文章を添削するコツは? 推敲・校正時に見直したいポイントや注意点を編集者が解説|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG
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文章を添削するコツは? 推敲・校正時に見直したいポイントや注意点を編集者が解説
2023-01-26 制作・開発
こんにちは。株式会社GIGメディア事業部所属のくろぎです。GIGでは自社運用メディアで更新する記事の編集を毎月30本ほど担当しております。ちなみに過去在籍してた職場では月に100本近くのSEO記事を編集するという修羅をくぐり抜けた経験を持つ、しがない編集者です。
さて。
「ライターが執筆した記事を編集しないといけないけど、他人の文章に赤入れってどうすればいいの?」「副業でブログ記事を書いているけど、自分が書いた文章のおかしなところに気づけないから見直すポイントが知りたい」
この記事に辿り着いた方はきっとこんなお悩みをお持ちでしょう。文章は情報を発信するために活用されますが、文章に誤りや分かりにくい箇所があると読者にストレスを与えたり、正しい情報を伝えたりすることができなくなります。
一生懸命書いたのに、思い通りに伝わらないともったいないですよね。そのため、編集者は「添削」を通して文章を整え、それらの懸念を未然に防いでいます。
この記事では、添削の考え方やコツ、注意点を解説します。
添削を行う若手編集者はもちろん、ライターや文章制作に携わる機会が多く、分かりやすい文章を書けるようになりたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
文章の「添削」はなぜ必要? 見直す時の考え方
編集者や文章を書いた本人が一度完成した文章を見直し、添削を行うのは「文章のマイナスをなくす」ためです。
当たり前のことのように感じるかもしれませんが、かなり見落としがちなポイントです。
というのも、編集経験が少ない人は「カッコ良い(気取った)文章にする」もしくは「こだわりの文章にする」ために文章を見直そうとしてしまいがちです。そのせいで赤入れも迷走してしまい、赤入れ前と後で文章のクオリティがさほど変わらない(むしろ悪くなってしまう)ことも……。
例外として、小説家の書く文章やキャラが確立されたライターが書く文章など、「個性・スタイル」が文章の良し悪しを構成する重要な要素となっている場合は、「かっこよさ」「おしゃれ」「エモい」といった感性をベースにした編集も間違いではありません。
しかし、SEOを意識したコンテンツや自社サイトに掲載するテキスト、卒業論文や企画提案書といった、何らかの情報を想定読者に向けて発信するための文章は「求めている人に対して、適切な情報がわかりやすい形で伝わる」ことで初めて真価を発揮します。
つまり、文章を見直して添削するときは「わかりやすい文章」かどうかを判断基準にする必要があります。
わかりやすい文章の条件はズバリ、読んでいてストレスがないことです。
読み手にとってストレスになりうるマイナスポイントを見つけ、本来書き手が伝えたかったことが意図通り伝わるように修正することが良い添削だと言えるでしょう。
これらの添削の考え方のコツとして、マイナスポイントを見つける時も「ダメ出しポイントを見つけてやる」という敵の立場になるのではなく「書いてくれた文章をより良くしよう」というサポーターとしてのマインドを持つことが大事です。
「良い」文章にするための添削 14ポイント
ここからは読んでいてストレスを感じない文章へ整えるために、実際に文章を添削するときに見直すべきポイントを紹介します。
1. 誤字脱字はないか?
誰でもすぐに意識でき、かつ添削時の重要度が高いポイントです。
たとえば「早い」と「速い」、「カオスマップ」と「顔SMAP」といった変換ミスや、本来「リニューアル」と記載すべき箇所に「ニューアル」と書かれているなど、些細なミスがこれにあたります。
初歩的なミスだからこそ読み手は誤字脱字を見つけると「この記事、雑に書かれているのかな」と悪い印象を抱きます。
特に企業名や人物名といった固有名詞で誤った表記をすると大変失礼です。
ミスに気付けないまま記事を公開すると、情報源としての信頼性の低下やクレームを招くおそれもあるため、慎重な確認が必要です。
2. ですます・である調の統一はされているか?
