

次に「交付申請」というものが必要となります。交付申請が認められてはじめて、「交付決定(補助事業の開始)」となります。

5. DX事業の実施

交付決定を受けた事業計画に則って、DX事業を実際に開始します。たとえば、RPAやAIなどを活用した業務の効率化や、クラウド化によるシステムの刷新などを進めることが挙げられるでしょう。

ただし忘れてはいけないのが、補助金が交付されるのは、提出した計画書に記載された取り組みだけであるという点です。

仮に途中で事業内容を変更したり、計画書に記載していない取り組みを行ってしまうと、補助金や助成金は支給されない可能性が高くなります。計画書に則ったDXの事業運営が求められます。

6. 実績報告書を提出

計画書に則ったDX化への取り組みが完了し、効果の検証までできれば、事務局に対して実績報告の書類をまとめて提出します。

事業完了後に行われる審査では、補助金の使い道や金額が公募要領に沿った適正なもとなっているかについて確認されます。

そのため、目的外の支出や正しい処理ができていないものについては、補助対象外として扱われるケースもあるので注意が必要です。

7. 受給

実績報告の内容が審査され、適正だと認定された場合に決定額の補助金・助成金が交付されます。

ただし、振込先口座への入金までに、1~2か月ほど要することもあります。また補助金や助成金を受給した後でも、事業に関する書類は5年間保管する必要があります。重要書類として大切に管理しておきましょう。

補助金・助成金を利用する際の注意点

最後に補助金・助成金を利用する際の基本的な注意点についても解説を行います。

注意点1. 補助金には審査があり、審査に落ちることも

補助金の財源は「税金」です。それゆえに妥当性の確保が必ず求められます。

DXの補助金として割り当てられている予算にも限りがあるので、審査基準を設け、優先順位をつけることになります。人気がある補助金制度では、採択率が低くなることもあり、必ず審査に通過するとは限らないことも念頭に置いておきましょう。

また、複数の制度をまたいでの受給は基本的には認められません。ですが、応募自体は同時に複数行うことは可能。

申請書類にも共通するものが多いので、同時に書類を作成していくつかの制度に応募し、採択されてからどちらかの制度を選ぶという手法も取り入れることをおすすめします。

注意点2. 複雑な事務処理が必要

何度もいいますが、補助金の財源は「税金」です。そのため、申請から交付決定、事業実施、実績報告の提出、実際の補助金受給に至るまで、実に多くの煩雑な手続きや書類の整備などが求められます。

補助金の受給を検討する際には、受けられる補助金の額とそれにかかる事務処理などのコストも比較し、費用対効果を見極める必要もあるでしょう。

注意点3. 補助金・助成金は原則として後払い

補助金や助成金が手元にあれば、「自己資金がゼロでも大丈夫」と考えている方もいるかもしれませんが、これらはあくまでも「足りない分を補う」制度だということは忘れてはいけません。

とくに補助金では、実際に使った経費を計上したうえで、受給額を申請し、その後受給という「後払い」のシステムが採用されているものがほとんどです。

たとえば、総額300万円の事業で1/3の補助を受け取るケースでは、まずは自己資金で300万円を支払う必要があるということになります。

そのため、はじめから補助金や助成金をあてにするのではなく、まずは申請前にある程度の自己資金を確保したうえで、事業はスタートさせましょう。

注意点4. 不正受給にはとくに厳しい対応がとられる

補助金には、補助金適正化法(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律)という法律が存在します。

「補助対象期間以外で発注してしまったため、発注日を改ざんする」行為や、「補助対象について、実際より高い金額で領収書を切ってもらい、より多くの補助金を受け取ろうとする」行為などはすべて法律違反とみなされます。

仮に補助金の不正受給が発覚したケースでは、受け取る予定または受け取った補助金は、当然ですが全額返還する必要があります。かつ補助金をすべて返還するまで、返還していない金額の10.95%(年間)が加算され続けます。

不正受給は百害あって一利なしです。絶対にやめましょう。

DX推進はGIGにお任せください

DX化を推進することで多くのメリットを享受できる反面、多額の費用がかかるのも事実です。その際に「補助金」や「助成金」を上手に活用することで、コスト面でのリスクを少しでも減らし、新たなビジネス展開につなげることができれば、DX化した甲斐があったということになるでしょう。

GIGでは、クライアント企業様のDX推進の支援にも力を入れております。DX推進のためのコンサルティング、またDX化にともなうツールの導入支援などを行っております。

DX自体を目的とするのではなく、企業様ごとの業務フローを可視化し、業務改善を目的としたDX推進を実現いたします。

またクライアント企業様が抱える課題を明確化し、目的を達成するためのプランニングから運用・改善まで総合的にサポートいたします。

GIGはお客様と丁寧で密なコミュニケーションを重ねてきたと自負しておりますので、DX化について疑問点や不明点などがある場合には、ぜひ一度GIGにお問い合わせください。

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