取材がもっと楽しくなる、新しい捉え方。「答えを引き出す」から「意味をともにつくる」へ|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG
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取材がもっと楽しくなる、新しい捉え方。「答えを引き出す」から「意味をともにつくる」へ
2026-09-30 制作・開発

こんにちは、株式会社GIGのMarketing事業部でエディターをしているきょうこです。
ライター・エディター、あるいはクリエイターのみなさんのなかには、取材やヒアリングのたびに「うまく話を引き出せるだろうか」と不安になる方も多いのではないでしょうか。実際に私自身も、そんなプレッシャーを感じながら取材に臨んでいました。
でも、取材は本当に「相手のなかにある答えを引き出すこと」なのでしょうか。
少し見方を変えて、取材を「対話を通して相手やテーマへの理解を深め、ともに新しい意味をつくっていくプロセス」と捉えてみる。すると、取材者の役割も、取材への向き合い方も、少し違って見えてきます。
このような捉え方の背景にあるのが、「社会構成主義」という考え方です。
本記事では、大学院で社会構成主義を学んできた私が、その視点から取材・ヒアリングを捉え直し、そこから見えてくる「取材者としての3つの姿勢」をひも解きます。
この記事を読み終わるころには、きっと取材・ヒアリングが少し楽しみになっているはずです。
きょうこ:Marketing事業部エディター。新卒で大手企業の法人営業を経験した後、明治大学大学院 国際日本学研究科へ進学。一人ひとりが自分らしく才能を発揮できる学習環境のデザインについて研究してきた。趣味は餃子をつくること・食べること。
なぜ取材は緊張するのか?
取材やヒアリング、緊張しますよね。
私はエディターとして、これまでたくさんの取材・ヒアリングを経験してきましたが、いまでも毎回緊張します。
とくに、まだ取材に慣れていなかった当初のことを思い返すと、緊張の正体は、いくつかの思い込みだったように思います。
・「相手のなかにある正解を、引き出さなければならない」という思い込み
・「聞くべきことを、すべて聞かなければならない」という情報収集への焦り
・「正しい質問をしなければならない」というインタビュアーとしてのプレッシャー
これらの思い込みや焦りには、ひとつの共通点があります。それは、「答えは相手のなかにすでにあって、取材者はそれを取り出す人である」という前提です。
この前提を手放してみると、取材はとてもおもしろくなります。
そのための新しい見方が、社会構成主義です。
取材は正解の引き出しではない:「社会構成主義」から考える対話の本質
社会構成主義とは?
社会構成主義とは、次のような考え方です。
私たちがものごとに感じる「意味」は、あらかじめ存在しているのではなく、人と人との関係や対話のなかでつくられていく。
同じ出来事を経験しても、それを誰と、どんな文脈で、どんな言葉で語るかによって、その出来事の意味は変わってきます。
たとえば、仕事で失敗してしまったときのことを、想像してみてください。
ひとりでその失敗を振り返り続けていると、「なぜ失敗したのか」「自分の何がいけなかったのか」といった反省ばかりに目が向き、「自分はダメだ」と捉えてしまうかもしれません。
一方で、その失敗について信頼できる先輩と対話しながら振り返ってみると、「あの経験があったからこそ、次はこうできるようになった」と、新たな意味づけが生まれることがありますよね。
ここで重要なのは、失敗という事実そのものが変わったわけではないということです。変わったのは、その出来事をどのように理解し、どのような意味を見出すかという部分です。
つまり、社会構成主義は「事実は人それぞれなのだから、都合のよいように解釈していい」という主張ではありません。私たちが世界や出来事をどのように理解するのか、その「意味づけ」が、他者との関係や対話、社会的・文化的な文脈のなかで形づくられていくことに着目した考え方なのです。
ガーゲンの理論が示す、対話によって理解を生成するプロセス
この社会構成主義を語るうえで欠かせないのが、アメリカの心理学者ケネス・J・ガーゲン(Kenneth J. Gergen)です。彼は、社会構成主義を代表する論者のひとりとして知られています。
ガーゲンの考え方を理解するために、まずは私たちが「意味」について無意識に抱いているイメージと比べてみましょう。
一般的には、ものごとの「意味」はまず個人の内側に存在していて、それを伝えるための道具が「言葉」だと考えがちです。つまり、言葉を「意味を運ぶ容れ物」として捉える見方です。
一方、ガーゲンの議論を整理すると、次の3つのポイントが見えてきます。
1.意味は関係のなかで生まれる
2.私たちの考えや感じ方も、人との関係のなかで形づくられる
3.対話を重ねることで、新しい意味や理解が生まれる