文末のですます・である調は統一して使用するのが原則になります。
文章を書いた後に文末表現を全て修正するのは大変になるため、書いた文章が使用される場面を想定し、どちらを使うべきなのかは予め執筆ガイドラインを制定すると安心です。
3. 読点の位置は適切か?
句点(。)は文章末尾につけるものなので問題なく使用できている方が多いですが、読点(、)は文章のどこに・どれくらい使うべきなのか厳密に決まっている訳ではないため、書き手のクセが出やすいです。
読点が多すぎても少なすぎても文章は読みにくくなるため、一文につき3つ前後の使用になるよう調整します。
【×読点が多すぎる例】
趣味は、カラオケで、ダンスを、することも、好きです。
(極端な例だが、文章のリズムが悪い)【×読点が少なすぎる例】
趣味はカラオケでダンスをすることも好きです。
(読点の区切りがないため、カラオケという場所でダンスをすること、と誤読するおそれがある)【◯編集一例】
趣味はカラオケで、ダンスをすることも好きです。
(カラオケとダンスの両方が好きであることが伝わる)
特に、読点が多い場合は一文が長すぎることも考えられるため、一度句点で文章を分割するよう編集するのも有効です。
読点の使い方は、音読をしたときに息継ぎをする箇所に打つと言われているため、実際に声を出して文章を読んで確認するとわかりやすいです。
4. 話し言葉が使用されていないか?
メディアや文章の使用場面によっては、話し言葉を使用した文章でもOKというガイドラインを掲げているケースもありますが、基本的には文章で話し言葉を使わない方が無難です。
理由はシンプルで、話し言葉は砕けており、フランクな印象を与えるためです。企業サイトや情報メディアにおける記事掲載、公式文書の作成などであれば文法的に正しい書き言葉を使った方が堅実なイメージにつながります。
具体的には「しかし/だが/けれども」ではなく「でも/だって」が使用されていたり、「したがって/そのため」の代わりに「だから/ですから」と書かれていたりするケースが該当します。
また、「ら抜き言葉」や「い抜き言葉」も会話ではあまり気にならない使い方ですが、文法上は間違っているためこれらも見逃さないようにしましょう。
「食べれる」ではなく「食べられる」、「食べてる」ではなく「食べている」が正しいです。
5. 表記揺れはないか?
文章中で同義のものを記載するときは表記を統一するようにしましょう。
たとえば
- 会社 or 企業
- 引越し or 引っ越し
- 株式会社GIG or GIG
- Google or グーグル
などが挙げられます。
表記揺れがあると雑然とした印象を与えてしまい、読者はスムーズに読み進めることができません。
逆に、表記揺れをなくすだけでも整った文章に見えるため、Wordの「校閲機能」やGoogleドキュメントの「検索と置換」機能を利用し、表記揺れのチェックと表記統一を行うようにしましょう。
6. 使用している語彙レベルは適切か?
その文章は誰に読んでもらうことを想定しているでしょうか?
スマホアプリ制作に関するノウハウ記事のなかで、プログラミング言語に関する言及を行ったと仮定します。
もし読み手が高度な知識や経験を持ったエンジニアであれば、専門的な単語を使用しても文章の意味が伝わるでしょう。
しかし、そもそもプログラミング言語の意味や違いがいまいち分かっておらず、これから本格的に勉強したいと考えている若手のエンジニアが読者として想定されている場合、専門用語だらけの文章では記事の内容を正しく理解してもらうことが難しくなります。
つまり、伝えたい情報をわかりやすく伝えるためには、読者のレベル感に合わせて使う単語を平易なものに言い換えたり、噛み砕いた内容を書いたりすることが重要です。
7. 一文が長くなりすぎていないか?
文章は一文につき一つの情報・メッセージを持つように記述します。
しかし、文章を書き進めていくうちに「あれとこれも言わなきゃ」と伝えたいことが思い浮かぶあまり、無意識のうちに複数の情報を一つの文章に詰め込んでしまうことがあります。
すると、一文が100字を超える長文になってしまい、結局何が一番言いたい文章なのかわかりにくくなってしまいます。
1つの情報・メッセージの発信が完結している箇所で文章を切り、適切な長さになるように編集しましょう。
8. 主語と述語の関係は正しいか?
主語が省略されている、もしくはこれまでの文章の流れを踏まえても主語が何か分からない場合、述語で述べた内容が正しく伝わらないことがあります。
【×良くない例】
……妹は渋谷に出かけ、洗濯を済ませた。【◯編集一例】
……妹は渋谷に出かけ、母親は洗濯を済ませた。
良くない例の場合、洗濯物を済ませた主体が省略されているため、「妹がわざわざ渋谷のコインランドリーに出かけたのか?」といった推測を生み出します。このような文章が続くと、読み進めるたびに読者は余白部分の推測に負担を感じます。
一方、編集一例のように主体が明らかで過不足のない文章になると、スッと読み進めることができます。
前後の文章で登場人物が明らかになっているから書かなくても伝わるだろう、とむやみに省略せず主語を明確にしましょう。
また、主語と述語が正しく結びつかない(=ねじれ)文章も、読み手のストレスを誘発します。
【×良くない例】
私の趣味は、カメラで風景を撮影します。【◯編集一例】
私の趣味は、カメラで風景を撮影することです。
良くない例の文章は違和感がありますよね。動作が述語になっている場合、主語は動作主が来ないとおかしいですが、実際には動作主になりえない名詞(趣味)が来ているため、意味が通らなくなっています。
特に修飾語などが複数使用され、一文の構成が複雑かつ長くなって主語と述語の位置が離れた文章になるとねじれは発生しやすくなります。
ねじれを防ぐためには、主語と述語だけ抜き出したシンプルな文章にしたときに、文章として成立しているか、意味が通じるかどうかを確認しましょう。
9. 修飾語の位置は適切か?
修飾語と被修飾語の位置が離れてしまうことで、誤読が発生するケースがあります。これは一文が長文になると発生しやすいマイナスポイントになります。
【×良くない例】
私は2012年に高校に入学して始めた硬式テニスで全国大会に出場してテレビ番組の取材を受けた。
この文章は複数の解釈が考えられます。
- 私は2012年に高校に入学した。そこで始めた硬式テニスで全国大会に出場してテレビ番組の取材を受けた。
- 私は高校に入学して始めた硬式テニスで、2012年に全国大会に出場した。そしてテレビ番組の取材を受けた。
- 私は高校に入学して始めた硬式テニスで全国大会に出場した。2012年にその件についてテレビ番組の取材を受けた。
2012年という時期を指定する修飾語が、高校入学、全国大会出場、テレビ取材のどのタイミングにかかるのかによって意味が大きく異なってきます。
修飾語の位置と文章の意味を照らし合わせ、誤読しそうであれば適切な場所に挿入しましょう。
10. 慣用句や比喩表現の誤用はないか?
慣用句や比喩表現は適切な使い方をすれば効果的に伝えたいことを表現できますが、誤った使い方をしてしまうと意図とは違った意味で受け取られるおそれがあります。
たとえば、「舌の根の乾かぬうちに」ではなく「舌の先の乾かぬうちに」を使用してしまうのは誤用の具体例になります。
四字熟語では「汚名返上」を「汚名挽回(名誉挽回と混同)」としてしまう、といったミスもよく見られます。
なんとなくのニュアンスで使ってしまうのは危険なため、しっかりと意味を確認してから使うようにしましょう。
そもそも、伝えたい事柄を表現するために慣用句や比喩は本当に必要なのか、その言い回しで想定読者にも伝わるか検討しましょう。
11. 冗長表現になっていないか?
わかりやすい文章は簡潔に書かれています。
たとえば「本を購入することができます」という文章であれば、「本を購入できます」の方が文章が短く、かつ同義で伝わりますよね。
意味が薄いのに周りくどい表現で文字数が多くなっている箇所は、スリムな表現に置き換えられないかチェックしましょう。
12. 曖昧な表現が多用されていないか?
「〜〜だそうです」「〜〜だと思います」「〜〜かもしれません」といった表現が多用されている文章を読んで、どんな印象を受けますか?
おそらく、多くの読者は「信頼できる情報を探してたのに、曖昧な表現だから信用していいか不安だな……」と感じるでしょう。
文章で情報発信する以上、内容を裏付ける根拠に基づいて制作すべきです。断言や言い切り表現をしても問題のない情報を調査し、書くようにしましょう。
13. 同じ表現、単語を連続で使用していないか?