一つめは、意味は関係のなかで生まれるということ。私たちは、他者との対話やこれまでの経験、社会的・文化的な文脈との関わりのなかで、ものごとを意味づけ、新しい理解を生み出していきます。
二つめは、感情や思考のように一見すると「自分の内側」にあると思えるものも、他者との関係や社会的・文化的な文脈と切り離して考えることはできない、ということです。
そして三つめは、意味は誰かひとりの内側に完成したかたちで眠っているのではなく、対話を重ねるなかで、ともにつくり、更新していけるものだということです。
出典:Gergen, K. J., & Gergen, M. M. (2018). 現実はいつも対話から生まれる:社会構成主義入門. ディスカヴァー・トゥエンティワン.
取材は、取材者と対象者がともに理解を生成するプロセス
では、ガーゲンの理論を、取材・ヒアリングに当てはめてみましょう。
取材もまた「対話」だと捉えるなら、取材とは、取材者と対象者がやりとりを重ねながら、ともに理解を生成していくプロセスだと考えられます。
答えは、相手のなかに完成品として眠っていて、取材者がそれを取り出すのではありません。取材者と対象者が言葉を交わすなかで、それまで言葉になっていなかった考えや意味が、少しずつ立ち上がってくるのです。
そう捉え直すと、取材の見え方が変わってきませんか。
社会構成主義の観点から考える、取材の3つの姿勢
では、私たちはどのような姿勢で取材・ヒアリングに臨めばよいのでしょうか。ここからは、社会構成主義の考え方をヒントに、私が実際の取材で大切にしている3つの姿勢をご紹介します。

対話を通じて理解をともにつくる
まず大切にしたいのは、取材を「正解を回収する場」ではなく、「対話を通じて理解をつくっていく場」と捉えることです。
取材者は、用意した質問に対する答えを、相手から引き出して受け取るだけの係ではありません。相手の話に反応し、自分なりの理解を返すことも、対話の一部です。
過去の取材で、「それって、こういうことですか?」と自分の理解を返したところ、相手が「そうそう。というか、いま話していて気づいたんですけど……」と、そこから新しい言葉を紡ぎはじめたことがありました。取材者と対象者が対話を重ねるなかで、相手自身もまだ言葉にしていなかった理解が立ち上がってくることがあるのです。
対話のなかで見えてきたものを深掘りする
準備してきた質問だけでなく、対話のなかで生まれた「引っかかり」を大切にしてみましょう。
相手がふと口にした一言や、少し言葉に詰まった瞬間。そのなかに、まだ言語化されていない価値や考えが隠れていることがあります。
取材中、対象者が何気なく話してくれたことが気になり、「いまのお話、もう少し聞かせていただけますか」と尋ねてみました。お話を掘り下げていくと、そこから出てきたエピソードが、最終的に記事にとって大事な要素になったことがありました。用意した質問の外側にこそ、思いがけない発見があるかもしれません。
問いを更新しながら主体的に対話する
質問票は「守るもの」ではなく、「更新していくもの」と考えてみましょう。
完璧な質問リストを用意し、そのとおりに進めることがゴールではありません。相手の答えを受けて、問いの順番や内容をその場で変えていく。「次に何を聞くか」を、目の前の対話から考えることが大切です。
もちろん、これは準備を軽視するということではありません。むしろ、十分に準備しているからこそ、安心して台本を手放し、目の前の相手に集中できます。
対話を重ね、伴走しながら価値をかたちにする——GIGのクリエイティブ制作
取材とは、あらかじめ用意された「正解」を質問によって回収する作業ではなく、対話を通じて、取材者と対象者がともに理解を深めていくプロセスです。対話のなかでは、対象者自身もまだ明確に言語化していなかった価値や考えが、新たな問いややりとりをきっかけに、少しずつ見えてくることがあります。
だからこそ、取材者に必要なのは「完璧な質問を用意すること」だけではありません。相手を知ろうとし、対話のなかで問いを更新しながら、ともに理解をつくっていこうとする姿勢が求められるのだと、私は考えています。
もし、取材やヒアリングに緊張や苦手意識を感じている方がいたら、「答えを引き出さなければ」という思い込みを、少しだけ手放してみてください。目の前の相手と、その場でともに意味をつくっていく。そう捉え直すだけで、取材はもっと豊かな対話の時間にきっと変わっていくはずです。
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きょうこ
Marketing事業部エディター。新卒で大手企業の法人営業を経験した後、明治大学大学院 国際日本学研究科へ進学。一人ひとりが自分らしく才能を発揮できる学習環境のデザインについて研究してきた。趣味は餃子をつくること・食べること。