たとえ同じ意味の記述がしたい場合でも、同じ表現や単語を連続で使用すると読者がくどさを感じてしまいます。
言い換えたり置き換えたりして表現の幅を広げると自然な文章になり、スムーズに読めます。
【×良くない例】
お風呂はぬるめの温度が最適です。ぬるめの温度であればリラックスするのに最適です。【◯編集一例】
お風呂はぬるめの温度が最適です。37°〜39°であればリラックスするのに効果的です。
14. 因果関係や論理展開が整理された文章構成になっているか?
これは一文単位ではなく、文章全体を見直す時のポイントになります。
この記事の本筋からは外れてしまうため詳細は割愛しますが、伝わりやすい文章は「文章構成の型」を踏まえて書かれていることが多いです。最も有名なものだと四段構成の「起承転結」ですね。文章構成の型を理解しておくと執筆と添削の両面で役に立ちます。
添削時には前の文章に書かれた内容を受けて後の文章が続いているかどうか、流れがブツ切れになって唐突に別の話題が始まっていないかなど、文章の流れが破綻していないか確認します。
このケースでは文章の表現を変えるよりも、文章の順序を入れ替えたり補足の文章を付け加えたり、逆に不要な文章を取る編集がメインとなります。
文章を添削するときの注意点
ここからは実際に赤入れを進めていくときに注意すべきポイントを2つ紹介します。
書き手を尊重したコメントを入れる
基本的にライターさんをはじめとする文章の書き手にとって、初稿は提出時点での「ベスト」だと考えていることが多いです。
もちろん赤入れの必要性を理解している人が多いものの、自分なりに考えて作った文章に対して他人から指摘が入るのは決して楽しいことではありません。
そのため、指摘の仕方やフィードバックの言葉遣いによっては書き手のプライドやモチベーションに悪影響を及ぼすおそれがあります。最悪の場合、関係性が悪化してしまいそれ以降仕事の依頼を断られるケースもあります。
「ここが意味不明」「説明が雑」「一文が長すぎる」のように、ダメ出しと捉えられるようなコメントのみ残すやり方は避けましょう。「説明しようとしている内容自体はOKなので」や「切り口はとても面白いので」といった+αのフォローや肯定を付け加えてから、修正指示を書いた方が提案として受け取ってもらいやすいです。
また、編集者はマイナスポイントにしか触れてはいけないというルールはありません。
整った文章や、情報が分かりやすくまとまっている部分があれば、その点も積極的に褒めるコメントを残すのも良いです。書き手の自信につながります。
根拠のない赤入れをしない
「なんとなく」や「好み」で赤入れをしないようにしましょう。
根拠がない赤入れは書き手に対して最も失礼な行為になります。
赤入れをするか迷った場合、ライターから「どうしてここは編集されているんですか?編集前のままでも良かったと思うのですが」と聞かれた時に、元の文章では良くない理由と赤入れを行うことでどのように文章が改善されるのかをしっかり説明できるかどうかを判断基準にしましょう。
赤入れを行った箇所については「〜〜よりも◯◯の方がよりニュアンスが正確に伝わると考えたため編集しております」のように、該当箇所に対してコメント機能で赤入れの意図を補足する形で丁寧に説明すると、ライターも納得し、次回以降のライティングに生かしやすいです。
伝えたいことを分かりやすく発信するために文章を見直し、添削しよう
文章に絶対的な正解はない!と思いがちですが、この記事で紹介したようなポイントをおさえて見直すことで、多くの人にとって「わかりやすい文章」を作ることが可能です。
日々何気なく書いたり読んだりする文章。ちょっとした心がけで自分の伝えたいことが面白いほどたくさんの人に伝わりやすくなるため、ぜひご自身のスキルアップに役立ててみてください。
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黒木 鈴華
メディア事業部 マーケティングメディアチーム シニアエディター。1996年生まれの早稲田大学社会科学部卒。学生時代よりライターとしてコンテンツSEOに携わる。新卒入社から数社を経験した現在に至るまで一貫してコンテンツディレクターとしてオウンドメディア運用支援に従事。前職では役員就任も経験。